株式会社グローバルパワー 増島繁行氏インタビュー 高度外国人材が日本の中小企業を活性化する!マッチングを重視した雇用支援

株式会社グローバルパワーは2004年に創業し、現在は高度外国人材の雇用支援にフォーカスしたサービスを展開する企業です。GHR事業部部長 増島繁行氏にお話を伺いました。

ITエンジニアの人材不足を中心に、高度外国人材と呼ばれる専門技術や知識を持った優秀な人材の獲得競争が激化しています。いわゆる技人国(ぎじんこく)といった技術・人文知識・国際業務の在留資格を持った外国人は、大企業はもちろん中小企業の戦力として、さらなる期待が集まるようになりました。

「高度外国人」に特化したサービスを展開

シロフネ編集部:外国人雇用のパイオニアという印象があります。時代を遡って、創業時のお話をお聞かせいただけますか?

増島氏:創業は2004年ですが、その当時は高度外国人の雇用支援ではありませんでした。居酒屋、ホテル、コンビニエンスストアなどに人材を紹介していました。

シロフネ編集部:外国人の雇用が浸透していない時代だけに大変だったのでは?

増島氏:そうですね。創業当時は交流会などに参加して受入企業を探したり、営業はテレアポや飛び込み中心です。いまでは当たり前ですが、コンビニエンスストアに外国人の従業員がいなかった時代。和食屋に営業をしたときは「うちは和食屋だけど、外国人で大丈夫か?」と言われたことがあります。

シロフネ編集部:高度外国人の雇用支援にシフトしたのは、いつ頃からでしたか?

増島氏:5~6年前だったと思います。現在でも特定技能の外国人の紹介や技能実習はまったく行っていません。

創業時は飲食店やコンビニエンスストアからの問い合わせがあったときに、効率的に企業と外国人の応募者をつなぐ「カタコトバイト」というWebサイトを作ったのですが、いまは高度外国人向けの「NINJA」が中心になっています。

採用のマッチングを重視した「NINJA」

シロフネ編集部:「NINJA」について教えてください。

増島氏:日本で働きたい高度外国人材と企業のマッチングサイトです。外国人の採用を検討している企業から求人の要件をヒアリングして掲載し、エントリーがあった高度外国人材を私たちで面談をして紹介するために使っています。

シロフネ編集部:サービスの特長を教えていただけますか。

増島氏:外国人の紹介では「ミスマッチをなくす」ことを重視しています。

外国人はアグレッシブな人が多いのですが、日本語上級といっても実際に面談すると片言しかしゃべれない人も一定数います。そこで私たちが丁寧に面談してスキルチェックやキャリアプランなどの確認をしています。

シロフネ編集部:外国人の応募者はどれぐらいありますか?

増島氏:毎月NINJA経由での登録は500人程度です。

やはり重要なのはマッチングです。就職や転職が失敗する理由として、入社前の話と違っていたことが多いのではないでしょうか。

外国人の能力を見極めると同時に、企業のビジョン、事業内容、業務内容を丁寧に分かりやすく説明し「こういう企業、仕事、職場だから、あなたの経験を活かせる」という話をします。「じゃあやってみたい」「あなたなら大丈夫」と納得した上で紹介しています。

高度外国人材に求められる海外営業、Webマーケティング

シロフネ編集部:高度外国人材を求める企業側としては、どのような傾向がありますか?

増島氏:全国の中小企業から外国人採用のご相談を頂き、従業員数でいえば50人~200人規模の会社が中心です。時期にもよりますが、毎月50~100社。メーカーとIT系企業が目立ちます。

シロフネ編集部:募集職種としてはいかがですか。

増島氏:いちばん多いのが海外営業、Webマーケティング、エンジニア関連です。最近ではゲーム会社のローカライズ(日本語の翻訳)、UI/UXデザイナーなどの求人もあります。あとはメーカーの生産管理、バックオフィスでは海外子会社の連結決算を担当する経理などです。

シロフネ編集部:先程マッチングのお話を伺いましたが、データベースで管理されているわけですね。

増島氏:そうです。履歴書などに記載された経歴などはもちろん、お人柄やキャリアプランなど面談時の内容も記録して管理しています。

外国人「でも」から、外国人「が」求められる雇用へ

シロフネ編集部:ところで話は変わりますが、東京農業大学の学生時代には海外留学を経験されていらっしゃいますね。

増島氏:ブリティッシュコロンビア大学に留学しました。大学では地方創生、地域経済の活性化をテーマとして、地域の自然や人々と触れ合うグリーンツーリズムについて学んでいました。

留学では世界中の同世代の人々と出会うことができ、文化の違いに刺激を受けました。海外の人材を採用してダイバーシティを実現しなければならない発想のルーツがあったかもしれません。

シロフネ編集部:そのようなご経験も踏まえて、日本が外国人を受け入れるにあたって、どのような障壁があるとお考えですか?

増島氏:採用側の企業の日本語能力へのこだわりがボトルネックになっていると考えています。どうしてもまだ日本語能力トップレベルのN1を求める傾向が強いです。

シロフネ編集部:外国人にはどのような役割を求めているのでしょうか?

増島氏:いくつかありますが、まず海外進出や海外向け事業のための人材です。

言語スキルを活かして、海外の最新情報を正確にキャッチアップしたり、母国のネットワークがあることで海外での新規開拓などで強みを発揮してくれます。また、日本人よりも業務効率を考えて行動しますから生産性を上げてくれたり、新しい価値観を提供してくれます。

以前は人材不足から「外国人でもいい」という企業が多かったのですが、コロナ禍以降は「外国人がいい」という企業が増えています。

シロフネ編集部:なるほど。外国人「でも」いいと、外国人「が」ほしいというのは大きな違いだと思います。

増島氏:採用の本質を重視しているので「外国人でもいいのですか?それとも外国人がいいのですか?」を必ず確認します。

なぜなら「外国人でもいい」というのは、ファーストチョイスではないんですよ。セカンドチョイス。採用する側にも雇用される側にもワクワク感がないことから離職する可能性が高まります。

「国籍は関係ないよ。あなたのこのスキルと経験を活かして頑張ってほしい」という期待が大切です。そこに尽きます。

シロフネ編集部:外国人でもいいという姿勢の企業が変わることもありますか?

増島氏:もちろん。高度な人材を紹介すると「こんなスペックの外国人が日本にいるんだね」と驚かれます。「次も外国人でいこう!」と。

高度外国人材だからできること、専門性や知識を活かすこと

シロフネ編集部:具体的な高度外国人の紹介の成功事例があれば教えてください。

増島氏:大手電気メーカーがアフリカ向けシステムの開発・販売をしたいという要望があったのですが、アフリカ出身の方をお繋ぎして、数カ月後にアフリカでシステム販売がスタートする記事を新聞で見た時はすごく嬉しかったです。

化粧品関連では、日本人が頑張っても開拓できなかった窓口をある外国人女性が開拓して、海外の売上比率が2倍や3倍に伸びたケースもあります。お繋ぎしてよかったなあ、と。

シロフネ編集部:エンジニアでもありますか?

増島氏:福岡のある中小企業ですが、AIのエンジニアを探すのが大変だったところ、うちの外国人材データベースから紹介したことがあります。インドネシア出身のN1クラスのエンジニアでした。関西の一流大学で学んだ学歴がありました。

シロフネ編集部:高度外国人材を活かす秘訣は何でしょうか?

増島氏:入社後にトラブルになるのは「やりたかったことができない」ケースです。したがって、事前にヒアリングして、たとえば営業であれば、どういう営業手法なのか、営業チームの編成や先輩外国人社員の有無、業務でどのくらい言語を活用するのか、評価手法まで、一次面接に臨む段階から明らかにするようにしています。

さらに、人事担当者だけの一次面接になると、高度な専門性があるにも関わらず日本語が多少できないだけで不採用になる場合があります。先輩外国人社員が働いていれば同席してもらい、外国人がいないときは担当部署の方に参加してもらいます。このことによって、最近は入社後のトラブルやミスマッチが少なくなりました。

シロフネ編集部:採用が成功すると企業から信頼いただけますね。

増島氏:そうなんです。「期待通りの人材を丁寧に早く紹介してくれる、さらに在留資格のアドバイスや入社までのフォローアップも親切で丁寧」という評価から、おかげさまでリピートをいただいています。離職率の低さも誇っています。

シロフネ編集部:最後に高度外国人材の雇用のこれから、今後の抱負についてお願いします。

増島氏:オンラインが当たり前の時代、世界中の企業が競合になります。しかし、日本が好きで、日本で活躍したい外国人はたくさんいます。そうした外国人たちと企業の「架け橋」を作るために貢献したいと考えています。

シロフネ編集部:本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

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