外国人採用での注意点を徹底解説

国内の労働力不足により、増え続けている外国人採用。
外国人を採用して企業に受け入れるには、日本人の採用とは違った難しさがあります。

今回は、外国人を採用する際の注意点をカテゴリ別にご紹介いたします。
在留資格や保険加入、外国人の受け入れに必要な準備など、様々な場面での注意点を解説していきます。

外国人採用が増加している理由は?

外国人採用が増加している理由は、大きく分けて2つです。

一つ目は、企業のグローバル化が進んでいるため。
外国で新規事業を開始したり、事業所や工場を設置したりするにあたって、現地語が話せて、現地の事情をよく知る外国人人材が求められています。

二つ目の理由は、日本国内の人材不足。少子化や外国への人材の流出により、日本はどの業界も慢性的な人不足に陥っています。
特に飲食・宿泊・清掃などの単純労働には従事する人が少なく、それらの労働力を外国人で補うために新たに「特定技能」という就労ビザもできました。

これらの理由から、近年、外国人の採用数が増加を続けています。
上記2つの中でも特に2つ目の理由が増加の大きな要因となっています。

外国人採用における注意点①在留資格の確認

それではまず、外国人を採用する際の注意点を見ていきましょう。

外国人を採用するときには、その外国人が適切な在留資格を持っていることを確認する必要があります。

日本で働ける在留資格

日本で働くことができる在留資格は、職種別に17種類の「就労ビザ」と、「高度専門職ビザ」「永住権」「日本人の配偶者」など。
「留学」「家族滞在」「短期滞在」「特定活動(就労以外の活動のために交付されたもの)」のビザには、就労資格がありません。

外国人を採用する場合の注意点一つ目は、まずその人のビザに就労資格があるのを確かめることです。
もし就労資格がない場合や、採用したい職種と違う場合は、ビザの種類を変更する必要があります。

在留資格の確認方法

在留資格にまつわる注意点二つ目は、在留資格の内容の確認です。

日本で就労できる在留資格を持っているかどうかは、外国人が携帯している在留カードを見れば確認できます。
在留カードには「就労制限の有無」という項目があり、ここに「就労不可」と書いてある外国人は就労ができません。

就労資格があるものの、就ける職種に制限がある場合は「在留資格に基づく就労活動のみ可」と記載されています。
この「在留資格に基づく就労活動」の内容は、「就労資格証明書交付申請」という手続きで確認することができます。

留学生のアルバイトは?

在留資格にまつわる注意点三つ目は、留学生のアルバイト。留学生が持っている留学ビザは、基本的にはアルバイトを含めた労働はできません。

しかし、「資格外活動許可申請」という手続きを行って許可を得れば、学業を妨げない範囲のアルバイトができるようになります。
学業を妨げない範囲とは、学校がある時期は週28時間以内、夏休み期間などは1日8時間以内と定められています。外国人留学生をアルバイト採用するときは、就労時間数にも気をつけておきましょう。

外国人採用における注意点②雇用保険の確認

日本で働く外国人は、日本人と同じく条件を満たせば雇用保険に加入する必要があります。

外国人の雇用保険にまつわる注意点を確認していきましょう。

雇用保険の加入条件

雇用保険の加入条件は、外国人も日本人も変わりません。
加入義務があるのは、「週の労働時間が20時間以上の従業員」。正社員採用でもパートやアルバイト採用でも、この時間数を超えたら職場の雇用保険に加入させる必要があります。

雇用保険の対象にならない場合

雇用保険の対象外になるケースも、日本人と外国人で違いはありません。
雇用保険の対象にならないのは、以下の場合です。

  • 週の労働時間が20時間以下
  • 65歳の誕生日以後に新たに採用された人
  • 季節労働者・短期労働者・日雇労働者
  • 船員保険の被保険者
  • 国、都道府県、市町村等に正規職員として採用された人

外国人の雇用保険加入手続き

外国人の雇用保険の加入方法は日本人と同じです。
「雇用保険被保険者資格取得届」という書類に必要事項を加入し、保険組合に提出すれば保険に加入できます。

ただし、一点注意点として、外国人の場合、日本人は空欄にする「国籍」「在留資格」「在留期間」欄の記入が必須です。
これらの項目は、外国人が携帯している在留カードを見れば確認できます。

ワーキングホリデーの外国人は?

ワーキングホリデービザで在留している外国人は、宿泊費や交通費などの滞在費をまかなう範囲であれば、日本で就労できます。

しかし、ワーキングホリデービザは就労ビザではないので、ワーキングホリデーの外国人は労働者に含まれません。そのため、雇用保険も適用外で、加入させる必要はないのです。

ワーキングホリデーの外国人を採用したい企業では、きちんと把握しておきたい注意点です。

外国人採用を成功させるための注意点

外国人を採用するためには、日本人とは違う様々な注意点があります。
外国人を採用し、うまく活用していくための注意点を確認していきましょう。

外国人人材向けの社内体制を整備する

日本企業で採用した外国人は、当然ながら仕事以外の日常も日本で過ごしていくことになります。

自分が知らない外国で暮らすと考えてみればすぐわかることですが、文化や習慣、賃貸契約、役所での手続きなど、外国人にはわからないことがたくさん。外国人の労働力を必要とする以上は、採用した外国人がスムーズに暮らしていけるように会社がサポートを行いましょう。
社宅の提供や、困りごとがあった場合の相談窓口やホットラインを用意しておくと、安心して働けます。

また、ワークライフバランスを重視する外国人のために労働環境を整備したり、外国人の文化や考え方に日本人従業員が理解を深めたりすることも大切です。

日本の文化・習慣を理解してもらう

日本で初めて働く外国人には、日本の文化や習慣を知ってもらう必要があります。
自国の文化を捨てて日本に馴染ませたり、日本人でも難しい「空気を読む」ことを強要したりする必要はありませんが、少なくとも業務上必要なことは理解してもらいましょう。

特に、ビジネスマナーを知らないと、社外の人に不快感を与えてしまうリスクがあります。取引先や顧客には社員の国籍は関係ないので、研修などを行って指導していきましょう。

社会保険への加入

外国人を採用した場合、社会保険への加入も注意点の一つ。雇用保険と同様、外国人は日本人と同じ条件で社会保険に加入します。

海外では保険は任意加入のことが多いので、日本の雇用保険や社会保険への加入を嫌がる外国人は多いです。
日本での保険加入は権利ではなく義務のため、しっかりと説明して加入させましょう。

不法就労が見つかったら?企業側の注意点

就労資格を持たない外国人を働かせていると、不法就労となり企業側にもペナルティがあります。
不法就労を防ぐために、企業側が知っておくべき注意点を解説していきます。

雇用や離職に必要な届け出

外国人を採用した場合、または外国人が退職した場合、出入国在留管理局に「所属機関の変更」という届け出が必要になります。
入退社から14日以内にこの届け出を行わないと、20万円以下の罰金が課されます。

これは企業が行うものではなく、基本的には外国人本人が行う手続き。しかし、外国人は必要な手続きを把握していないことも多いため、会社側で手続きを促すなどのサポートするようにしましょう。

不法就労のリスクを徹底周知

不法就労をした外国人には、在留資格の取り消しや強制送還などのペナルティが課せられます。
企業側は不法就労助長罪となり、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金。罰が重いという以上に「不法就労をさせた企業」という悪評が広まると会社の信頼が失墜してしまいます。

外国人を採用する際は、必ず在留カードを確認して不法就労を防がなくてはいけません。社内に不法就労のリスクを徹底周知して、外国人本人・企業側共にコンプライアンスを守りましょう。

外国人雇用の相談先

外国人を採用するときは、直接募集よりも「外国人雇用サービスセンター」や民間の外国人人材紹介会社、送出期間などを介して募集するとスムーズです。
これらの機関を介すると、応募数が集まりやすいほか、在留資格の確認や申請もサポートしてくれることがあります。

また、雇用開始後にトラブルがあった場合も、これらの機関に相談することが可能です。

まとめ

外国人採用の注意点をまとめてきましたが、いかがでしたか?
日本人と違う文化や考え方を持つ外国人は、企業に受け入れる際に様々な注意点があります。

法令で定められた在留資格や保険加入はもちろん、外国人がスムーズに働ける環境を整えて、外国人人材を活用していきましょう。

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