地方経済の活性化を目指し、地方と協定を進める大学が続出

大学進学を機にそれまで住んでいた、いわゆる「故郷」を離れることは多いもの。学生時代を過ごし、そのまま近隣の都会で就職をすることも非常に一般的となっています。

もちろん、卒業を機に生まれ育った地へ戻って就職をするというUターン就職もかねてより一定数存在しています。

しかし近年では、【地方で学び、そのまま就職へ】という地方自治体と学校側が目的を共にする協定なども目にするようになりました。

地方・大学・民間企業。連携して取り組んでゆく新たなモデルも

富山県では県内企業と合同で、成⻑著しい ASEAN から将来有望な留学生を受け入れ、県内大学の大学院にて教育の機会を提供し、卒業後の県内企業への就職まで一体的に支援する事業を2015年より開始しています。その留学生募集業務において、アジア各国にて【教育・留学・就職】と一貫した事業展開を進め実績の豊富な(株)JELLYFISH が業務委託を受けるなど、各地ではさまざまな取り組みが活況となっています。

中央大学

秋田県と就職支援協定を締結。全国17都市で入試会場を設けている地を優先して協定を拡大する計画です。県の出身者が参加するセミナーやイベントを通じて学生に地元での就職を考えてもらおうというもの。地方の自治体や企業との結びつきを深めて、地方でのブランド力を高めることを目的とし、最終的に優秀な学生を確保しようとしています。2015年には新潟県、香川県と協定を結びました。

神奈川大学

福島県と学生の就職活動を支援する就職促進協定を締結。学内で福島県内企業の説明会を開催したり、インターンシップの受け入れ支援をしていく方針です。現在、一都三県以外の出身者が約4割を占め、協定が学生獲得へのPRとして奏功しているとのこと。12年以降、福島県を含め7県と同様の協定を結んでおり、こうした地方との結びつきを強めることで地域の産業活性化にも寄与すると同大学では考えています。

千葉商科大学

場所柄、8割超の学生が首都圏出身者である同大では、こうした連携を機に地方企業にも積極的なアピールをしてもらい、UターンやIターン就職を促進したいと考えています。同大の協定締結における基準は、出身学生の数が1学年あたり20人以上の自治体であることとし、長野県や福島県など6県と締結を結んでいます。

地域経済活性化を目指す機運

地方では高校生の多くが首都圏などの大学に進学し、大学卒業後も地元に戻る学生は非常にわずか。地方自治体でも地方の魅力をあの手この手で伝え、地元での就職促進のための試みを進めています。栃木県は先日、東京都港区にて就職説明会を開催し、協定を結んだ大学でも就職ガイダンスを開くなど、積極的に誘致を行っています。

こうした試みの背景にあるのは、言うまでもなく少子高齢化による若年労働力の不足があります。しかし、景気回復がゆるやかに回復しており、大学卒業予定者の就職内定率はここ数年上昇傾向にあります。地域経済の活性化を目指し、優秀な人材を呼び込むことが重要視されているのです。(出典:日本経済新聞)

 

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