気になるお隣の国:中国の就職事情

ついにGDPでも日本を越えた中国。世界での影響力も段々大きくなってきています。また、中国本土も大きく人口も世界一です。日本のお隣ということもあり、中国人観光客の爆買いがニュースになったり、毎年留学生の数が増えているなど日本との政治的な関わり以外でも結びつきが強くなっています。今後より加速するのは目に見えています。

 

そこで今回はお隣の国、中国の就職事情についてまとめてみました。

中国本土の就職事情を知ることで中国籍の方を採用する際に背景が理解できたりするので、外国人採用・雇用をお考えの経営者の方、人事担当の方は必見です。

 

気になるお隣の国:中国の就職事情

・中国の大学新卒者の就職状況

・中国の転職理由

・日本に来る理由

をまとめてみました

 

 

中国の大学新卒者の就職状況

 

中国の大学新卒者は、2014年に727万人、15年に749万人、16年には765万人で、昨年の17年はさらに上回る795万人になりました。毎年平均で20~30万人のペースで増え続けている現状であり、経済が停滞する中で就職難の状態が解消されていないという実情です。

 

これまでは毎年、大都市での就職に憧れる者が多く、大都市以外では人手不足が続いていました。しかし、近年は若干の変化が見受けられます。実際に新卒者が就職を希望する地域を見ると、北京、上海、広州、深圳という大都市を指す「一線都市」は29.0%で、成都、杭州、武漢など今後の発展が見込まれる「新一線都市」が38.3%と最も多いという状況です。地域レベルの影響力を持つ「二線都市」、「その他の地域」はそれぞれ19.2%と13.6%でした。

 

物価高や大気汚染、交通渋滞など様々な問題を抱える巨大都市よりも、経済発展が見込まれ、生活コストがあまりかからない「新一線都市」が大卒者の就職先として注目を集めてきていると考えられます。

 

 

また、就職先として最も人気がある業種は、IT業(ネット·通信·電子などを含む)で、金融機関(銀行·アセットマネジメント(資産の管理·運用代行)·証券·保険など)政府機関(非営利機関を含む)が続いており、実際の就職先を見ると、IT業が29.5%で約3割に達し、製造業は16.1%、金融機関は13.7%でした。

 

アリババ、百度(バイドゥ)、テンセントに代表されるように、IT企業は中国で急速に発展しており、その高収入も人気の理由の一つではないかと考えられます。

また中国での大学新卒者の起業について現在は下記のようになっています。

 

大卒者の起業について

 

2015年大卒創業者の78%はその資金を両親や親族、自らの貯金に頼っています。ベンチャーキャピタル(3%)、政府資金援助(4%)の割合は少なく、創業のリスク要因については「資金不足」が28%、「市場拡大の困難さ」が26%、「企業管理の経験不足」が24%となっています。資金や経験の不足などから大卒者の創業の成功率は高くないと考えられます。

智聯招聘調査によると、大学新卒者の創業意欲は2015年の6.3%から2016年は3.1%に半減しました。

 

 

中国現地の転職理由

 

中国人社員が会社を辞める理由には大きく分けて3つの要素があります。

 

①現状に対する不満(嫌だから)

②将来へのキャリア構築(キャリアステップのため)

③リスクヘッジのために辞める

 

①現状に対する不満(嫌だから)

日本人と同じように、給与が期待値より低い、仕事が面白くない、人間関係が良くないなどの理由が挙げられます。しかし、日本人とは異なり、中国の方で特に多いのが友達より給与が低いから転職するという理由です。中国に限った話ではないですが、特に日本以外のアジア圏の国の方はいわゆるリファラルが多く存在します。自分自身が現在行なっている仕事が楽しい、面白いなどポジティブな感情を持っているときは積極的に友人にも話し、紹介します。一方で、友人と給与の話や待遇の話をした際に、友人の方が給与が高いという状況があったりするとそちらに移るという可能性もあります。

 

②将来へのキャリア構築(キャリアステップのため)

将来的なことを考えて辞めるということがあります。日本と同じくキャリアステップのためですので、前向きな転職になります。

 

③リスクヘッジのために辞める

特に周囲から優秀だと目されている人によく見受けられます。>特に大きな問題がなくても「もう、この会社に3年もいるから、そろそろ辞めないと…」などと思うようになるそうです。

リスクヘッジのために会社を辞めるということは「現在の仕事を続けるのはリスクだ」と認識していることになります。ひとつの仕事や会社に一定期間コミットしていると、中国の方はだんだんと不安になってくる傾向があり、「人生のリスクがどんどん増大しているのではないか」「泥沼に入り込むのではないか」「このままではいけない」などと考え始めます。焦燥感にとらわれ始め、仕事が手に着かなくなり、ちょっとした不満や他からの誘いをきっかけに会社を辞めてしまうことがあります。

 

日本人と比較して、「安定」に対する認識の違い

 

日本人の場合は近年変わりつつはありますが、業績がほぼ横ばいの有名な大企業で、できるだけ長く働いていくというのが理想であり、「安定」ということになります。ですので、できるだけレベルの高い大学に行き、できるだけ大きな有名企業に行こうとします。

一方で、中国の方は、ある会社に長く在籍すればするほど、その企業でしか通用しないスキルが自分の中に蓄積し、市場との距離が遠くなると考えます。そのぶん会社に自分の人生を左右される度合いが高くなると考え、そうなると自分自身で自分の人生をハンドルすることが難しくなってきます。その状況についてリスクだと感じ、転職をすることがあります。

 

 

日本に来る理由

 

ひと昔前までは中国よりも日本の方がGDPも高く、経済的にも豊かであったため、賃金も中国に比べると日本の方が良いという実情がありました。その頃にはより給与の高い仕事を求めて日本にくる方が多かったのですが、近年は状況が少し違います。先ほどあげたリスクヘッジのためという実例もありますが、海外で一度は働いてみたいということで日本が選択肢の一つに上がるということです。必ず日本ということではなく選択肢の一つということです。その中で特に日本に興味を持っている方などは日本に来るという構図になりつつあります。

 

今後、日本では労働人口が減り、生産性を上げるか、労働人口を増やすかの瀬戸際になります。そこで政府は前者に対して「働き方改革」など、後者に対して「シニア・女性・外国人活用」を掲げています。
ですので、外国人を採用する機会や見かける機会は今後増えていくことが確実視されています。
 

初めての外国人採用はこちら(初めて外国人を採用する方法6選)

 

参考

「90後」世代の就業意識 独立行政法人労働政策研究・研修機構

おすすめの記事