
株式会社ジンザイベースの創業は2021年。新進のスタートアップ企業です。起業家としてキャリアアップを重ねてきた代表取締役CEOの中村大介氏に、外国人雇用の取り組みと今後の抱負について伺いました。
インバウンド政策と少子高齢化による労働人口の減少を背景に、さまざまな外国人雇用の支援企業がビジネスに参入しました。ところがコロナ禍によって、淘汰を余儀なくされています。一方で新たな外国人雇用の支援企業も生まれています。
この記事の目次
外国人の働く選択肢を増やす、可能性を引き出す
シロフネ編集部:事業の方向性についてお聞かせいただけますか?
中村氏:特定技能外国人の採用から就労までワンストップで提供することをめざしています。就労機会の提供により働く外国人の選択肢を増やすことがジンザイベースのミッションです。
特定技能外国人の人気職種というと外食や食品製造になりますが、必要なことや現実的な法制度を考えると、まず日本語能力や特定技能の試験を突破しないと就職できません。
次に就職活動のハードルがあり、さらに入社後の組織に対するエンゲージメントが求められます。ジンザイベースは登録支援機関でもあるので、義務支援の項目をサポートしていきます。
将来的には高度人材のエンジニアにも業務を広げていきたいと考えていますが、まずは飲食や製造、建設などの特定技能人材がメインです。この可能性を最大化するために、試験突破を重視しながら外国人労働者の能力を最大化します。
外国人雇用にもDXが浸透、オンライン面接が浸透
シロフネ編集部:採用面では、面接の突破が重要になると考えますがいかがでしょうか?
中村氏:コロナ禍の影響もあってZoomのようなオンライン面接が当たり前になり、スマートフォンを使えば誰でも利用できます。地方の中小企業も同じです。
シロフネ編集部:外国人の面接もオンラインに?
中村氏:外国人求職者の90パーセントは問題なくオンライン面接ができます。リアルにお会いしたことがない人や海外からの応募者もいます。
シロフネ編集部:企業の人事担当者と直接オンラインで面接するときに、日本語のレベルは大丈夫でしょうか?
中村氏:特定技能外国人の日本語のレベルに関していえば、募集する業種によって異なっています。外食業界であれば比較的日本語能力が高く、真面目な方が多い傾向にあります。しかし、建設業界では、日本語が話せない人が相対的に多いですね。専門用語があることから、必ず通訳者も参加させるようにしています。
建設業に集まる外国人の傾向、定着と転職の考え方
シロフネ編集部:建設業界の起業の採用に応募する外国人は、どのような方々でしょうか?
中村氏:技能実習生から特定技能への移行になります。国籍でいえば技能実習生の国籍分布通り、ベトナムが圧倒的に多い状況です。技能実習生は、2015年より前には中国が多かったのですが、それ以降ベトナムが増えています。
シロフネ編集部:変化はありますか?
中村氏:2015年以前は、建築関連の専門学校や短大という学歴の方がたくさんいました。やる気満々でしたね。
いま募集して集まる人材の印象としては、35才以上、あるいはワイルドで頼もしい荒くれ者という印象です。といっても建設は特定技能外国人に不人気、かつ人材不足の職種でありため、面接で落ちることがあまりありません。現在募集が多い職種は土木、とび職あるいは建設機械工、施工です。
シロフネ編集部:技能実習生についてのお考えがあればお聞かせください。
中村氏:ジンザイベースのミッションから考えると、技能実習生の雇用支援は雇用の範囲が制限されます。しかし、地域によっては、そうした人材が求められている現状も理解しています。
地方の不人気職種の場合、都会で働いている外国人が地方に転職するケースはありません。したがって、海外から日本に呼ばなければなりませんが、このときに技能実習生というスキームに意義があるという認識です。
シロフネ編集部:いま転職のお話が出ましたが、外国人の転職についてはいかがですか?
中村氏:外国人を雇用する企業次第だと思いますが、その会社に長く勤められないと思えば離職や転職はしかたありません。理想をいえば、ステップアップや成長になるといった目標が必要ですが、雇用側の企業の方針次第であり、企業の努力も必要になります。
シロフネ編集部:定着についてはどのようにお考えですか?
中村氏:定着はひとつの選択肢と考えています。定着を含めて雇用の選択肢が増える状況に持っていきたいということが私の考えです。
コスト削減の競争から見出した、人材不足という課題の重要性
シロフネ編集部:ところで話は変わりますが、かつて株式会社ベンチャー・リンクにお勤めだったと伺っています。
中村氏:そうです。3年半勤めました。当時は不夜城で働いていましたね。その後、共同創業した会社ともう一社を経由して、ジンザイベースの創業に至りました。
シロフネ編集部:共同創業した会社は、人材系の会社だったのでしょうか?
中村氏:いいえ、コンサルティング系の会社だったんです。地方の有名企業などのコスト削減を成功報酬型で手掛けていました。リバースオークションの手法で、経費の相見積もりを複数社で競わせるサービスです。収益性が高かったのですが、疑念を抱いてしまって。
シロフネ編集部:そこで別の会社を創業されたのですね。
中村氏:そうです。コスト改善の困りごとをみていくと、やはり最大の課題は人材不足なんです。個人的に海外が好きだったこともあるのですが、外国人雇用が人手不足を解消する手段になるのではないか、と。
SaaSやメディアを作るなど、いろいろと事業を展開していましたが、方向性の違いを感じるようになってジンザイベースを立ち上げました。
シロフネ編集部:起業のきっかけがあれば教えてください。
中村氏:ジンザイベースを創業する以前に、国内の大手総合家電メーカーや半導体メーカーの部品などの金属加工業の会社のコンサルタントをしていました。グローバルな事業を展開し、外国人雇用を内製化している会社です。
この金属加工業の会社の取引先に製造業が多かったのですが、どこも人材不足なんですね。コンサルタントとして関わるうちに「この会社の解決方法を使えば、他の製造業にも喜んでいただけるのでは?」と考えるようになりました。2021年の7月頃からだったでしょうか。それが出発点になりました。
外国人雇用は「競争」から「共走」、そして「共創」へ
シロフネ編集部:今後、外国人雇用を支援する事業において重視されることについて伺いたいのですが。
中村氏:企業のめざす方向性もあると思うのですが、そこに国籍は関係ないと考えています。
シロフネ編集部:となると何が重要ですか?
中村氏:競争に勝つ能力、あるいは生存戦略ですね。競争のためには一定の能力が必要になり、現在ますます加速しています。競争の次に来るのが協調性によって共に走る「共走」です。最終的には新たなビジネスの「共創」につながります。
シロフネ編集部:日本人にも同じことがいえそうです。
中村氏:日本人も外国人も関係ありません。職種によっては日本人が優位になることがあります。ベンチャー企業で東大卒を採用しようと思っても応募がありません。しかし、ハノイ大学であるとか海外のトップ大学の学生を採用できます。
シロフネ編集部:性別に関してはいかがでしょう。
中村氏:個人的な認識ですが、東南アジア系の女性は男性よりも優秀です。男性だから女性だから、という区別はないのでは。ダイバーシティを標榜しているわれわれが、まず国籍や性別に関する固定観念を取り除かないと恥ずかしいと考えています。
東南アジアを軽視している一方、博士には弱いなど外国人の採用に関して偏った考え方を持っている場合があります。視点を変えることが必要です。
シロフネ編集部:同じスタートラインに立った上で競争になる、と。
中村氏:そうですね。みずから奮い立たせる自然型の人間であれば、競争を意識する必要はないかもしれません。しかし、多くの人は他者から動機づけられる他燃型ではないでしょうか。その意味でも競争は必要です。
競争すれば、当然のことながら勝ち負けがあります。負ける会社も当然出てくるでしょう。しかし、競争から始めることが大切であると考えています。
シロフネ編集部:本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
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