慢性的な人材不足により、企業は従来の「待ちの姿勢」では労働力の確保が難しくなりました。
積極的な採用活動の第一歩が、転職サービスを通じて送るスカウトメールです。
スカウトメールは、件名や内容に開封率・応募率が大きく左右されます。
今回は、効果的なスカウトメールを作成するコツと、具体的な文例をご紹介していきます。
この記事の目次
スカウトメールとは?
スカウトメールとは、企業が採用活動を行う際、ぜひ自社に応募してほしいと思う人材に送るメッセージのことです。
企業と人材の最初のコンタクトになるので、スカウトメールに興味を持ってもらえるかどうかが重要ポイントになります。
スカウトメールの種類とその効果
スカウトメールには、大まかに以下の3種類があります。
システムで自動配信されるもの
一定の条件を設定し、当てはまる人材に一斉送信するスカウトメール。
大勢にアピールできるが、開封率・マッチング度は低い。
企業の人事担当者が送るもの
採用担当者が人材の経歴などをチェックし、採用したい人材に送るスカウトメール。
応募してもらうために、書類選考の免除・前職給与保証などの優遇措置を設けることも。
転職エージェントが送るもの
転職エージェントが、クライアントからの要望に合う人材に送ったり、紹介する人材の母数集めのために送るスカウトメール。
ちなみに、スカウトメールと似た言葉に「オファーメール」というものもあります。
基本的な意味は同じですが、オファーメールは上記の1つ目に近い、「あまり対象を絞らず幅広く送信するスカウトメール」という意味合いが強いです。
スカウトメールが注目される理由
スカウトメールが注目されているのは、人材不足の影響で、従来の「待ちの姿勢」では労働力の確保が難しくなったためです。
特に知名度が低い企業は、積極的な働きかけで自社を知ってもらい、応募者を集める必要があります。
また、近年は日本でも転職が一般的になってきており、積極的に転職活動をしているわけではなくても転職サービスに登録している人が増えました。
そこに利用者の興味を惹くスカウトメールを送信することで、転職市場に出ていない人材も自社に引き込める可能性があるのです。
効果的なスカウトメール-6つのポイント
それでは、スカウトメールの効果を上げるための6つのポイントをご紹介します。
①ターゲット像の具体化
スカウトメールは、最終的に採用に繋がらなければ送る意味がありません。
「誰に・何を・どのように」という3段階で、具体的にターゲットを定めましょう。
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- 誰に:自社が採用したい人材像(年齢・スキル・経験など)を明確に定める
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- 何を:その人物が、自社のどんなところに魅力を感じるか(社風・事業内容・福利厚生・給与・ポジション・将来性など)
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- どのように:どんな文体・表現が、ターゲットとなる人材へのアピール力が高いか
②相手に合わせた引き付ける件名
スカウトメールは、「開封してもらう」というのが第一の関門になります。
転職サービス利用者には、毎日多数のスカウトメールが届きますので、その中で目を引く必要があるのです。
例えば具体的な給与額や、自社の特徴的な実績など、端的に伝えたいこと(前項目の「何を」)を表せる件名が良いでしょう。
もちろん、「皆様へ」など一斉送信をイメージするワードはNG。
受け取った人が「この会社は自分を求めている」と感じるような件名を意識しましょう。
③重要なのは冒頭の挨拶
第一の関門を超えて開封してもらったスカウトメールは、最後まで読んでもらい、応募に繋げるのが重要です。
途中で読むのをやめたり、スルーされてしまわないように、冒頭の挨拶で引き込むようにしましょう。
具体的には、相手のプロフィールに触れながら1対1のやり取りを連想させる挨拶にすると、「多数の人材から自分を選んで送ってきてくれている」と好印象です。
④会社紹介は手短に・漏れなく
スカウトメールにはもちろん自社の紹介も盛り込みますが、この時点では手短にまとめるようにしましょう。
大まかな事業内容や、募集に至った経緯
を端的に掲載するに留めます。
転職サービス利用者がスカウトメールの時点で関心を持っているのは、会社全体ではなく募集職種自体の条件や仕事内容です。
「この条件なら応募してもいいかな」と思ってもらえれば、求職者が自主的に企業研究を始めますので、リンクなどで自社サイトに誘導すれば十分でしょう。
⑤相手の状況を思いやる
企業側が伝えたいことだけ書いたスカウトメールでは、一方的な印象になって応募に繋がりません。
締めの挨拶の前に、忙しい中スカウトメールを読んでくれたお礼を伝えるなど、相手を思いやる言葉を添えましょう。
文面の向こうに、相手がいることを意識するのがスカウトメールの効果を上げるコツです。
⑥次にして欲しいアクションを明確に
スカウトメールの最後で、次にどんなアクションをして欲しいのか明確にしましょう。
募集内容に魅力を感じたとしても、「ではどうすればいいのか?」がわからないと応募に繋がりません。
「こちらのフォームからご応募ください」「まずはこのメールにご返信ください」など、アクションへのステップが短いほど応募のハードルが低くなります。
基本的なスカウトメールの文例
それでは、基本的なスカウトメールの文例を、悪い例・良い例の2パターンでご紹介します。
悪いスカウトメールの例
初めまして。〇〇社の採用担当です。
私たちは、〇〇という事業を展開し、多数のサービスや商品を輩出しています。
規模は業界トップクラス、昨年の年間売上は〇〇円を達成しました。
弊社サービスはメディアにも多数取り上げられるなど注目を集め、社員数・売上ともに目覚ましい成長を遂げています。
これからも新規事業をどんどん立ち上げていく予定です。
今回の募集職種では特別なスキルはいりません!明るく楽しく働いてくれる方を歓迎します。
少しでもご興味をお持ちいただけましたら、求人ページに詳細な情報が載っておりますので、ぜひご覧ください。
それでは、ご応募をお待ちしております。
こちらのスカウトメールの悪い点は、以下の通り。
- 送り主が明確ではない
- 誰にでも当てはまる内容
- 会社説明に終始して、具体的な仕事内容や条件の記載がない
- 応募までに「求人ページを見る」というワンクッションがある
こういったポイントを改善した文例が、以下の「良いスカウトメールの例」になります。
良いスカウトメールの例
はじめまして。〇〇社採用担当の〇〇と申します。
〇〇様のプロフィールを拝見し、ぜひ一度お話をさせて頂きたいと思いご連絡させていただきました。
〇〇社での〇〇のご経験があるということ、また、特に〇〇に注力されていたということで、個人的にも感銘を受けました。
弊社で現在募集中の〇〇職スタッフとしてご活躍いただける人材だと確信しております!
優れたご経験を評価させていただき、月給は〇〇万円以上のスタートをお約束します。
詳細な給与は、面接にてご相談の上で決定させてください。
今回の募集は広く公開しておらず、弊社が選考にお呼びしたい方だけに直接ご連絡しているため、〇〇様にご興味をお持ちいただけると大変嬉しいです。
弊社は、〇〇という目標を持ち、現在は〇〇に向けて仲間同士で切磋琢磨しているようなチームです!
詳細な業務内容については、求人票と弊社ホームページをご覧頂けますと幸いです。
(URLリンク)
お忙しいなか、メールを読んでいただきありがとうございます。
まずは直接お話しさせて頂き、お互いを知り合うことができればと思っております。
このメールにお返事頂ければ、次のメッセージで日程調整のご案内をお送りします。
直接の面談以外にも、メール・電話・Skypeなど柔軟に対応可能です。
それでは、〇〇様からのお返事を心よりお待ちしております!
こちらのスカウトメールの良い点は、以下の通り。
- 送り主(採用担当の名前)を明らかにしている
- 相手のプロフィールを前提にした内容
- 相手のどこを評価しているかが明確
- 具体的な条件を提示
- 会社紹介は簡易に、詳細はリンク先で
- 次のアクションが明確で簡単
全体的に、相手を尊重して特別感を出すことが、効果的なスカウトメールのポイントです。
職業別!スカウトメールの文例
最後に、職業別のスカウトメールの文例をご紹介します。
営業・事務
件名:【平均月収〇〇万円】新規開拓ナシ・受注確率80%超えの営業募集
〇〇様
はじめまして。株式会社〇〇採用担当の〇〇と申します。
〇〇様のプロフィールを拝見し、営業職として活躍してきた〇〇様にぜひ当社でその能力を活かしていただきたいと考え、ご連絡を差し上げました。
当社で働く魅力の一部をご紹介させてください。
・新規開拓は一切なし。依頼はお客様のほうから寄せられます。
当社の営業が提案する〇〇は、特許を取得している独自の商材です。
他社に真似できない強みがあるので、ご依頼はお客様のほうから毎日寄せられます。
そのため、新規開拓の必要は一切ありません。受注確率は〇〇%を超えています!
・歩合給もあるので、平均月収は〇〇万円!
〇〇様の営業経験を考慮して、月給は〇〇万円以上からのスタートをお約束。
当社には歩合給もあるので、成果次第で収入UPも可能です。受注確率は高いので、当社の営業の平均月収は〇〇万円です。
経験を活かして、収入UPをしたい。強みのある商材を扱いたい。
そんな考えをお持ちなら、ぜひ応募フォームからご応募ください。
ITエンジニア
件名:開発へのこだわりも、スケジュール調整も自分次第!フレックス制/テレワーク相談可
〇〇様
株式会社〇〇 採用担当の〇〇と申します。
弊社は、大手企業内のプロジェクトを通じて、インフラ構築プロジェクトをサポートする企業です。
このたび事業拡大にあたり、エンジニア経験者を複数名募集しております。
SE・PG職のご経験がある〇〇様の履歴書を拝見し、弊社の募集にご興味を持っていただけるのではないかと思い、スカウトメールをお送りしました。
・予算や納期も自ら調整可能
弊社はフレックスタイム制を導入しております。
営業担当がいないので、働く時間だけではなく予算や納期も自分で調整可能。
希望次第でテレワークができるよう準備もしていますので、ライフスタイルに合わせて自由に働いていただけます。
・月給〇〇万円以上、賞与年〇回、休日〇〇日
給与は経験と能力に応じて調整させて頂きます。
働く時は働き、休む時は休む。そんな考えを弊社は大切にしています。
弊社の募集に魅力を感じていただけましたら、応募フォームよりぜひご応募ください!
サービス業
件名:プロフィールを拝見しました。一度お会いできたらと思っています。
〇〇様
はじめまして。〇〇グループの代表をしております〇〇と申します。
〇〇様のweb履歴書を拝見し、〇〇社では入社から半年で店長に昇格されているとのことで、努力を惜しまない真面目なお人柄を推察し、魅力を感じてご連絡差し上げました。
弊社は、デイサービスや高齢者向けの介護、就労支援、保育園など幅広く行っている企業です。
いろいろな事業に挑戦できる環境で、どの事業に興味をもっていただけるかもわからないので、職種や条件については柔軟に話し合いで決めていければと思っております。
どの事業であっても、〇〇様のお人柄と〇〇社でのご経験を活かして活躍していただけると確信しております。
もし、多少でも興味を持っていただけましたら、メールでも電話でも気軽にご連絡いただければ幸いです。
〇〇様がご興味のある職種や働き方の希望について、また弊社の事業内容や大事にしている考え方について、まずは一度お話しさせてください。
ご連絡をお待ちしています。
まとめ
スカウトメールは、採用の第一歩となる手段です。
求職者にアピールできないスカウトメールはいくら送っても意味がないので、相手に興味を持ってもらうコツを押さえて効果的な文面を作りましょう。
企業の採用担当者の方は、今回ご紹介したスカウトメールのポイントをぜひ参考にしてみてください。