有効求人倍率が高くなっている現在、従来の「待ち」の姿勢では優秀な人材を確保することが難しくなりました。
そこで注目されているのが「ダイレクトリクルーティング」。企業側から求職者に声をかけ、採用を進めていく手法です。
今回は、そもそもダイレクトリクルーティングとは何なのかということや、メリットとデメリット、成功させるコツやおすすめツールをご紹介します。
この記事の目次
ダイレクトリクルーティングとは
ダイレクトリクルーティングとは、その言葉通り採用したい人材に直接アプローチして雇用することです。
まずは、従来の採用方法との違いや、実際にダイレクトリクルーティングを行う方法について知っていきましょう。
従来の採用手法との違い
ダイレクトリクルーティングが従来の手法と違うのは、企業側が主体的に人材にアプローチし、採用する人を選べるということです。
これまでは、企業のホームページや採用サイトに求人広告を掲載し、応募者を待つという方法が一般的でした。
しかし、それでは応募基準は応募者の自薦となり、人物像や職務スキルが必ずしも欲しい人材とマッチするとは限りません。そもそも応募が少なかったり、特定のポストへの応募ばかり集まってしまったりということも。
その点、ダイレクトリクルーティングなら、企業が欲しいと思った人材にピンポイントでアプローチできるので、人材のミスマッチを最低限に抑えることができます。
応募者のポストが被ってしまうこともなく、採用する見込みが薄い人材に時間と手間を割くこともないため、とても効率的。採用コストも抑えて、素早く必要な人材を確保することができます。
ダイレクトリクルーティングのツール
ダイレクトリクルーティングには、SNSやダイレクトリクルーティングサービスを利用するのが一般的です。
まずSNSを利用する方法では、FacebookやTwitter、Linkedinなどに企業アカウントを作成し、自社をアピールしつつ求人情報を掲載。反応があったユーザーの中から、選考に進めそうな人材を探し出します。
また、デザイナーなどは個人のSNSに自分の作品を掲載していることも多いです。採用したい人材がすでに決まっているなら、その人のSNSからアプローチするという方法もあります。
次に、ダイレクトリクルーティングサービスとは、その名の通りダイレクトリクルーティングに特化したデータベースです。
データベースの中から自社とマッチング度の高い人材を探し、その人にスカウトメールを送って条件等の提示や相談を行います。
データベースの利用料はかかりますが、ユーザーもスカウトを求めて登録しているため話が早く、採用担当者の手間も最低限に抑えられます。
ダイレクトリクルーティングのメリット
それでは、ダイレクトリクルーティングのメリットを5つご紹介します。
転職市場に出てこない層もターゲットにできる
まず1つ目のメリットは、転職市場に出てこない層もターゲットにできること。
世の中には、積極的に転職活動をするほどではなくても、「より良い条件の会社があれば転職したい」と考えている人は多いです。こういった層には、転職サイト等への求人掲載だけでは出会うことができません。
ダイレクトリクルーティングなら、直接の声かけと交渉で、潜在層の転職希望者にもアプローチすることができます。
転職を考えていない人にもアプローチ可能
SNSは、転職を考えていない人も多数利用するツールです。
そのため、SNSに求人情報を掲載すると、今は転職を考えていない人の目に留まる可能性も。
「全く転職は考えていなかったが、求人情報を見て気持ちが動いた」という人材も採用できるため、より人材の選択肢が広がるのです。
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低コストで採用できる
ダイレクトリクルーティングは、仲介業者を利用しないため低コストな採用方法です。
SNSでの採用ならほぼ無料でできますし、ダイレクトリクルーティングサービスのデータベース利用料も、転職サイトの利用料よりも安く抑えられます。
採用までのスピードが速い
ダイレクトリクルーティングの場合、ピンポイントに声をかけた人材のみ選考を進めていくため、採用までのスピードが早いです。
また、仲介業者を挟まないので転職者と直接やり取りができ、連絡にかかる時間も短縮可能。短期で素早く人材を補填したい場合に適した採用方法です。
採用のノウハウを蓄積できる
転職サイトやエージェントなどの仲介業者を利用する場合、採用のノウハウが自社に蓄積されません。
ダイレクトリクルーティングの場合は、採用の準備から実際の選考、振り返りまでを自社で行うため、採用手法を社内に残すことが可能。
もし担当者が変わっても、社内にノウハウが蓄積していれば採用の質を維持することができます。
ダイレクトリクルーティングのデメリット
ダイレクトリクルーティングには、メリットだけではなくデメリットも存在します。
両面を理解した上で、効果的にダイレクトリクルーティングを実施していきましょう。
採用にかかる時間・工数が増える
ダイレクトリクルーティングをする場合、中間工程を仲介業者に丸投げするということができません。
人材選びから選考、採用決定後のやりとりまで、採用にかかる工数を全て採用担当者が実施します。
採用担当者の業務量がすでに多めの場合、運用しきれずに頓挫する可能性も。ダイレクトリクルーティングは、軌道に乗るまで人員や時間に余裕を持って進める必要があります。
成果が出るのに時間がかかる
ダイレクトリクルーティングは軌道に乗れば1件ごとの採用スピードが早い反面、成果が出るまでには時間がかかります。
具体的には、最初の1年くらいは軌道に乗せるための準備期間と捉えておくといいでしょう。
ダイレクトリクルーティングは、長期的な施策であることを知っておく必要があります。
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採用のノウハウが必要
初めてダイレクトリクルーティングを行う企業には、採用のノウハウがありません。
そのため、人材の採択方法を学んだり、システムの構築を行ったりと、始める前に様々な準備が必要です。
ダイレクトリクルーティングを実施する場合、準備や勉強にかかる時間とコストも考慮しておくべきでしょう。
ダイレクトリクルーティングを成功させるコツ
それでは、ダイレクトリクルーティングを成功させるための4つのコツをご紹介します。
会社全体の理解と協力を得る
ダイレクトリクルーティングは、人事部のみの努力では成功しにくいです。
求職者に効果的にアプローチするためには、会社全体を挙げて自社の魅力をアピールするのが大切です。
ブランディング施策と並行して行うなど、会社全体の協力を得て採用に繋げる必要があります。
ターゲットは広めに設定する
ダイレクトリクルーティングは、マッチング度の高い優秀な人材を採用できるのがポイントです。
しかし、求める人材像を高く設定しすぎると、なかなか候補者が見つからず採用できないということも。
「優秀な人材でないとだめ」という考えを捨て、職務をこなせるだけのスキルがある人材には積極的にアプローチしていくことが大切です。
採用情報は一元管理する
ダイレクトリクルーティングを運用する上で、採用情報は一元管理することが重要です。
転職者の個人情報や評価データをそれぞれの担当者が管理していると、余計なやり取りが増えて無駄な動きが多くなってしまいます。
情報を一つのシステムでまとめて管理することで、採用を効率的に進めることができます。
長い目で見てマネジメントする
先にもお伝えしましたが、ダイレクトリクルーティングはあまり短期で効果が出るものではありません。
長期的な視野を持たず見切りをつけてしまうと、せっかく構築したシステムや蓄積しかけたノウハウが無駄になってしまうことも。
運用が安定するまではコストを惜しまず、長い目で見てマネジメントしていくことが大切です。
ダイレクトリクルーティングツールのまとめ
最後に、新卒採用・中途採用・外国人採用でそれぞれ使えるダイレクトリクルーティングツールをまとめてご紹介します。
新卒採用
新卒のダイレクトリクルーティングには、学生や若手の採用に特化した「OfferBox」「キミスカ」などのサービスがおすすめです。
OfferBox
OfferBoxは、メーカーやIT業界を中心とした2,480社以上が導入している大手ダイレクトリクルーティングサービスです。
初期費用は0円、かかる費用も成功報酬30万円のみと、低コストで利用できるのが魅力。
無料の1dayトライアルも実施しているため、まずはダイレクトリクルーティングサービスの使い心地を知りたい場合にもおすすめです。
キミスカ
キミスカは、プロフィールとしてインターンシップ経験などの登録フォームが充実しているのが特徴です。
50,000名以上の学生が登録しているので、充実したデータベースの中から自社にマッチする人材を選ぶことができます。
コンサルタントによるフォローも実施しているため、初めてダイレクトリクルーティングを行う企業にもおすすめです。
中途採用
中途社員のダイレクトリクルーティングには、中堅層の登録者が多い「doda Recruiters」「Wantedly Admin」などがおすすめです。
doda Recruiters
doda Recruitersは、大手転職サイトの「doda」が運営しています。
doda登録者の中から、スカウト機能を許可している人にアプローチできるシステムで、登録者数が非常に多いのが魅力。
120万人以上の中から、業種・職種・年齢などを選んでマッチング度の高い人材を探すことが可能です。
Wantedly Admin
Wantedly Adminは、主にSNSを活用して転職者にアピールしていくダイレクトリクルーティングサービスです。
様々な業種、採用形態に対応しているため、幅広い業界で利用することができます。
求人掲載をする作業も、簡単かつ短時間で行えるのもポイントです。
外国人採用
最後に、外国人をダイレクトリクルーティングしたい場合には、外国人専門の「AI人材紹介」「Talentohub」などがおすすめです。
AI人材紹介
AI人材紹介は、バングラディシュ人ITエンジニア専門のダイレクトリクルーティングサービスです。
中でも、近年需要が高まっているAIやデータアナリティクス分野を専門としているのが特徴。
業務に支障がない程度まで日本語教育を行なったあとに採用することも可能なので、入社後スムーズに職務に就かせることができます。
Talenthub
Talenthubは、外国人エンジニア専門のダイレクトリクルーティングサービス。
登録者の国籍はベトナム・フィリピン・ミャンマーが多く、日本人と価値観や生活文化が近いのがポイントです。
登録人材の65%は20代なので、若いエンジニアを採用したい企業にぴったりです。
まとめ
ダイレクトリクルーティングは、企業が直接人材にアプローチすることで、素早く的確な採用が可能になる手法です。
ただし、ノウハウがまだない企業にとっては、軌道に乗るまでの準備期間はうまく成果が出ず、デメリットとなることも多いでしょう。
ダイレクトリクルーティングは長期的な施策ということを知った上で、入念な準備と計画が必要となります。