労働者不足が叫ばれる日本ですが、特にエンジニア不足の問題は深刻です。外国人エンジニアの採用に目を向けている企業は増えており、【経済産業省資料「IT人材を巡る現状】平成27年資料によると、平成25年時点約で約2万8千人が採用されています。しかし、日本のエンジニア人口は同時点で約108万人となっているので、割合としてはまだまだ少ないと言えるでしょう。
政府の後押しもあって、今後も外国人エンジニアの採用は増加していくと考えられています。
外国人エンジニアが日本で就労するためには、技術ビザの在留資格取得が必要です。当記事では、技術ビザの取得方法、変更、更新方法について解説します。外国人エンジニアの採用を考えている人事担当者の方は、ぜひ参考にご覧ください。
外国人エンジニアは技術ビザが必要
外国人エンジニアが日本で就労するために必要な在留資格である「技術ビザ」とは、日本の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動のためのビザのことです。
技術ビザを取得する方法
技術ビザの在留期限は5年、3年、1年又は3か月の4種類です。まずは、技術ビザを取得する方法について、取得要件、必要な書類などを解説します。
技術ビザの取得要件
技術ビザを取得するためには、申請人が次の要件のいずれにも該当していなければなりません。
① 従事しようとする業務について、これに必要な技術もしくは知識に係る科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けていること又は10年以上の実務経験を有していること。(外国における大学を含む)
② 申請人が情報処理に関する技術又は知識を要する業務に従事しようとする場合、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格し又は法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する資格を有していること
③ 日本人が従事する場合における報酬と同等以上の報酬を受けること。
技術ビザ申請に必要な書類
技術ビザを申請する際に必要な書類を紹介します。上場企業や該当する企業では必要な書類が省略される場合があります。
必須書類
・在留資格認定証明書交付申請書・写真(縦4cm×横3cm) 1枚
※申請前3か月以内に正面から撮影された無帽、無背景で鮮明なもの。
・パスポート及び在留カード(外国人登録証明書を含む)
・提示・返信用封筒
定形封筒に宛先を明記の上、簡易書留用の380円分の切手を貼付したもの
・招聘理由書
本人の理由書、入管専門家の指導方針等を記載する。
・専門士又は高度専門士の方は称号を証明する文書
招聘会社が上場企業の場合
・四季報の写し
・日本の証券取引所に上場していることを証明する文書
・主務官庁から設立の許可を受けたことを証明書する文書
招聘会社の法定調書合計表の源泉徴収税額が1,5000万円以上の団体・個人の場合
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
法定調書合計表を提出した団体・個人の場合
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
・労働条件を明示する文書
・役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録
・地位、期間、報酬額を明らかにする所属団体の文書
・申請人の履歴書
・大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書
・関連する業務に従事した期間を証する文書
・IT技術者については、法務大臣が特例告示をもって定める「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書
・DOEACC制度の資格保有者の場合は、DOEACC資格の認定証(レベル「A」、「B」又は「C」に限る。)
・事業内容を明らかにする資料
・登記事項証明書
・直近の決算文書の写し
法定調書合計表を提出していない団体・個人の場合
・労働条件を明示する文書
・役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録
・地位、期間、報酬額を明らかにする所属団体の文書
・申請人の履歴書
・大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書
・関連する業務に従事した期間を証する文書
・事業内容を明らかにする資料
・登記事項証明書
・直近の決算文書の写し
・新規事業の場合は事業計画書
・給与支払事務所等の開設届出書の写し
・直近3ヶ月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書
招聘理由書は大切
在留資格の申請をする上、招聘理由書はでとても重要です。他の申請書類が揃っていたとしても、招聘理由書があやふやだと許可は下りません。
逆に、在留資格申請の書類が全て揃っていなくても、招聘理由書がしっかりしたものであれば許可が下りることもあるようです。入国管理局の担当官が専決しても良い判断できる招聘理由書となるよう、慎重に記入しましょう。
在留期間の特例
余裕を持って申請しても、場合によっては許可が下りる前に在留期限が切れてしまうことがあります。そのような場合のために、「在留期間の特例」という制度があります。
これは、申請をしておけば、在留期間満了日から2ヶ月を経過する日までは日本に在留できるという制度で、この期間内に入国管理局の審査を完了できます。
技術ビザを更新する方法
技術ビザの在留期限は5年、3年、1年又は3月の4種類が規定されていますので、在留資格が切れる前に更新しなければなりません。再度技術ビザを取得したい場合の更新方法を紹介いたします。
更新許可申請は、在留期限のおおむね3ヶ月前からできます。更新を申請して審査が下りる期間は、二週間から一か月となっています。
技術ビザ更新に必要な書類
技術ビザの更新に必要な書類は以下のものがあります。
・在留資格認定証明書交付申請書
・写真(縦4cm×横3cm) 1枚
・パスポート及び在留カード(外国人登録証明書を含む)の提示
・返信用封筒
・招聘理由書
本人の理由書、入管専門家の指導方針等を記載する
・専門士又は高度専門士の方は称号を証明する文書
招聘会社が上場企業の場合
・四季報の写し
・日本の証券取引所に上場していることを証明する文書
・主務官庁から設立の許可を受けたことを証明書する文書
招聘会社の法定調書合計表の源泉徴収税額が1,5000万円以上の団体・個人の場合
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
法定調書合計表を提出した団体・個人の場合
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
・労働条件を明示する文書
・役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録
・地位、期間、報酬額を明らかにする所属団体の文書
・申請人の履歴書
・大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書
・関連する業務に従事した期間を証する文書
・IT技術者については、法務大臣が特例告示をもって定める「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書
・DOEACC制度の資格保有者の場合は、DOEACC資格の認定証(レベル「A」、「B」又は「C」に限る。)
・事業内容を明らかにする資料
・登記事項証明書
・直近の決算文書の写し
法定調書合計表を提出していない団体・個人の場合
・労働条件を明示する文書
・役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録
・地位、期間、報酬額を明らかにする所属団体の文書
・申請人の履歴書
・大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書
・関連する業務に従事した期間を証する文書
・事業内容を明らかにする資料
・登記事項証明書
・直近の決算文書の写し
・新規事業の場合は事業計画書
・給与支払事務所等の開設届出書の写し
・直近3ヶ月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書
技術ビザに変更する方法
他の在留資格から技術ビザに変更したいときは、どうすれば良いのでしょうか。必要書類など含めて紹介します。
技術ビザへの変更に必要な書類
・在留資格変更許可申請書
・パスポート及び在留カード(外国人登録証明書を含む)の提示
・専門士又は高度専門士の方は称号を証明する文書
・招聘理由書(本人の理由書、入管専門家の指導方針等を記載する)
招聘会社が上場企業の場合(下記の1つを提出)
・四季報の写し
・日本の証券取引所に上場していることを証明する文書
・主務官庁から設立の許可を受けたことを証明書する文書
招聘会社の法定調書合計表の源泉徴収税額が1,5000万円以上の団体・個人の場合
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
法定調書合計表を提出された団体・個人の場合
・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表
・労働条件を明示する文書・役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録
・地位、期間、報酬額を明らかにする所属団体の文書
・申請人の履歴書
・大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書
・関連する業務に従事した期間を証する文書
・IT技術者については、法務大臣が特例告示をもって定める「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書
・DOEACC制度の資格保有者の場合は、DOEACC資格の認定証(レベル「A」、「B」又は「C」に限る。)
・事業内容を明らかにする資料・登記事項証明書・直近の決算文書の写し
法定調書合計表を提出していない団体・個人の場合
・労働条件を明示する文書
・役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録
・地位、期間、報酬額を明らかにする所属団体の文書
・申請人の履歴書
・大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書
・関連する業務に従事した期間を証する文書
・事業内容を明らかにする資料・登記事項証明書
・直近の決算文書の写し
・新規事業の場合は事業計画書
・給与支払事務所等の開設届出書の写し
・直近3ヶ月分の給与所得
・退職所得等の所得税徴収高計算書
技術ビザに関するよくある質問
技術ビザについて寄せられるよくある疑問を2点ご紹介いたします。
技術ビザと人文知識・国際業務の違いとは?
「技術・人文知識・国際業務」は、入国管理局が定める在留資格(ビザ)の名称で、「技術」「人文知識」「国際業務」の3つの分野に分かれています。
「技術」は、システムエンジニア、プログラマー、精密機械の設計・開発、建設機械の設計・開発などが当てはまります。
「人文知識」は、経理・会計、金融、コンサルタントなど、「国際業務分野」は翻訳・通訳、語学の先生、貿易取引業務などが該当します。
短期ビザを利用している企業が多い?
以前は、短期滞在ビザ(研修目的)で来日後に技術ビザを改めて取得させる企業が多かったのですが、現在は短期ビザから就労ビザへの変更の手続きが難しくなっており、短期ビザを利用している企業は減っています。
まとめ
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、最も申請数が多く一般的な就労ビザと言われています。せっかく採用しても在留資格が取得できなければ意味がありません。
必要な書類をきちんと揃え、期限が切れることがないように早めの申請を心がけましょう。