
SNSを利用して行うソーシャルリクルーティングは、コストがかからずすぐに始められるので、導入しやすい採用方法です。
しかし、炎上リスクの回避やフォロワー集めの方法など、意外に難しい側面も。
今回は、ソーシャルリクルーティングを行うメリットや、採用成功に繋がる3つのコツをご紹介します。
この記事の目次
ソーシャルリクルーティングとは
まずは、ソーシャルリクルーティングの概要と、プラットフォームとなるSNSの特徴について知っていきましょう。
ソーシャルリクルーティングの意味
ソーシャルリクルーティングとは、SNSを利用して採用活動を行うことです。
具体的な内容は様々ですが、会社のPRになるような投稿を行い、合わせて採用情報を掲載することで、SNS利用者からのメンションを集める方法です。
そこから採用サイトなどに誘導することもありますし、関心がありそうなユーザーに会社側から連絡することもあります。
ソーシャルリクルーティングのメリットは、求職者・転職者以外の層にも会社をアピールできること。
掲載内容も自由に工夫できるので、事業の概要や会社の理念だけではなく、会社での日常や社員一人ひとりの人柄など、より入社後のビジョンを描きやすい情報を伝えることもできます。
また、無料で利用できるサービスが多いので、コストもほとんどかからないことも魅力です。
使用されるSNSの種類と特徴
基本的に、SNSとしての機能を持つサービスかつ、利用規約などで企業の採用活動を禁止していなければ、どんなSNSもソーシャルリクルーティングに利用することができます。
しかし、伝えられる情報の種類や利用者層、好まれる投稿内容はそれぞれ異なります。SNSごとの特徴を知り、採用したい人物像にあったアピールを行うことが大切です。
ソーシャルリクルーティングに使われる主なSNSとその特徴は、以下の通りです。
ソーシャルリクルーティングの始め方
ソーシャルリクルーティングを始めるには、以下のステップで準備していきます。
- 利用するSNSを決める
- 運用方針・更新担当者を決める
- SNSにユーザー登録し、投稿開始
- 投稿後の反応を確認し、軌道修正
まず最初に、アピールしたいユーザー層などを考慮して、利用するSNSを決定します。
プラットフォームが決まったら、ターゲットとなる人材の詳細なペルソナや、コンテンツのテーマ、更新頻度などを決めましょう。
方針が明確でない行き当たりばったりの投稿をしたり、アカウントを作ったものの長期間放置してしまうと、「そういう会社」として悪いイメージの拡散に繋がりかねません。
また、SNS担当者の暴走による炎上や、セキュリティ意識の低さに起因する乗っ取りも、様々な企業で問題になっています。
更新担当者には、個人情報の取り扱いやネットリテラシーに精通した適任者を選ぶべきでしょう。
ユーザー登録を行って投稿を開始したら、必ず他のユーザーからの反応を確認します。
PV数や滞在時間、反応のよかった投稿の傾向などを把握して、より興味を持たれる投稿ができるように軌道修正していきましょう。
ソーシャルリクルーティングのメリット
それでは、企業がソーシャルリクルーティングを行うことのメリットをお伝えしていきます。
求職者をスクリーニングできる
ソーシャルリクルーティングの大きな利点は、スカウトメールを送ったり、選考に進む前に求職者をスクリーニングできることです。
投稿に反応があったユーザーのプロフィールページを確認すれば、その人がどんな経歴で何に興味があるのか、どんな日常生活を送っているのかを見ることができます。
履歴書には書かないようなプライベートな面までわかるので、自社にカルチャーフィットしそうな人材の獲得に繋がるでしょう。
拡散力が大きく幅広い層にアプローチ
SNSは、拡散力が大きいことが特徴です。
他のユーザーの力を借りて、自社サイトや採用サイトに情報を掲載するより多くの人に投稿を見てもらえる可能性があります。
また、SNSには求職・転職を目的としていないユーザーも多く登録しているため、そもそも採用サイトは見ていない層や、消費者にもアプローチが可能。
採用活動と同時に、自社の広報活動にも繋がるのです。
採用コストが抑えられる
大手採用サイトに求人情報を掲載すれば、1週間で5〜10万円ほどの掲載料がかかり、さらに採用に繋がると成功報酬が発生するサイトもあります。
一方SNSは、ほとんどの場合、通常利用は無料です。
採用活動が長期化しそうな場合や、大量採用を行う場合ほど、節約できるコストが大きくなります。
運用が容易
SNSは、一般ユーザーが気軽に利用できるよう、操作が非常に簡単にデザインされています。
そのため、使い始めることも、投稿を続けていくことも容易です。
専用のサイトを一から制作して運用するよりかなり手軽なので、施作をスピーディーに実行することができます。
企業のイメージアップに繋げられる
SNSには、採用情報以外に会社のPR情報も掲載することができます。
ニッチな需要の中小企業でも、ユーザーのニーズを捉えた投稿がバズり、大幅な売上増に繋がったというケースもしばしば。
対して、炎上して大問題になるリスクもある諸刃の剣ですが、リテラシーに配慮してうまく運用すれば効果的なイメージアップ活動になるでしょう。
デメリット
ソーシャルリクルーティングには、少ないながらデメリットも存在します。
更新に負担がかかる
ソーシャルリクルーティングは、効果が出るのに時間がかかります。
地道に投稿を重ね、徐々にフォロワーを増やしていかなければいけないので、定期的かつ長期的に更新していく必要があります。
いくら投稿作業自体が簡単といっても、フォロワーを飽きさせない投稿をしていくには工夫が必要です。
更新担当者への負担はそれなりに大きいので、SNS投稿は遊びや余力で行うものではなく、業務の一部であるという共通認識を持つ必要があるでしょう。
ネットリテラシーが必須
SNSでは、良い情報だけではなく悪い情報も拡散されてしまいます。
企業アカウントの運用は、一歩間違えば大きな炎上に繋がるリスクがあるのです。
個人情報の取り扱いや、言葉づかい、投稿内容に含まれる思想などには細心の注意を払う必要があります。
更新担当者には、リテラシー意識が高い適任者を選ぶほか、しっかりと研修を実施したり、投稿前に第三者の目を通すなどチェック体制を設けることも大切です。
投稿内容のレベルに左右される
ソーシャルリクルーティングの効果は、投稿のレベルに大きく左右されます。
ターゲットにリーチしない投稿を繰り返しても手間と時間の無駄なので、事前にしっかりリサーチを行って方針を定めましょう。
また、画像投稿を行う場合は画質や構図にもこだわったり、文章は誤字脱字や記載情報の間違いがないよう気を付けるなど、企業イメージを損なわない投稿作りが重要になります。
ソーシャルリクルーティング成功の3つのコツ
それでは、ソーシャルリクルーティングを成功させる3つのコツをご紹介します。
(1) SNS担当者をよく選ぶ
ここまでもお伝えしてきましたが、SNS担当者はネットリテラシーの高さや投稿のセンスが問われます。
また、SNSの利用者から見ると、更新担当者は会社の窓口となる存在です。
企業のSNS担当者は「中の人」等と呼ばれ、成功するとその人自身の求心力からフォロワーが集まることもあります。
会社の代表として恥ずかしくない人物、プライベートでもSNSの運用が上手な人など、適任者をしっかりと選ぶようにしましょう。
(2) コミュニケーションは双方向で
ソーシャルリクルーティングの利点は、求職者と一方的でないやりとりができることです。
投稿に対して反応やコメントがあった場合には、お礼や回答をして双方向的なコミュニケーションを心がけましょう。
頻繁に他のユーザーとのやりとりがあることで、新規で興味を持った人も声をかけやすくなるという利点もあります。
(3) 定期的・長期に運用できる体制作り
定期的・長期に運用できる体制作りも、ソーシャルリクルーティングの重要なポイントです。
1人の担当者に丸投げで運用していると、更新頻度が気分次第になってしまったり、退職・転属によってせっかくフォロワーを集めたアカウントを廃止せざるをえなくなってしまいます。
内容を考える人、実際に投稿作業をする人、企画の見直しやトラブル処理を行う人といった形で、役割分担をしてチームで運用するのが望ましいです。
ソーシャルリクルーティングの成功事例
ソーシャルリクルーティングの成功事例には、以下のようなものがあります。
専用の採用サイトの他にFacebookアカウントを設置し、限定のライブセミナーを実施しています。
配信中にリアルタイムで質疑応答を行い、回答しきれなかった質問についても後日アカウント上で回答を掲載。
新卒者と双方向のコミュニケーションを行うことで入社後の不安を取り除き、効果的にマッチングをできる施作です。
2020年9月現在で6,000人ほどのフォロワーを集めているこのアカウントの特徴は、親しみやすい雰囲気作りをしていること。
顔文字や絵文字を多用したり、採用情報以外にも担当者がおすすめする講談社の漫画を紹介するなど、求職者に寄り添うような姿勢で運用を行っています。
まとめ
ソーシャルリクルーティングは、コストがかからず運用も簡単なため、幅広い会社で導入しやすい採用方法です。
しかし、ターゲットにアピールできる投稿内容の策定や炎上のリスクなど、注意点もあります。
的確な運用ができるかどうかで効果の差が大きいため、気軽に利用できるからといって軽く見ず、しっかり方針を定めて始めることが大切です。