エンジニアというと、なんとなく男性を思い浮かべる方が多いかと思います。
実際、エンジニアは男性比率がかなり高く、女性のエンジニアはまだ2〜3割ほどです。
しかし、エンジニアという仕事は需要も年収も高く、しかも女性が働きやすい条件が揃っています。
今回は、女性がエンジニアとして働くメリットや、エンジニアとして成功するためのポイントを解説していきます。
この記事の目次
女性エンジニアの実態
まずは、現在の女性エンジニアの割合や年収など、女性エンジニアの実態を知っていきましょう。
女性エンジニアの割合
平成29年の東京都による調査によると、情報通信業に従事する女性の比率は29.1%。
体力が必要な建設業・運輸業に次いで、3番目に低くなっています。
また、年度は違いますが経済産業省による平成28年の調査では、IT関連産業の女性比率は24.1%。
東京都だけではなく全国でも、エンジニアの7〜8割は男性が占めていて、女性は極端に少ないという結果でした。
参照:女性が輝くTOKYO懇話会「情報通信業における女性活躍推進の状況 」
参照:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」
女性エンジニアはなぜ少ない?
なぜ女性のエンジニアが少ないかというと、極端な文理分けや長時間労働が原因と考えられます。
エンジニアは、理系出身者を中心に採用されます。
理系を選ぶ女性が少ない理由には諸説ありますが、「リケジョ」という言葉が誕生するほど理系の女性は少なく、そもそも女性の就職にエンジニアという選択肢が昇りにくいです。
また、エンジニアは人材不足で、長時間労働になりがちです。
プロジェクトが大詰めの場面やトラブル対応などでは深夜残業になることも多く、体力のない女性には厳しいという側面も。
子育てとの両立も難しいことから、エンジニアは女性に忌避されている職業でもあります。
女性エンジニアの年収
エンジニアの年収は職種によってばらつきがありますが、例として女性システムエンジニアの年齢ごとの平均年収は以下の通り。
25〜29歳:431.2万円
30〜34歳:497.2万円
35〜39歳:497.4万円
40〜44歳:522.5万円
45〜49歳:543.3万円
50〜54歳:580.2万円
55〜59歳:619.4万円
60〜64歳:365.3万円
民間企業に勤める会社員の平均年収は420万円と言われているので、女性エンジニアの年収は平均よりもやや高い水準です。
参照:https://www.creativevillage.ne.jp/53221
女性がエンジニアとして働くメリット
それでは、女性がエンジニアととして働くメリットについて解説していきます。
男女平等に評価される
エンジニアは、他の業種に比べると男女の格差が少ない職業です。
現在のデータでは、男女の賃金格差が30〜50代で50〜100万円ほどありますが、他の業界に比べれば格差が小さい方ですし、今後も是正されていくでしょう。
なぜエンジニアは男女格差が小さいかというと、実力主義で、性別ではなくスキルで判断される傾向が強いためです。
技術さえあれば男女関係なく評価され、どこでも重宝されるので、性別が理由の理不尽なハンデを負わずに働くことができます。
職場復帰・転職がしやすい
IT技術の発展により、エンジニアは非常に需要が高い職業になっています。
そのため、結婚・出産・育児を経て復帰する時や、転職をしたい場合にも働き口を見つけやすいです。
配偶者の転勤によって住む場所が変わったり、キャリアを一度中断しても働き続けやすいのは、女性にとって大きなメリットでしょう。
時給・年収が高い
先にもお伝えしましたが、専門知識が必要なエンジニアは、他の職種よりも年収が高いです。
パートや派遣社員として働く場合も時給が高いので、柔軟に働き方を選んで効率的に稼ぐことができます。
様々な働き方が可能
エンジニアは、PCさえあればできる仕事も多いので、働く場所に縛られにくいです。
リモートワークやフレックスタイム制を採用している会社も多く、ライフスタイルに合わせた働き方を選択できます。
また、服装が自由な企業も多いため、自分が好きなファッションや髪型を楽しんだり、逆にノーメイクや楽な服装で出勤しても咎められることがありません。
肉体的負担が少ない
エンジニアの仕事は、大部分の作業を机でPCと向き合って行います。
重い荷物を運んだり、炎天下の中歩き回ったりすることがないので、肉体的負担が少ないです。
体の仕組み上、男性より筋肉量が少なかったり、ホルモンバランスによって体調が変わりやすい女性の体質に合っていると言えるでしょう。
女性がエンジニアとして働くメリットと悩み
女性がエンジニアとして働くことには、メリットがある反面、女性ならではの悩みもあります。
女性が少なく悩みを共有しにくい
先にもお伝えしましたが、エンジニアは依然として女性比率が少ないです。
10人に7〜8人は男性という職場では、女性特有の悩みを共有しにくいでしょう。
例えば、生理や妊娠初期、産後の体調不良を理解してもらえなかったり、セクハラや慣例的な男女差別に直面する場面もあるかもしれません。
一人では解決できない悩みは、上長や同じ立場の女性の協力を得たり、会社への働きかけなどで、根本から改善していく必要があります。
残業が多い
残業が多くなりがちなことも、エンジニアとして働くデメリットです。
長時間残業がきついのは男女共通ですが、家庭を持つ女性は、夕飯作りや子供のお迎えに間に合わないという焦りと、職場での評価が下がるジレンマに悩んでしまうこともあるでしょう。
女性がエンジニアとして活躍するためには、家族の理解や協力が必要になる場面もあるのです。
女性がエンジニアとして成功するための3つのポイント
それでは、女性がエンジニアとして成功するためのポイントとなる、3つの努力について解説します。
①実績を積み重ねる
エンジニアの評価は「その人に何ができるのか」という実力ベースで決まります。
その実力を明確に示せるのが、実績です。
無理なくこなせるルーティンワークに終始するのではなく、時にはチャレンジングな仕事もこなして実績を作りましょう。
優れた実績は、社内での昇進にも、転職時の面接や給与交渉でも武器になります。
②対人関係スキルを身につける
女性エンジニアは、男性社会であるIT業界では少数派になります。
理想的なのは少数派にも配慮してくれる会社ですが、実際はそうはいかない場面も多いでしょう。
コミュニケーション能力を身につけ、周囲を味方にすることで、自分の主張を理解してもらいやすくなります。
また、PCとばかり向き合って仕事をするエンジニアは、全体的に対人スキルが低い傾向があります。
他の人より対人スキルが高く、周囲を気遣えるというだけでも、エンジニアとして働く上では強みになるのです。
③常に上流工程を意識する
エンジニアの仕事は「上流工程」「下流工程」という表現で序列がつきます。
ざっくり言うと、上流工程はサービスの企画に携わるような核心的な仕事、下流工程は上流工程で決められた指示に従って手を動かす単純労働です。
未経験からエンジニアになると、当然最初に携わるのは下流工程。
しかし、自分の作業範囲だけを見て満足していると、その後の昇進や昇給には繋がりません。
下流工程に携わる時でも、常に上流工程を意識し「なぜこの作業が必要になるのか」「改善できる部分はないか」など考えることが大切です。
未経験でも女性エンジニアになれるか
女性が未経験からエンジニアになることは、可能です。
繰り返しになりますがエンジニアは人材不足なので、技術さえあれば未経験でも歓迎する企業は多いでしょう。
しかし、逆に言うと初歩的な技術は自分で努力して身に付ける必要があるということです。
作業用のPCを手に入れるのはもちろん、本や動画、スクールなどに初期投資をして、「ある程度使える」というレベルまでは自分で持っていかないといけません。
未経験からエンジニアを目指す女性は、まずは自分が身につけたい技術の分野を決め、初歩的な勉強から始めましょう。
まとめ
エンジニアは、年収が高く需要があり、女性にとって働きやすい条件が揃った職業です。
現在は男性比率が高い職業のため、女性ならではの悩みが発生する場面もあるでしょう。
しかし今後は、働き方改革などによって男女格差や就労環境が是正される可能性が高いです。
年収アップや異業種への転職を検討している女性は、エンジニアになる勉強を始めるには最適のタイミングと言えます。