在日外国人にとって、在留カードの更新は数年に一度の大仕事です。免許の更新のようにお知らせが来るものではないので、中には更新を忘れてしまう人も。
しかし、在留カードの期限切れは、「うっかり忘れていた」では済まされません。
今回は、在留カードが期限切れになるとどのような罰則があるか、またその場合の対応方法について解説していきます。
この記事の目次
在留カードの期限切れはNG!
まずは、在留カードの有効期限と、期限切れ前に更新する方法を知っておきましょう。
在留カードが期限切れになっても救済措置はありますが、期限切れ前に正しく更新するのが一番です。
在留カードの有効期間
在留カードの有効期限は、在留資格の期限と同じです。
在留資格の期限は、3ヶ月・6ヶ月・1年・3年・5年の5種類があります。
ちなみに、永住者の永住カードは、16歳以上で交付日から7年、16歳以下の場合は16歳の誕生日までです。
在留カードの更新方法
在留カードの更新は法務局で行います。永住権以外のビザを持つ外国人は、ビザの更新と同時に在留カードの更新も行うので、期限切れになるまで忘れたり遅れたりすることはないでしょう。
注意が必要なのは、永住資格を持つ外国人の方。在留カードの更新は、期限切れの2ヶ月前から行うことができます。
16歳以下で永住権を持つ方の更新期間は、16歳の誕生日の6ヶ月前から誕生日まで。その期間に出張・留学などで更新ができない場合は、更新期間前に申請することもできます。
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在留カードの更新に必要な書類
在留カードの更新に必要な書類は、以下の通りです。
- 在留カード更新申請書
- パスポートまたは在留資格証明書
- 現在持っている在留カード
- 3ヶ月以内に撮影した証明写真
在留カードの更新手続きの流れ
永住権を持つ方以外は、在留カードを更新するには在留期間の更新が必要です。
在留期間の更新が許可されると、2週間~1ヶ月後に「在留期間更新許可通知」がハガキで郵送されてきます。
その在留期間更新許可通知と必要書類を揃えて最寄りの地方入国管理官署に持参すると、在留カードの更新が行えます。永住者の方は、更新期間内に必要書類を持って地方入国管理官署に行くだけです。
在留カードの更新にかかる費用
永住権を持つ方が在留カードの更新をする場合、費用はかかりません。
それ以外の方が在留期間の更新とともに在留カードを更新する場合は、手数料が4,000円かかります。
在留カードの返納について
以下の場合になった時は、在留カードを返納しなければいけません。
- 在留カードの交付を受けた中長期在留者が中長期在留者でなくなったとき
- 在留カードの有効期間が満了したとき
- 中長期在留者が出国(再入国許可による出国を除く。)したとき
- 中長期在留者が再入国許可による出国後,再入国許可の有効期間内に再入国しなかったとき
- 新たな在留カードの交付を受けたとき
- 死亡したとき
在留カードの返納は、地方出入国在留管理官署に直接持参するか、所定の文書を添付して郵送して行います。
在留カードを紛失した場合
在留カードを紛失したら、紛失に気付いてから14日以内に再交付申請をしなければいけません。
手続きは、以下の必要書類を持参して地方入国管理官署で行います。
- 在留カード再交付申請書
- 3ヶ月以内に撮影した証明写真
- 在留カードを紛失したことを証明できる資料(遺失物届け・盗難届など)
- パスポートまたは在留資格証明書
- 資格外活動許可書(交付されている場合)
在留カードが期限切れになった場合
それでは、在留カードが期限切れになった場合の対応について見ていきましょう。
更新許可申請中に期限を超える場合
在留カードの更新を期限内に申請したものの、手続きが終わるのが期限切れ後になってしまうという場合。
このケースでは、特例期間として在留カードの期限日の2ヶ月後まで在留期間の猶予がもらえることがあります。
在留カードの期限が迫っていることに気付いたら、「もう間に合わない」と諦めるのではなく、なるべく早く更新手続きを行いましょう。
外国人労働者が更新を忘れた場合
以前は、在留資格が期限切れになっていても、1~2日なら「特別受理」として柔軟な対応がされたこともありました。
しかし、現在は制度が厳格化していて、1日でも期限切れになると強制送還などのペナルティが課せられる場合があります。
そうは言っても在留資格を期限切れのまま放置するわけにはいかないので、期限切れに気付いたらただちに入国管理局に出頭しましょう。個々のケースにより対応策は異なりますが、次にするべき行動を教えてくれるはずです。
在留資格は更新したものの、在留カードが期限切れになってしまったという場合は、在留資格自体の期限切れより対応は柔軟です。この場合も、入国管理局を訪れて指示を受けましょう。
期限切れに対する外国人労働者への罰則
在留資格が1日でも期限切れになってしまった場合、不法滞在者となりペナルティが課せられます。
在留資格の期限が切れた場合の罰則は、以下の通り。
- 強制送還
- 3年以下の懲役・禁錮もしくは300万円以下の罰金
在留カードの更新忘れのみなら、強制送還ほどの重い罰はありません。
しかし、在留資格の失効より軽いとはいえ罰則はあり、
- 1年以下の懲役または20年以下の罰金
という罰則に処せられる場合があります。
期限切れに対する外国人雇用主への罰則
在留資格が失効した外国人を雇うと不法労働助長罪となり、雇用主にも罰則があります。
罰則の内容は、以下の通りです。
- 3年以下の懲役若しく300万円以下の罰金
在留カードが期限切れの対応方法
それでは、在留カードが期限切れになった場合の具体的な対応方法を見ていきましょう。
出入国在留管理局に連絡する
在留カードが期限切れになっているのに気付いたら、ただちに出入国在留管理局に電話で連絡しましょう。手続きの方法や、取るべき対策・必要書類などを教えてくれるはずです。
出入国在留管理局へ外国人本人が行く
その後、出入国在留管理局へ外国人本人が出向いて職員と相談を行います。個々のケースによって対応が異なりますので、職員の方の指示に従いましょう。
出入国在留管理局へ持参するもの
出入国在留管理局へ持参するのは、
- パスポート
- 在留カード
- 更新を忘れた理由などをまとめた書面
などの書類です。
その他、電話で連絡した時に伝えられたものがあれば持参します。
日本語がわかる人も同行する
普段は問題なく日本語でコミュニケーションできる外国人も、在留カードが期限切れという状況ではかなり焦ってしまいます。緊張して出入国在留管理局の職員とうまく話せなかったり、職員の人が言っていることを十分理解できなかったりというケースも。
重要な話し合いですので、出入国在留管理局での相談には日本語がわかる人も同行するようにしましょう。外国人の母国語もわかり、通訳できる人であれば尚ベターです。
更新を忘れた原因をまとめる
出入国在留管理局に出向く前に、更新を忘れてしまった原因を書面にまとめておきましょう。
在留資格が期限切れになってしまった事実は変わりませんが、理由によっては対応が柔軟になる場合もあります。
違反調査を受ける
在留資格や在留カードの更新を忘れたこと以外に強制退去事由がない場合は、以下の2つの選択肢があります。
- 出国命令制度の適用を受けて1年間帰国する
- 法務局に在留特別許可の申請をして日本に留まる
日本に留まることにした場合、他の法令等に違反していないかどうかの違反調査が始まります。
軽微な交通違反や税金の滞納なども「違反」に含まれますので、今まで日本での素行が善良だったかどうかが重要となります。
自宅で待機をする
違反調査・更新審査の期間は、自宅待機することになります。処遇が決まるまでは、就労も旅行に行くこともできません。
いま働いている場合には休職か退職し、法務局の判断を待ちましょう。
まとめ
在留カードの期限切れは、外国人にとって一大事。在留カードのみならまだいいですが、在留資格まで期限切れになっているとかなり大掛かりな手続きとなり、外国人の雇用主も巻き込まれます。
在留資格の更新は、免許の更新のようにお知らせハガキなどが届くものではありません。外国人本人、そして雇用主など周囲の人が、外国人の在留期限切れには気を配っておく必要があります。