外国人の身元保証人とは?必要なケースと必要書類を紹介

日本に在留している外国人は、永住ビザ・永住権の申請の際に身元保証人が必要になります。
中には知り合いの外国人に身元保証人を頼まれて、どうしたらいいかわからないという人もいるでしょう。

そこで今回は、外国人の身元保証人について詳しく解説。身元保証人の責任の範囲や、引き受ける場合の手続き・必要書類をご紹介します。

外国人の身元保証人とは?

外国人が日本で暮らすためには、何かトラブルにあった時に対応したり、経済的に困った時にサポートしたりする存在が必要です。その役目を果たす人のことを「身元保証人」と呼びます。

きちんと身元保証人がいることを示す書類を「身元保証書」といい、在留資格の取得・更新・変更の際にこの身元保証書を求められることがあります。
特に永住権の申請では身元保証人が必須となるので、永住権を取得したい外国人が周囲の人に協力を求めるケースもあるでしょう。

外国人に身元保証人が必要となるケース


外国人が身元保証人をつけることは、必須ではありません。
身元保証人が必要になるのは、以下のようなケースです。

海外にいる外国人を日本で雇いたい

まず、海外にいる外国人を日本に呼び寄せて雇いたい場合。
その外国人を3ヶ月以上の中長期滞在で雇用する際には、在留資格の取得が必須なので身元保証人が必要です。

これは、外国人が入国後、日本で収入を得て生計を立てていけることを保証しないと、生活保護を受給するなどして日本の社会保障を圧迫する可能性があるためです。ほとんどの場合、外国人を雇用する会社が身元保証人になります。

ミーティングに海外からの担当者を呼びたい

海外の支社や取引先の担当者を日本に呼ぶ場合も、身元保証人が必要です。
しかし、数日で終わるミーティングのために短期滞在する場合、ビザ免除国から来る外国人なら身元保証人を用意する必要はありません。国によって15日・30日・90日という3段階の期間規定がありますが、短期滞在ならビジネス目的でもビザ取得が必要なく、身元保証書を求められることもないのです。

ビザ免除国以外の外国人、または中長期滞在でプロジェクトなどに参加する場合は、外国人を雇用する場合と同じく会社が身元保証人となって在留資格を取得します。

日本人と結婚して日本で暮らしたい

外国人が日本人と国際結婚して日本で暮らす場合は、原則的に配偶者の日本人が身元保証人になります。
結婚するということは相手の身元や生活に責任を負うということなので、身元保証人になって問題が生じることはほぼないでしょう。

外国人の身元保証人の責任範囲

具体的に身元保証人が保証するのは、当該外国人の

  • 滞在費
  • 帰国旅費
  • 日本の法令の遵守

の3つです。

日本での滞在費を払うことが出来ない時に負担する

まず、外国人の身元保証人になったら、その外国人が滞在費を支払えなくなった時に援助しなければいけません。
滞在費とは、外国人が泊まるホテル代・住宅の家賃・食費や光熱費などの生活費・学校に通う場合は学費などです。外国人がこれらを支払えなくなった場合、その金額を負担しなければいけません。

帰国旅費を払うことが出来ない時は負担する

次に、外国人の帰国旅費。外国人が予定された帰国時に帰国資金を工面できないと、ビザの期限が切れて不法滞在となってしまいます。
不法滞在の外国人を増やさないためにも、帰国旅費は本人または身元保証人が責任を持って用意しないといけないのです。

日本国法令を厳守させる

最後に、日本の法令を厳守させること。もちろん、日本で犯罪やテロ行為をする可能性がある外国人を入国させてはいけませんので、もしその人の身元を保証した場合には身元保証人の責任も問われます。

外国人の身元保証人となったら、その人が日本の社会規範にあった行動をするように促す必要があります。

外国人の身元保証人になれる人とは?

外国人の身元保証人になれる人は、以下の条件を満たす必要があります。

  • 身元保証人としての責任を果たす能力がある
  • 安定的な収入・資力がある
  • 身元保証人になる意思がある

この3つを満たしていれば、日本人だけではなく日本にいる外国人でも身元保証人になることができます。
ただし、実質的には外国人で身元保証人になれるのは「永住者」のみで、それ以外の在留資格の外国人が身元保証人になろうとしても審査では断られてしまうようです。

ちなみに、「安定的な収入」というのは具体的な年収が定められているわけではありません。パートやアルバイトではさすがに審査に通りにくいですが、大企業に勤めている、地位が高い人、資産家の人などでなくても大丈夫です。

永住ビザの身元保証に必要な書類

身元保証人になるためには、「身元保証書」にビザ申請人・身元保証人の個人情報を記載して提出します。

必要になる情報は、以下の通り。

ビザ申請人
◆国籍
◆職業
◆氏名(パスポート記載と同じアルファベット表記)
◆性別
◆生年月日
身元保証人
◆住所
◆職業
◆氏名
◆生年月日
◆電話番号
◆FAX番号
◆申請人との関係

身元保証人が会社などの法人の場合、

  • 担当者名
  • 所属
  • 電話番号
  • FAX番号

も必要です。

また、身元保証人の信頼性を証明するために、収入状況や住所がわかる書類も添付します。

  • 課税証明書
  • 納税証明書
  • 住民票
  • 在職証明書(会社員の場合)
  • 会社の登記簿謄本(経営者・役員の場合)
  • 直近の確定申告書(個人事業主の場合)

外国人の身元保証人と連帯保証人の違い

身元保証人と連帯保証人を混同する人も多いですが、身元保証人と連帯保証人は責任の範囲が違います。
身元保証人が負うのは、「道義的責任」のみです。道義的責任とは「法によって強制されるような責任はないが、社会の規範となった道徳や倫理に違反しないようにする」こと。

連帯保証人のように、外国人が負った借金や、事件・事故の被害者への慰謝料を強制的に肩代わりさせられるということはありません。いわば保護者的な関わり方で、外国人がトラブルを起こさないようサポートするのが身元保証人の主な役目です。
もし外国人が困窮した時、身元保証人が手を差し伸べなかった場合も、責任を追及されたり罰則を受けたりすることはありません。
影響は「それ以降のビザ申請で身元保証人となった人の信頼性が失われる」ことに留まります。

しかし、もし関係の浅い外国人の身元保証人となり、その人が何かトラブルを起こした場合、あなたが「身元保証人として信頼できない」という記録が残ります。そうなると、将来国際結婚をしたり、親しい友人を日本に滞在させたりしたい時、その人の身元保証人になることができなくなるのです。
そのため、法的な責任が強制されないとしても、軽々しく性格やプライベートを熟知していない外国人の身元保証人になることは避けたほうがいいでしょう。

まとめ

外国人の身元保証人は、外国人が経済的に困ったり、トラブルに巻き込まれたりした時にサポートする存在。連帯保証人のように法的に責任を追及されることはなく、実際の金銭負担はしなくても構いません。

しかし、だからといって軽々しく外国人の身元保証人を引き受けるのは考えもの。身元保証人になるのは、本当に親しく知り合っていて、きちんと身元を保証できると言い切れる人のみにしておきましょう。

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