内定辞退をされると、それまでにかかった採用コストや時間が全て無駄になってしまいます。
企業の人事担当者としては、内定辞退の数はできる限り減らしたいものですよね。
今回は、新卒採用・中途採用・外国人採用のケース別に、内定辞退を防ぐための対策をご紹介していきます。
外国人の内定辞退があった場合、必要となる手続きについても解説します。
この記事の目次
内定辞退に多いパターン
まず、内定までの流れをおさらいしましょう。
選考を経て内定を出す応募者を決めたら、まず対面・電話・メールなどで合格の旨を応募者に伝えます。
その後、内定通知書を書面で送付し、同封した内定承諾書に署名、提出してもらうことで次のステップである雇用契約に進むことができます。
内定辞退とは、内定を伝えたり内定通知書を送付したりした後、内定承諾書を提出してもらえないこと。
あくまでも、内定と承諾は企業と応募者双方の同意に基づくものなので、この時点で内定辞退しても応募者側に否があるわけではありません。
しかし、内定辞退されてしまうと、それまでに費やした採用コストや時間が全て無駄になってしまうため、企業側としては何としても避けたいところです。
内定者が内定辞退をする理由としては、以下のものが考えられます。
- 他の企業から内定をもらった
- 選考で不安を抱いた
- 内定から入社までが長く、次第に不安になった
など
より志望度が高い他社から内定を受けて辞退する応募者を止めることは、人事の努力だけでは難しいでしょう。
しかし、「入社への不安」が理由の内定辞退を減らすことは、選考フローや内定から入社までのケアに力を入れることで可能になります。
内定辞退を防ぐためにできること【新卒採用編】
まずは、新卒採用の内定辞退を防ぐために、人事担当者ができる対策をご紹介します。
選考で志望度を高める
新卒採用の場合、1社に絞って就職活動をする学生はほとんどいません。新卒採用の選考過程では、学生側も面接時の対応などを見て複数の企業を比較しています。
最初は第一志望ではなかったとしても、選考過程で自社をアピールすることにより、志望度が高くなる可能性も。
そんな中、横柄な対応や圧迫面接などで「この会社には入りたくない」と思わせてしまうのは得策ではありません。
もし内定を得たとしても、面接時の嫌な対応を思い出して「あの人たちと一緒に働くのか…」と不安になってしまう学生が多いでしょう。
また、条件や業務内容については選考フローの中で詳しく説明しておくのが良いでしょう。そうすることで、就業イメージが違う学生は選考過程の中で辞退していき、最終的な内定を出した後に辞退されてしまうというケースを防げるはずです。
社員や社長に会ってもらう
初めて社会に出る新卒者にとって、待遇や仕事内容より重要とも言えるのが「人」の魅力。社会人経験がない学生にとっては、いくら詳しく業務内容を説明してもピンとこない場合が多いです。
しかし、人の魅力は業務に関する知識がなくても伝わります。
また、入社後の不安として「人間関係」を挙げる学生は非常に多いです。実際に入社後一緒に働くことになる社員や社長と会ってもらい、「この人と一緒に働きたい」と思わせることで、内定辞退を減らすことができるでしょう。
内定を出した後も接触する
内定を出したあと、長期間放置してしまうと「自分は求められていないのでは…」と感じたり、その間に他社の選考を受けてしまったりする学生もいます。
早く内定を出した内定者を確保するためには、内定後も研修を行なったり、課題を与えたりと定期的に接触するのがおすすめ。内定後に「入社までのステップを踏んでいる」と感じてもらうことで、より自社に愛着を持たせることができます。
また、単なる挨拶を定期的にしておくだけでも、「気にかけてもらっている」と好感を持つ学生は多いです。
内定辞退を防ぐためにできること【中途採用編】
次に、中途採用で内定辞退を防ぐための対策をご紹介していきます。
面接・面接官の見直し
中途採用の応募者は社会人経験があり、ある程度人や会社を見る目を持っています。
そのため、面接官の態度や能力、面接の内容に疑問を感じたときに内定辞退してしまうケースが多いです。
中には、中途採用だと、複数の面接官がいる中、特定の1人が面接した応募者だけ際立って内定辞退が多いということもあるのです。
中途採用で内定辞退が目立つ場合には、面接内容の見直しや面接官の研修を行い、適切な選考ができる仕組みを作り直しましょう。
面接後のコミュニケーションの改善
同業界・同業種であっても企業ごとに仕事の進め方が違うため、入社後の業務に不安を持っている転職者は多いです。
採用したい応募者がいたら、内定を出した後にしっかりフォローして、入社への不安を取り除いておくのが大切。内定を出したあとに、本音で話せるクロージング面接を実施して、選考中には話せなかった不安を明かしてもらいましょう。
業界未経験者や、他職種からの転職者には、より手厚いフォローが必要です。
内定通知や内定後連絡の見直し
中途採用の応募者は、ある程度業務内容に理解があるぶん、待遇などの条件にシビア。内定を得たとしても、待遇面の説明が曖昧だと不安を感じ、他社に流れてしまうこともあります。
中途採用の場合は、選考中または内定通知と同時期に、しっかりと条件の提示・擦り合わせをしておいたほうがいいでしょう。
内定辞退を防ぐためにできること【外国人採用編】
最後に、外国人採用における内定辞退を減らすための対策を解説します。
面接を丁寧に行う
本人の立場になって考えてみるとよくわかることですが、外国で就職活動をするということは、それだけで不安でいっぱいです。
そのため、外国人採用の場合は、面接をより丁寧に行うように心がけましょう。ゆっくりと聞き取りやすい言葉で話し、受け答えのしやすい雰囲気を作ると、言葉の壁がある外国人もリラックスして話すことができます。
また、「言葉の壁があると働きにくいのでは…」という不安を面接の時点で取り除くことで、後々の内定辞退を防ぐことができます。
面接費用・期間に配慮する
日本人の場合、面接を受けるためにかかる交通費や宿泊費は、自己負担が当然と思っています。
しかし、出身国にもよりますが、外国人は面接にかかる費用を応募者が負担するのは納得いかないという考えの人もいます。
また、留学生でアルバイトの時間が限られている人や、就職先が決まるまで就労ビザが下りず働けない人など、お金に余裕がない外国人もいます。
そのため、選考にかかる費用に配慮することで、外国人には「良い会社」と思ってもらえる可能性が高いです。
また、経済的に余裕がないと、待遇や職種・業務内容よりも、とにかく早く働き始められるということを重視する外国人もいます。
採用フローはコンパクトにして、内定もなるべく早く伝えるようにしましょう。
在籍している外国人社員に会ってもらう
そもそも、外国人は日本の企業で働くというイメージが持ちづらい場合も多いです。
そのため、社内にすでに外国人社員がいる場合、その社員と会ってもらうのがおすすめ。同じ境遇の人の話を聞き、具体的な就労イメージが掴めることで不安がなくなり、内定辞退を防ぐことができます。
このように、社内に一人でも外国人社員がいれば、他の外国人人材の獲得の助けとなります。外国人社員が入社したらまずその人を大切にし、定着してもらうことが重要です。
日本での仕事・生活をイメージしてもらう
日本で仕事をしたり生活したりするイメージが持てないと、内定承諾後に不安になってしまう外国人も。
内定後に日本での生活に関する研修を行なったり、入社後に住む部屋を一緒に探したりと、日本で暮らすイメージを持ってもらうのが大切です。
無事に入社した後も、困ったことがあったら相談できるようにホットラインを用意しておくと良いでしょう。
内定辞退時の注意点
もし、外国人人材の内定辞退があった場合、日本人とは違った対応が必要になります。
外国人を入社させるためにすでにビザの申請を始めていた場合には、入国管理局に内定辞退の旨を連絡します。
会社か本人からの連絡がなければ、当然入国管理局は内定辞退のことを知ることはできません。
その外国人が来日しないなら、ビザの審査や発給は必要なくなるので、入国管理局の手間を減らすためにもなるべく早く連絡する必要があるのです。
内定辞退が理由のビザ申請キャンセルは、何度も重なると外国人にとっても企業にとっても不利になります。
何度も繰り返すと、次回からの審査が厳しくなる可能性もあるため、外国人内定者にはそのこともきちんと伝えておきましょう。
まとめ
内定辞退を減らすためには、会社と応募者の距離を縮め、ぜひ入社したい良い会社だと思ってもらうことが大切。
現在は新卒採用も中途採用も売り手市場のため、内定者を確実に入社させるためには丁寧なフォローが必要なのです。
また、外国人人材採用の場合は、日本で暮らし、働く具体的なイメージを持ってもらうのが有効です。
万が一、外国人の内定辞退があった場合には、速やかに入国管理局に連絡するようにしましょう。