Continuing Care Retirement Community の略称である「CCRC」。アメリカで始まった、継続的に健康面でのケアを受けられる高齢者コミュニティです。単なる老人介護施設ではなく、隠遁生活を送るのではなく、生涯に渡りイキイキと学び、やりがいをもって生活できる居住コミュニティです。かつて米国でも、「現役を早く引退して、温暖なフロリダでゆったり暮らしたい」というニーズが多かったのですが、最終的に、真に現役を引退してただただ遊んで暮らすと、寿命も縮まってしまったり、生きることに張り合いを見いだせないなどの歴史がありました。現役後の生活については、長い実体験と検証がされてきたわけです。(photo by wikipedia)
大学街は人の出入りがあって近隣エリアが活況に。かつ生涯を学び豊かに暮らす発想
今回『シロフネ』的に注目したいのは、カレッジリンク型のCCRCです。
その名のとおり、大学に隣接して居住コミュニティを創設するものですが、これには高齢者による知的欲求の継続が理由となっています。従来、リゾート地などで広大なゴルフ場をはじめとするアクティビティ重視で展開していたCCRCですが、こうした「生涯学びたい」というニーズを反映した形です。
アメリカにおける主要なカレッジリンク型CCRC
- ワシントン大学
- スタンフォード大学
- ダートマス大学
- コーネル大学
- フロリダ州立大学 など
米国には80ものカレッジリンク型CCRCが存在しており、マサチューセッツ州のラッセル・ビレッジは、大学の敷地内にあります。このCCRCに入居する条件として、年間450時間もの授業出席が挙げられています。ダートマス大学の近隣にあるケンダル・アット・ハノーバーは、なかでも非常に成功事例として注目されていました。平均年齢84歳の高齢者が集いますが寝たきりの方は2割程度、寝たきりにさせない運動、食事、予防医療、生涯学習などのプログラムをしいています。ダートマス大に通う学生たちの若々しい姿を頻繁に目にすることで、追い込まずに若々しくいられると言います。また、人気なのがダートマス大学で行われる生涯学習で、生き方学習から国際政治といった内容までバラエティに富んでいます。
現在、日本でも高齢者継続的ケア付きコミュニティが注目されていますが、大学がある街は大きくにぎわいますし、断然カレッジリンク型に期待したいところです。