近年よく聞かれるようになった「スタートアップ」という言葉。
なんとなく「新しい会社やビジネスモデル」というイメージがありますが、具体的な定義を知っている人は少ないのではないでしょうか。
今回は、スタートアップの意味や、混同されやすいベンチャーとの違い、スタートアップならではの特徴を解説。
スタートアップで働いてみたい方向けに、転職を実現するルートもご紹介します。
この記事の目次
スタートアップとは
まずはスタートアップの意味と、混同されやすい「ベンチャー」との違いについて解説します。
スタートアップの意味
スタートアップは、直訳すると「起動」という意味の英語です。
日本のビジネス業界で使う場合、スタートアップは「比較的新しいビジネスで急成長し、市場開拓フェーズにある企業や事業」を意味します。
特に具体的な定義が決まっているわけではなく、一般的には起業から2〜3年目の、勢いがある企業を指す場合が多いです。
成長率が非常に高ければ、会社の規模や設立年数に関係なくスタートアップと呼ぶこともあるようです。
逆に、新規起業の会社であっても、以前からある業態を踏襲していたり、急激な成長が見込めない場合には、スタートアップとは呼びません。
ベンチャーとの違い
スタートアップとベンチャーは、まず元々の成り立ちが違います。
ベンチャーとは、英語で「投資」を意味し、日本では元々「投資を受けた企業」をベンチャー企業と呼んでいました。
しかし、ベンチャーという言葉が広まる中で意味が変容し、「革新的な事業(主にIT)を行う若い会社」というイメージになっていきました。
このイメージは、スタートアップとも近いです。
しかし、ゴールの捉え方はスタートアップとベンチャーでは少し異なります。
スタートアップの目標は、「短期間で急成長し、最終的にIPOやバイアウトで大きな利益を生み出すこと」。
一方ベンチャー企業は、必ずしも売却などが目的ではなく、大企業が参入しないような分野で事業拡大をしていくことで継続的に利益を出していきます。
スタートアップの企業例
日本経済新聞によると、以下のような会社がスタートアップ企業の代表例です。
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- ブリファード・ネットワークス(AI事業)
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- TBM(プラスチック代替素材)
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- スマートニュース(情報アプリ)
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- freee(クラウド会計ソフトウェア)
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- エリーパワー(リチウムイオン電池)
また、海外だと、FacebookやGoogleが代表的なスタートアップ企業と言えます。
参照:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51706250R01C19A1SHA000/
スタートアップの4つの特徴
それでは、スタートアップに共通する4つの特徴を見ていきましょう。
①イノベーションの観点を持つ
スタートアップの特徴1つ目は、イノベーションの観点を持ち、革新的な事業を行っていること。
最新の技術を用いたり、新しいビジネスモデルを提案することで、消費者のライフスタイルを大幅に変え、既存の業界やサービスに大きな影響を与えます。
また、事業内容だけではなく経営方針も、新しい企業ならではの斬新でスピード感のある方法を採用している場合が多いです。
②社会貢献という主軸
スタートアップ企業は、事業を単に「儲かるから」と行っているのではなく、社会貢献を主軸に置いていることも特徴です。
「サステナビリティ」「フードロス」「過重労働」「女性の社会参加」など、人々が問題意識を持っている部分に焦点を当て、解決策を提案するというビジネスモデルが非常に多いです。
事業を実現することに意義があるのはもちろんですが、賛同する投資家や消費者を集めやすく、アピールポイントにもなることがその理由と考えられます。
③短期間で急激な成長
スタートアップのアイデンティティとも言えるのが、短期間で急激な成長を果たすことです。
最終的には売却益を得る目的で投資している投資家も多く、時価総額が数年で何百倍にも膨らみます。
そもそも事業内容も、スピーディーに実現することに意義があるような、時世に沿ったものがほとんどです。
また、この短期間での成長を果たすために、有能な経営者や実績のあるコンサルタント、即戦力となるエンジニアやクリエイターなど、少数精鋭の人材を揃えていることが多くなっています。
④カリスマ性のある創業者
カリスマ性のある創業者も、ある意味スタートアップの特徴と言えます。
もちろん必須条件というわけではありませんが、Facebookのマーク・ザッカーバーグやApppleのスティーブ・ジョブズ、ライブドアの堀江貴文、スタートトゥデイの前澤友作など、個性的な人物が多いのは確かです。
創始者のカリスマ性が、創業直後から多くの人を動かし、急成長に繋がっているという側面があるのかもしれません。
スタートアップで働くには?
それでは、スタートアップ企業で働くにはどんな人材になればいいのか、また、どんなところで人材募集をしているのかを解説していきます。
スタートアップが求める人材
スタートアップが求める人材は、端的に言うと「即戦力」です。
スタートアップ企業は短期間での成長を目標にしていますし、起業直後は資金繰りにも余裕がないので、少数精鋭で運営する必要があります。
未経験者やスキルが低い人材を、社内で育てている時間も人手もありません。
そのため、ニーズの高い分野で確かな技術と経験を持ち、成長に貢献できる人材が必要とされます。
特に、人工知能(AI)やロボット工学に関する知識、スマートフォン向けサービスに必要なiOS・Android開発経験、ユーザーの利便性を高めるUI・UXデザイナーなどは、スタートアップでの需要が高いでしょう。
スタートアップの情報収集方法
スタートアップで働きたい方は、企業の存在そのものや、事業内容を知るための情報収集が欠かせません。
日常的に、テクノロジー関係のニュースサイトなどを閲覧して、最新のサービスやツールについて知っておきましょう。
例えば「THE BRIDGE」は起業家と投資家を繋ぐことを目的として、日本やアジアのスタートアップやテクノロジーの情報を発信しています。
また、海外のスタートアップについて知りたい場合は、海外情報も多く発信している「TechWave」「Techable」がおすすめです。
他にも同様のサイトは多数あり、掲載している事業の系統などが微妙に異なるため、自分が就職したい分野に強い情報サイトを見つけましょう。
インターンシップ・転職サイトを利用
スタートアップ企業は、予算を抑えて有能な人材に出会うため、インターンシップを実施していることが多いです。
学生や、若手社会人であれば、インターンシップを利用してみても良いでしょう。
中途採用でスタートアップに入りたい場合には、通常の転職と同じように転職サイトを利用するのがおすすめです。
ジャンルやキーワード検索で「スタートアップ」を指定できるサイトもあり、効率的に自分に合った求人を見つけることができます。
スタートアップの課題
スタートアップの課題は、まず日本のベンチャーキャピタルの規模が海外に比べて小さいこと。
日本でもベンチャーキャピタルは増えてきていますが、多くのスタートアップ企業が潤沢な出資を確保し、リスクを取りに行くには不十分です。
日本は社会の規模が限られているので、投資家から見てハイリターンが見込めないこともあり、スタートアップに初期投資が集まりにくいという側面もあります。
また、総合職での終身雇用が一般的だった日本では、まだ人材の専門性と流動性が低いです。
事業の成長と共に、次々にフェーズにあった人材を採用していくのが難しいことも、スタートアップの課題と言えます。
まとめ
スタートアップ企業とは、革新的な事業を行う、勢いのある会社のこと。
明確な定義があるわけではありませんが、新しい市場を開拓し、社会的な意義を持って暮らしを変えていく会社全般のことを呼びます。
スタートアップへの転職を考えている方は、必要とされるスキルを磨くとともに、情報サイトなどで常に最新の動向に目を配るようにしておきましょう。