【ベンチャー企業の採用】なぜ難しい?成功のための企業側・求職者側のポイント
Business people shaking hands in agreement

ベンチャー企業は将来性や成長性が魅力ですが、そのぶん失敗したときのリスクが大きく、求職者からは敬遠されがち。
慢性的な人手不足により、採用市場全体が厳しくなっていますが、特にベンチャー企業は人材の確保が難しいです。

しかし、ベンチャー企業ならではの強みを活かせば、効果的な採用戦略を立てることも可能です。

今回は、ベンチャー企業における採用の現状と、採用成功のためのポイントをお伝えします。

ベンチャー企業の採用の実態

まずは、ベンチャー企業の定義や、ベンチャー企業における採用の現状についてお伝えします。

「ベンチャー企業」の定義

「ベンチャー企業」という言葉には、実は具体的な定義はありません。
投機・冒険という意味を持つ「ベンチャー(Venture)」という言葉を使った、日本独自の造語です。

一般的には、「設立から5年以内程度の若い会社」かつ「インターネットサービスなど新しいビジネス領域を手掛けていること」がベンチャー企業の条件と考えられています。

ベンチャー企業の採用はなぜ難しい?

ベンチャー企業は、成功すれば莫大な資産が得られることもある反面、設立当初は不安定ですし、実績もありません

また、「トップダウンのワンマン経営」「休みが少なく、勤務時間が長そう」「研修や評価制度が無さそう」というネガティブイメージもあり、求職者からは敬遠されがちです。

その点、大企業は安定性や充実した福利厚生が魅力なので、優秀な人材は大企業に流れてしまうことが多いのです。

ベンチャー企業の採用基準と求める人材

ベンチャー企業が人材に求める能力は、端的に言うと「即戦力」と「成長性」です。
設立間も無く、早期の成長を目指しているベンチャー企業には、人材を一からゆっくり教育している余裕がありません。

そのため、ニーズの高い分野で確かな技術経験を持ち、成長に貢献できる人材が必要とされます。

また、拡大を続けるベンチャー企業では、常にポストが空いている状態です。
未経験で入社した人も、3年でマネージャーのポストにつけるくらいに成長させなければ会社が大きくなっていきません。

大企業では研修制度を利用してゆっくりと成長していくことができますが、ベンチャー企業では自主的に成長し、短期で主要ポストにつける人材が必要なのです。

ベンチャー企業の採用を成功させるコツ

それでは、採用を成功させたいベンチャー企業、またベンチャー企業に就職したい求職者は、それぞれどのような工夫が必要になるかをお伝えしていきます。

企業側

まずはベンチャー企業側が、採用にあたって行うべきことを解説します。

経営者が思いを発信する

ベンチャー企業は、大企業に比べると実績や雇用条件でアピールできる部分は少ないです。
その分、経営者自身の魅力や、事業の将来性という大きな強みを持っています。

そのため、経営者自身が事業にかける思いや、事業を通して実現したいことを発信し、求職者に訴えかけることが重要です。

採用サイトで発信するだけではなく、説明会や面接で直接求職者と会って話すなど、経営者自身が採用の最前線に立って取り組みましょう。
条件だけではなく会社のビジョンに共感してくれる、優秀な人材が獲得できる可能性が高くなります。

全社が採用に積極的に関わる

ただでさえ採用が厳しいベンチャー企業にとって、採用した人材の早期離職は大きな痛手です。
入社後のミスマッチを防ぐため、採用時から多くの社員が関わって、長く定着する人材を見極めましょう。

人材に求めるスキルなど採用戦略にも全社で関ったり、面接やインターンを通じて社員と求職者が交流する機会を作ることで、早期離職を防ぐことができます。

諸条件を明確に説明する

ベンチャー企業への入社を考えるとき、求職者が抱えている大きな不安が「入社後の待遇」です。
ここが曖昧なままだと、内定を出しても入社までに不安になり、辞退されてしまう可能性があります。

労働時間給与などの諸条件は明確に説明し、会社の現状を理解した上で入社してもらうようにしましょう。

求職者側

求職者側がベンチャー企業を志望する時には、「ただ入れればいい」という意識ではなく、自分の将来を見定めた上で会社を選ぶのが重要です。

自分の目で企業を見定める

ベンチャー企業は、成功したときのメリットが大きいですが、逆に倒産などのリスクも大きいです。

求職者は、まずは自分の将来を預けられる会社かどうかを見極めた上でエントリーすることが重要です。

例えば、

    • 社員数が少ないのに毎年大量採用をしている

 

    • 「夢」「やりがい」など綺麗な言葉ばかりで具体性がない

 

    • 不祥事を起こしてたり、会社名が頻繁に変わっている

 

 

このような会社は、社員を大切にしないブラック企業の可能性が高いです。

逆に優良ベンチャー企業を見極める条件としては、

    • ベンチャーキャピタルからの投資や公的な補助金に採用されている

 

    • 国や地域から表彰されている

 

    • 業績の伸び率が高い

 

 

などが挙げられます。

キャリアプランをきちんと設計

ベンチャー企業では、社内制度もまだ固まっておらず自分の裁量次第でキャリアを切り開いていける可能性があります。

そのため、会社に頼って昇進やスキルアップをしていくという精神ではなく「自分がどうなりたいのか」というプランを入社前に持っておきましょう。

企業のビジョンへの熱意・共感を伝える

ベンチャー企業の採用では、大企業よりも企業理念への共感が重視されます。
それは、会社が小規模なぶん、社員一人ひとりが会社に与える影響が大きいためです。

そのため、企業のビジョンのどこに共感したのかなぜその会社を選んでエントリーしたのかという理由や熱意をしっかり伝えられれば、採用される可能性が高くなります。

ベンチャー企業の採用プロセスのポイント

それでは、ベンチャー企業が採用を成功させるためのプロセスを、具体的に解説していきます。

①自社をブランディングする

実績や雇用条件では大企業に勝てないベンチャー企業は、自社をブランディングして「唯一無二な会社」であることをアピールするのが重要です。

まずは、自社の特徴や他社との差別化ポイントを徹底的に分析して、自社の強みを洗い出しましょう。

SNSや採用サイトなどで「うちの会社はここが魅力」とアピールすることで、知名度や求職者とのエンゲージメントを高めることができます。

②採用戦略を立てる

ベンチャー企業で採用を成功させるためには、「とにかく数を揃える」という考え方ではなく、自社に定着して活躍できる人材を見極める必要があります。

自社の社員として必要なスキル性格の特徴、逆に自社に足りていないスキルなどを分析して、具体的に必要な人材像を想定しましょう。

また、新卒採用にこだわりすぎない外国人の採用を検討するなど、競争率の低いフィールドで人材を探すのも戦略の一つです。

③ペルソナ・採用要件を明確に

ただでさえ採用が厳しいベンチャー企業では、欠点が全くない優秀な人材を確保するのは難しいと言えます。

そのため、ペルソナ採用要件を明確にし、一定の条件を満たしていれば、そのほかの要素には目をつむるというのも重要です。

例えば、必要なスキルがあれば年齢は不問としたり、未経験でも熱意や素直さなどのモチベーション重視で採用するなどの方針が考えられます。

ベンチャー企業の主な採用手法

最後に、ベンチャー企業が使える採用手法についてお伝えします。

転職エージェント

転職エージェントは、条件を絞ってピンポイントな採用をしたいベンチャー企業に最適な手法。
求めている人材像にあった求職者とマッチングできるので、短期で自社にあった人材を採用できる可能性が高いです。

一人あたりの採用コストは高くなりやすいですが、経験者・即戦力を求めている会社におすすめです。

ソーシャルリクルーティング

ソーシャルリクルーティングとは、SNSを利用した採用方法
Twitter・Facebook・Instagram・YoutubeといったSNSに会社のアカウントを作り、自社の情報を発信しながら求人情報を掲載します。

他の方法に比べると採用には繋がりにくいですが、求職者以外の目にも触れやすい媒体なので消費者へのPRも兼ねられるというメリットがあります。

リファラル採用

リファラル採用とは、既存の社員からの紹介で人材を採用する方法。

社員からの紹介であれば人柄やスキルがある程度担保されますし、求職者も社員からリアルな事情を聞いてから入社できるため、早期離職のリスクが低いです。

ただし、採用の可否や入社後の配置が、人間関係に影響しないように配慮する必要があります。

まとめ

人材不足で採用市場全体が厳しくなるなか、成長途中のベンチャー企業はさらに採用が難しくなっています。

しかし、大企業にはない、ベンチャー企業ならではの強みがあることも確かです。

採用戦略やアピール方法を工夫することで、会社に貢献できる人材を採用していくことができます。

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