以前、現役大学生が主催した留学生のためのユニークな就活イベントで、日本での就職を希望する留学生たちを前に、懸命に働くことの情熱を語っている女性がいました。その姿を遠目に眺めながら、「ああ、この方は本当に今、充実しているんだな。そして、今いる環境でやりたいことが明確に見えているんだな」と非常に関心したことを覚えています。それが今回インタビューに答えてくださった万幸さんでした。中国雲南省出身で現在、日本企業で働き2年目を迎える彼女に、母国ではなく日本で働くからこそ適う自立についてうかがいました。
万 幸(プロフィール)株式会社JELLYFISH勤務。中国雲南省出身、1991年9月生まれの24才。出身校:東京外国語大学大学院 総合国際学国際協力コース 2015年3月卒業。趣味はアウトドアスポーツ、映画、旅行など
きっかけはアニメ!勉強づけの受験勉強を経て、東京外国語大学院で過ごした有益な学生時代
中国の大学で日本語を専攻し、卒業してから日本で学びたいと思い、留学を決めました。日本に興味を持った最初のきっかけは、日本のアニメを好きになったこと!面白いなあと思っていた程度でしたが、それをきっかけに日本の社会や環境などへと、興味の対象が急激に広がっていったからです。
学校選びについては、中国の先輩が東京外国語大学院に在籍していたこともあり、先輩からいろんな情報を聞くことができたため、調べてみることにしたのです。
Webで公開されている情報でも多岐に渡りますから、大学院の教授陣や研究室について早速リサーチをスタートすると、私の興味関心にぴったりとはまる研究室、教授を見つけることができたのです。
その研究室というのは、異文化の国際教育学や国際協力など幅広く研究を行っているゼミでした。それで心は決まり、東京外国語大学院への進学を決意したのです。
志望は決まった、次なる関門は試験です。東京外国語大学院はレベルも高く、入学までには非常に苦労しました。試験に必要となるのは、十分な語学力と専門知識、面接では6000字もの論文提出、といったかなりハードな内容です。
合格するために大学3年生の夏ごろから一年半、受験勉強に費やしました。まずは留学ビザを取得するために、入学まで日本語学校に通うなどして日本語への知識を深める努力も並行して行いました。今思い返しても非常につらい…(笑) 、ハードな日々だったと思います。
そうした努力が実り、無事に希望の大学院で学ぶことができ、とても有益な時間を過ごすことができました。やはり、その地で生活することで、生きた語学はもちろんですが、もともと興味を持っていた社会的なことなどを体感していくわけですから。慣れない異国でつらいことももちろんいろいろありましたけど、多くのことは周囲の友人たちのサポートなどもあり、乗り越えることができました。
日本での就職を決意したのは、「働きながら世界を見てみたい」という願いが実現できる環境だったから
卒業後、なぜ中国に戻らず日本で就職しようと思ったのかと言うと、留学したことで、それ以前よりも日本社会への知識や理解も深まったので、せっかくだから日本で働きたい!日本の社会で経験を積みたい!と、心から思いました。さらに日本は世界でもトップクラスの経済力を誇る国なので、さまざまな分野での勉強ができるチャンスだとも思ったからです。さて、次なる問題は会社選びです。
就職活動の前に自己分析をして、志望する業界をある程度決めていました。そこで見えてきた私の希望は、社会全体やビジネス環境のグローバル化が進んでいくなかで、語学力や専門知識などが生かせること、または外国の文化に理解を持ち、外国人の長所を生かすビジネス環境を持っている企業で働きたいと考えたのです。
その頃は、海外営業や貿易関係、人材系の仕事にも興味をもって就職活動をしていました。最初は大手メーカーを中心に内定を獲得していましたが、社内の人間関係に違和感を覚えたり、入社後のフォローが満足できるものではないことを知ったりと、大手企業に対する興味は次第に減っていきました。そのとき知人の紹介で知ったのが今、勤務している株式会社JELLYFISHでした。
会社の規模こそ内定を得た大手企業とは比較になりませんが、働き方という視点で見れば、まさに理想と言ってよい環境がありました。仕事を通して世界各国の方々と触れ合えたり、多様なバックグラウンドを持つ人たちの、それぞれの人生をより良いものにする手助けができる。
こういった仕事内容に携わること、また、グローバルの人材紹介業という事業内容に大きな魅力を感じ、入社に至ったのでした。>後編に続く
■インタビュアー:田中 美奈子(早稲田大学3年生)