新卒採用が売手市場になる中で、内定辞退者を減らすための内定者フォローが注目されています。
若手人材を獲得するためには、効果的な内定者フォローで内定者の気持ちを掴むことが重要です。
今回は、内定者フォローのやり方や使えるツールをご紹介していきます。
実際に行われているユニークな事例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
内定者フォローの目的と重要性
まずは、なぜ内定者フォローが必要なのか、その理由をお伝えしていきます。
内定者フォローの目的
内定者フォローの目的は、内定辞退者を出さずに全員の入社を実現することです。
内定者は、内定を承諾した時点ではもちろん入社する意志があるのですが、時間が経つにつれて不安を感じ、内定辞退者が出る可能性があります。
そのため、内定者フォローでは内定者の不安を取り除き、安心して入社できるようにガイドする必要があります。
内定者フォローが重要な理由
内定者フォローが重要な理由は、時間と費用をかけたすべての採用活動を無駄にしないためです。
また、現在の新卒採用はコロナの影響で多少の変化はあれども、売り手市場は継続している状況だと言えます。
複数の内定を獲得する学生も多く、自社への入社を決めてもらうためには内定を出した後の工夫が必要なのです。
若手人材の確保が難しくなる中で内定の早期化も進んでいるため、内定承諾から入社までの「内定ブルー」を防ぐためにも内定者との定期的なコンタクトが重要となります。
5つの「内定者が望んでいること」
内定者が会社に望んでいることを知り、ニーズに合わせた内定者フォローを行うことで、内定辞退者を出しにくくすることができます。
1. 内定者同士のつながりが欲しい
内定獲得後、学生の意識は入社への準備に向いていきます。
しかし、学生同士では就職活動の進み方に差があるので、周りの仲間とは話題を共有できないことも。
同じ立場で悩みや不安を共有できる内定者同士の繋がりは、内定者にとって心強いです。
2. 本当の情報・現場の声が聞きたい
次に、内定者が気になるのは入社後の実態です。
就職は人生の大きな転機になるため、失敗したくないという思いを持つのは当然。
求人情報では会社の悪いところは見せていないのは内定者も承知しているので、追加の情報がないと不安になってしまいます。
内定者インターンなどで現場に内定者を招き入れたり、去年の新人研修のマニュアルを見せるなど、「今後」が具体的にイメージできる内定者フォローを行うと良いでしょう。
3. 会社の雰囲気が知りたい
雇用条件や仕事内容だけではなく、入社後に先輩社員とうまくやっていけそうかということも内定者の関心事です。
会社の雰囲気を掴んでもらうために、内定者フォローとして先輩社員インタビューや、会社内の写真や動画を共有する会社も。
事前に社内の雰囲気がわかれば、4月以降にそこで自分が働くイメージもしやすくなります。
4. 会社に何を期待されているのかを知りたい
内定者の中には、「入社しても会社の役に立つことができないのでは…」という不安を感じる人も。
その不安をなくすには、会社が新卒社員に何を求めて採用したのかを明確にすると良いでしょう。
会社側の思いを伝えておくことで、内定者も準備をして入社に臨むことができます。
5. 最低限のビジネスマナーを知っておきたい
新卒採用では、入社研修としてビジネスマナー講座などを実施する会社がほとんどです。
しかし、初めて社会に出る学生は「実際のスタートを切る前に社会常識を知っておきたい」と思っています。
入社後のビジネスマナー研修を、内定者研修として前倒しするのも一つの方法です。
内定者フォローに使えるツール
それでは、実際に内定者フォローを行っていくために、使えるツールとそれぞれの特徴をお伝えします。
SNS・電話・手紙・メール
SNS・電話・手紙・メールといったツールは、新規システムを導入する必要がないため手軽に使えて、内定者に対するメッセージがストレートに伝わりやすいです。
ただし、内定者の人数が多い場合、電話や手紙は非常に手間がかかるという欠点も。
また、事務連絡以外には何を伝えればいいのかわからないという悩みも発生しがちです。
社内メルマガ・社員ブログ
社内メルマガや社員ブログを内定者にも送付すると、会社内の雰囲気を掴んでもらいやすくなります。
注意点は、一方的なコミュニケーションになりがちなことと、内定者が全て読んでいるとは限らないこと。
また、会社と内定者の繋がりは作れても、内定者同士の繋がりを作ることはできません。
個人面談・座談会・懇親会
個人面談や座談会、懇親会といった実際に顔を合わせる機会は、内定者同士の繋がりを作ったり、内定者の不安や悩みを直接聞く機会になります。
デメリットは、準備や実施に時間がかかること。
また、現在の情勢では、感染症拡大のリスクもあります。
研修・eラーニング
研修やeラーニングでは、ビジネスマナーをはじめとした入社後に役立つスキルを内定者に伝えることができます。
デメリットとしては、外部講師などを依頼する場合は実施にコストがかかることです。
もし実施後に内定辞退者が出てしまうと、スキルだけを与えてコストを無駄にしたことになってしまいます。
その他
他には、「MOCHICA」「内定者パック」といった内定者フォローに特化したツールやサービスもあります。
「MOCHICA」は、LINEを利用した採用管理システム。
LINEを使った気軽なコミュニケーションや、面談日程の調整などができ、学生側も気楽に参加することができます。
「内定者パック」は、内定者用のSNSサイト。
情報共有や内定者同士のコミュニケーションができるのはもちろん、内定者向けのeラーニングサービスも受け放題で、総合的な内定者フォローをすることができます。
内定者フォローの流れ
実際の内定者フォローは、以下のような流れで進めていくのが一般的です。
①個人的・定期的な連絡・面談
まずは、個人的な連絡や面談を通して、内定者の不安を解消していきます。
この時点では、入社の意志を固めてもらうのが第一の目的です。
活発な連絡があるほど大切にされている感覚になりますが、人事担当者の負担が増えることも事実です。
最低でも月に1度は定期的な連絡・面談をすることで、安心感を与え、内定者であることの自覚を持ってもらうことができます。
選考の中ではできなかった質問なども出してもらい、しっかり回答を行いましょう。
②内定者同士の懇親会
次に、懇親会などで内定者同士の連帯感を高めます。
内定者同士の繋がりを作ることで、入社意思の低い内定者がいたとしても、周りの影響を受ける形で入社に向かわせることができます。
ただし、逆のケースも考えられるので、実施に際しては十分注意するようにしましょう。
③職場見学・社内行事への参加
内定者インターンなどで職場見学を行ったり、社内行事に参加してもらうことで、内定者と既存の社員の繋がりを作ることができます。
内定者同士の懇親会では得ることが出来ない、実際の仕事の話が聞きたい内定者が多いです。
入社2~3年目の先輩社員を巻き込んで、どんな仕事をしていて、どんな経験や失敗があったのかをより具体的に話してもらうことで、実際に自分が働くイメージがしやすくなります。
④通信教育・研修
最後に、通信教育や研修で、入社後に役立つスキルを教育していきます。
入社の準備を着実に進めているという実感を持つことで、意欲を持って入社してもらうことが可能です。
内定者フォローのユニークな事例
最後に、実際に企業が実施しているユニークな内定者フォローの事例をお伝えします。
株式会社サイボウズ
株式会社サイボウズでは、自社サービスである「サイボウズLive」を活用した内定者フォローを行っています。
会社側・内定者ともにSNSのように近況や写真を投稿できるようになっており、「いいね!」やコメントも可能。
内定者同士や、会社と内定者が気軽に交流できるようにすることで、連帯感を高めています。
パーソナルキャリア株式会社
パーソナルキャリア株式会社では、「内定者×社員タニモク」という企画を実施。
タニモクとは「他人の目標」のことで、他者の視点を取り入れて自分の目標を立てることで、自分を客観視して効率的に成長できるというものです。
内定者と既存社員が協力して1年後の目標を立て、内定者からは「社会人としての自分を想像できた」と好評を博しました。
まとめ
内定者フォローは、内定者のニーズを掴んで段階的に実施していくのが重要です。
内定者の視点に立って、不安を解消できる施策を考えていきましょう。
内定者フォローに決まったやり方はありませんので、他社のユニークな事例を参考にしてみるのもおすすめです。