新卒入社後すぐの転職理由とは?増えるニーズと採用のメリット

新卒者の採用にはコストがかかるので、企業としてはなんとしても避けたいのが早期離職。
しかし、調査によると毎年約10%、3年で30%もの新卒社員が離職・転職をしています。

今回は、新卒社員の転職の実態や離職理由についてご紹介。

早期離職のあと、転職活動をしている若者を採用するメリットや手法についてもお伝えします。

新卒入社後すぐの転職-その実態と理由

厚生労働省の調査によると、日本全国の平成30年の新卒社員の数は461,041人
そのなかで、1年以内に離職した人数53,326人と、全体の11.6%にも昇ります。

まずは、新卒社員の離職・転職の現状と、転職したいと希望した理由についてお伝えします。

参照:新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況

新卒社員の早期離職・転職は珍しくない

一般的には、入社から3年目までの離職・転職を「早期離職(転職)」といいます。

先にお伝えした厚生労働省の調査では、毎年、新卒社員の総数と、1年目〜3年目にまでに離職または転職した人数、離職・転職率を調べています。

過去3年分の、大学新卒者の転職者数・転職率は、以下の通り。

平成28年 新卒者総数:448,309人
    • 1年目離職者:51,158人(11.4%)

 

    • 2年目離職者:47,471人(10.6%)

 

    • 3年目離職者:44,731人(10.0%)

 

 

平成29年 新卒者総数:458,500人
    • 1年目離職者:53,108人(11.6%)

 

    • 2年目離職者:51,736人(11.3%)

 

 

平成30年 新卒者総数:461,041人
1年目離職者:53,326人(11.6%)

参照:新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況

このように、新卒者は1年に約10%ずつ転職・離職していて、3年以内の早期転職者は全体の30%ほどにもなります。

ちなみに、この数値は調査を始めた平成8年からずっとほぼ同じです。
景気や情勢に関わらず、新卒者の約10人に3人は早期離職をするものと考えて良いでしょう。

新卒入社後すぐの転職希望理由

それでは、新卒入社後すぐに会社を辞める社員に多い、転職理由を解説していきます。

給与に不満があった

新卒者には経験がないため、入社直後からいきなり高給取りになれる人はごくわずかです。

もちろん、入社前に待遇を知って納得しているはずですが、社会保険料などが引かれた手取りが思ったより少なく給与に不満を感じる人もいるでしょう。
「これならフリーターの方が稼げる」「資格を取って就職しなおそう」など、給与が理由で離職する新卒者は多いです。

また、残業代がつかないなどの不正がある会社や、勤め続けても昇給が見込めない会社からも、新卒社員は早めに離職したがるでしょう。

残業・休日出勤が多かった

残業や休日出勤など、長時間労働も新卒者に多い離職理由です。

それでも、労働時間に見合った給与が出ていれば踏みとどまる理由になりますが、新卒者はまだ仕事を学ぶ段階であることから、時間外労働に十分な給与を支払わない会社も。

また、単純に体力的にきついという理由で、転職を考える新卒者も多いようです。

やりがいを感じられない

仕事にやりがいを感じられないということは、入社前にはわかりにくい離職理由です。

会社の事業自体には魅力を感じて入社しても、新卒者はなかなか核心的な部分に関わらせてもらえないということもしばしば。

キャリアパスが見えないまま、誰にでもできるような仕事ばかり振られることが、離職に繋がってしまうケースもあるようです。

希望した配属先と違った

希望した配属先と違う、つまり仕事のミスマッチは、近年増えている離職理由。

多くの企業では、新卒者にはいくつかの部署を経験させながら育てていきますが、近年の若者は専門職志向が強く早く見切りをつけてしまうという傾向があります。

離職されてしまう前に希望の部署への転属を検討するのはもちろんですが、配属前にキャリアパスや配属理由などを明確にし、理解を得ることも重要です。

会社や自分の未来が不安になった

会社の業績が悪い成果に見合った評価が得られない長く勤めている上司の暮らしぶりが悪い…など、未来に不安を感じて転職する新卒者もいます。

少子高齢化の影響により、若い労働力はどの業界・どの会社でも求められています。

全く違う業界に転職するなら早い方が良いので、未来を感じられない業界や会社には早めに見切りをつけてしまう若者も多いのです。

新卒転職者の採用メリット

新卒者の離職は会社にとって痛手ですが、新卒転職者を採用することには様々なメリットがあります。

(1) 基本的なビジネスマナーを習得済み

新卒者の採用後には、ほとんどの会社で基本的なビジネスマナーを学ぶ研修が行われます。

この段階で離職する新卒者は少ないので、少しでも仕事を経験してから転職した若者は、基本的なビジネスマナーを身につけています。

初歩中の初歩の研修にも時間やコストはかかりますので、この段階を省けることはメリットと言えるでしょう。

(2) 転職者側も適性を見極めて希望する

新卒者は、あまり社会を知らないということもあり、就職活動の際に「とにかく大手企業」「稼げる仕事」「イメージのいい仕事」などを軸にしていることが多いです。

しかし、早期離職を経験した転職者は、今度こそ長く働ける会社を見つけるため「自分に合った仕事」を探すようになります。

転職者側・採用者側の両面で適性を見極めることにより、ミスマッチを防いで再度の早期離職率を下げることができるのです。

(3) 会社への柔軟な適応力が期待できる

前職を早期離職した新卒転職者は、仕事のやり方や考え方が凝り固まっていません
柔軟性や適応力が期待できるので、経験のある中途採用より教育がしやすいでしょう。

自社の文化をしっかりと理解してもらえれば、将来的に会社のコアを担う人材としても育てていくことができます。

(4) 採用コストが少なく済む

新卒採用は、対象となる学生の数が多いので、広告掲出や審査に膨大なコストと時間がかかります

しかし、新卒転職者の採用の場合、そもそも母数が新卒者の1/3程度
アプローチする対象がピンポイントなので、募集方法や応募数を絞ることができます。

採用コストを抑えて、若くて基礎マナーが身についている人材を採用できるのが、新卒転職者採用のメリットです。

新卒転職者の採用手段は?

最後に、新卒転職者を採用するには、どんな方法が向いているのかをお伝えします。

リファラル採用に注力する

リファラル採用とは、社員からの紹介で人材を採用することです。

新卒者の1/3は早期離職するものなので、自社の若手社員の周りにも「今の仕事を辞めたい」「辞めてしまって仕事を探している」という友人・知人がいる可能性が高いです。
そんな人材を紹介してもらうことができれば、広告掲出など募集にかかる採用コストを削減することができます。

ただ、採用に繋がらないと人間関係にヒビが入る可能性もあるので、社員にはきちんと採用情報を説明し、適切な人材を紹介してもらうことが重要です。

SNSを活用する

20代前半の新卒世代は、ほとんどの人がTwitter・InstagramといったSNSを一つは利用しています。
そのため、若い人材を募集したいなら、SNSの活用は非常に効果的。

SNSは、通常利用は無料ということが多く、コストがかからないのもメリットです。

また、採用サイトでは伝わりきらない社内の雰囲気などもよりしっかり伝えることができ、「自分に合う会社」を探している新卒転職者との親和性も高いです。

転職サイト・エージェントを利用する

転職サイト・エージェントの中には、早期離職者や第二新卒専門の業者もあります。

利用料はかかりますが「企業は採用したい、求職者は就職したい」という需要と供給が一致しているので、短期間で若手社員を採用できる可能性が高いです。

新卒転職者の採用におすすめのサイト・エージェントは、以下の通り。

< リクルートエージェント >
リクルートエージェントは、知名度が高いため若い利用者も多いのがポイント。
幅広い業種に対応し、全国各地に拠点があるため、業界・所在地を問わず利用できます。

< dodaエージェントサービス >
dodaエージェントサービスは、エグゼクティブ層・バイリンガル・アパレル、ファッション業界・障害者など、専門領域の紹介サービスが充実しているのが特徴。
求人広告・スカウトメールなど、エージェントからの紹介以外の手法も組み合わせた採用が可能です。

< 第二新卒 AGENT neo >
第二新卒 AGENT neoは、その名の通り第二新卒専門の転職エージェントです。
18〜28歳までの登録者が圧倒的に多いので、未経験でも、とにかく若い人材を採用したいという企業におすすめです。

まとめ

新卒者の3年以内の転職率は、約30%。
約10人に3人は早期転職しているということになり、決して珍しいことではありません。

早期離職は企業にとっては痛手ですが、新卒転職者の採用にはメリットも多いです。

新卒転職者のニーズにあった採用手法を導入することで、効率的に若い人材を獲得することができるでしょう。

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