現在の日本は少子高齢化の影響で働く人が不足しており、これから外国人労働者が働く機会はどんどん増えていくと言われています。
外国人を日本で採用する方法で代表的なのが、日本に住んでいる外国人労働者を雇用することですが、もう一つは外国より優秀な人材を迎え入れることです。そして、外国より人材を迎え入れるための方法の一つに、「インターンシップ」が挙げられます。
インターンシップにもビザは必要ですが、条件に応じて種類は変わります。外国人インターンシップの受け入れ方法、費用、収入がある際の税金・保険はどうなっているのでしょうか。インターンシップは優秀な外国人を雇用するために重要なポイントなので、ぜひチェックしてください。
この記事の目次
短期外国人インターンシップに活用できるビザ
外国人インターンシップのビザは、日数と報酬の有無によって種類が変わります。ここでは、まずビザの種類、ビザ取得時の条件についてご紹介いたします。
3種類のビザ
外国人インターンシップのビザは、3種類に分類されます。90日以内・無報酬の場合は、「短期滞在ビザ」。90日以上・無報酬なら「文化活動ビザ」。報酬がある場合は「特定活動ビザ」となります。
会社から給与が発生する場合(特定活動ビザ)
インターンシップで働いて会社から給与をもらう場合、期間は最長1年までと決められています。再度更新することは可能なので、実質的な滞在期間は最長2年となります。
なお、現地の大学と雇用する会社との間にインターンシップでの単位認定に関する規定がなければ、特定活動ビザは取得できません。
会社から給与が発生しない場合(短期滞在ビザ)
会社から給与が発生しない場合は、滞在期間は90日を超えてはいけません。また、原則として、特定活動ビザのように更新もできません。
インターンシップでは働くのは禁止?
入国管理局では、大学と企業が提携し、単位として認定される活動をインターンシップとして認めています。教育・研修としての活動であり、学生の専攻との関連がなければなりません。そのため、インターンシップの内容が会社の事業に貢献するものだと、単なる労働とみなされ、会社側が法的に罰せられてしまう可能性があります。
外国人インターンシップは、あくまで研修・教育を目的に行っているため、通常の業務を行っている人とは別のところで研修を行うことが理想です。
なお、会社から給与が発生する場合の金額は、特に決められている訳ではありません。
この報酬の額によっては、税金・保険料がかかる場合があります。こちらは後程解説いたします。
外国人インターンシップがおすすめである3つの理由
今、日本では外国人インターンシップを受け入れる企業が増えています。なぜ受け入れる企業が増えているのでしょうか。
外国人インターンシップがおすすめの理由を3つご紹介いたします。
外国人の本採用に向けた企業体制を整えられる
通常の採用活動においては、履歴書やエントリーシートと面接だけでその人を見極めなければいけません。しかし、まずインターンシップとして受け入れることで、会社に適した人材なのか、働くことができる会社であるのかなどがより判断しやすくなり、ミスマッチを防ぐことができます。
また、インターンシップは多くの学生が注目しているため、外国人採用に力を入れている企業であるというアピールにも繋がります。
日本人社員の英語能力を強化させる
外国人インターンを受け入れることで、社員の国際意識やモチベーションの向上が期待できます。また、コミュニケーションを図るために英語能力も強化されます。
会社に新しい風を吹かせる
外国人をインターンシップで受け入れることで、これまでになかった新しいグローバルな視点で物事を考えられることができます。
日本出身の社員だけでは考えつかなかったことなど、斬新な考えを取り入れられます。
外国人インターンシップの募集方法
良いことがたくさんある外国人インターンシップですが、受け入れるためにはどうしたら良いのでしょうか。
ここでは、代表的な募集サービス4つをそれぞれの特徴と共にご紹介いたします。インターンシップを受け入れる企業の人、採用担当者の人は参考にご覧ください。
外国人/留学生歓迎の長期インターンシップ「ゼロワンインターン」
「ゼロワンインターン」は、2015年6月に設立された長期インターンシップの会社です。インターンシップを長期行うことで企業からの推薦をもらい、就職活動に活かせる「ゼロワン新卒スカウト」というサービスも運営しています。
登録している企業は約900社以上で、首都圏・関西を中心に、エンジニア・事務・アシスタントでのインターンシップを紹介しています。
掲載費用
「広告掲載プラン」「成果報酬プラン」の2タイプがありますが、どちらも業界最安級の料金設定です。
詳細の料金は採用する人数や職種によって異なるため、直接問い合わせがおすすめです。
メリット
登録している企業のうち8割以上が30人以下の中小企業のため、中小企業でも安心して始められます。
また、採用にあたっての準備や、おすすめの教育方法、失敗しないためのノウハウ提供などのサポートを無料で受けることができます。半数以上がこれまでインターンシップを受け入れたことがなかった企業なので、インターン採用が初めてでもやりやすいです。
デメリット
ゼロワンインターンでは、短期インターンや無給インターンの取り扱いはありません。
外国人留学生の求人を取り扱う「キャリアバイト」
「キャリアバイト」は、2007年創業の実績のある会社です。学生に焦点を当てた長期インターンシップを展開しています。
主に実践型のインターンシップを目的とした約1,800社以上の企業に利用されています。エリアは東京が中心で、IT/Web系の職種が多いです。
掲載費用
キャリアバイトは、月額38,000円から利用できます。成果報酬はありません。
メリット
優秀な人材を探すことができます。
また、面接の方法や採用後の育成方法などのサポートも充実しています。
デメリット
インターンシップの受け入れが多いと、キャリアバイト側の対応が遅れることがあるようです。また、時期によっては学生が大手企業に集まってしまい、中小企業には応募が少なくなる場合があります。
アジア圏の学生が多く集まる「アイセックジャパン」
「アイセックジャパン」は、1962年に設立された、海外インターンシップのプログラムへの参加などを提供している学生団体です。126の国と地域で活動しており、日本ではNPO法人の資格を取得しています。主に短期インターンシップの受け入れを行っています。
費用
プランによって料金が異なります。
メリット
TOEIC730点以上、30歳未満の学生であることなどの条件があるため、優秀な人材が集まりやすいです。
また、外国人インターンシップ生のビザの取得などは代行してくれます。
デメリット
短期・無給インターンシップしか取り扱っていません。
日本から海外へのインンターンシップはいくつかのトラブルが指摘されるなど、評判があまり良くありません。
ハローワークの「外国人雇用サービスセンター」
「外国人雇用サービスセンター」は、厚生労働省が管轄する外国人・留学生向け就職支援機関です。厚生労働省管轄のため、安心度は非常に高いです。
費用
外国人インターンシップが開催されている期間に申し込みし、詳細を確認する必要があります。
メリット
厚生労働省が管轄していますので、安心して適切な人材を受け入れることができます。
デメリット
いつでも外国人インターンシップを行っているという訳ではないため、タイミング等が合わないことがある。
インターン時の保険・税金について
以前、インターンシップは無給でしたが、現在は1か月以上の長期は給与が発生することが多いです。
外国人がインターンシップとして働き、給料が発生した場合の保険料や税金はどうなっているのでしょう。
インターン時にかかる税金について
日本では、支払われる給与には「源泉所得税」がかかります。基本的には日本人と留学生・インターンシップ生は同じ扱いとなり、差はありません。差が生じるのは、所得税法上の「居住者」か「非居住者」どちらに該当するかによるので、まずは、このどちらなのかを判断しなければなりません。
「居住者」とは、日本国内に住所がある人、もしくは現在まで継続して1年以上「居所」のある人のことで、それ以外の人を「非居住者」としています。居住者の場合は源泉徴収税額表に基づく源泉徴収が、非居住者の場合は原則として20.42%の源泉徴収がなされます。
所得税の徴収に日本人と外国人の区別がないとご説明しましたが、「租税条約」が締結されている場合、日本での源泉所得税が免除されることがあります。租税条約の適用は、締結している国によって異なるため、それぞれの条文を確認する必要があります。
インターンにかかる保険料について
保険料についても、所得税と同じように日本人と同様の扱いとなります。働く時間が一定以上(正社員の4分の3以上、1週間に20時間以上など)の場合は社会保険に加入する必要があります。
まとめ
外国人インターンシップを受け入れている企業は増えていますが、優秀な人材を受け入れるためには、きちんとした受け入れ体制が必要です。
また、給与によっては所得税や各種保険が必要な場合もあるため、受け入れる企業側も事前に計算しておきましょう。