
エンジニアの有効求人倍率は例年2倍を超え、調査対象によっては5倍を超えることもあるなど、採用競争が激化しています。
そんな中でもエンジニアの中途採用を成功させるためには、エンジニアに響くアピール方法や、そもそもの人材不足の原因を知るのが重要です。
今回は、エンジニアの中途採用が難しい理由と、有効な採用手法について解説していきます。
この記事の目次
エンジニアの中途採用が難しいのはなぜか
エンジニアの中途採用が難しいのは、需要と人材の数が反比例しているためです。
厚生労働省の調査では、2019年11月時点のITエンジニア(情報処理・通信技術者)の有効求人倍率は2.47倍。
2020年は新型コロナウイルスの影響もあり1.29倍まで落ち込んでいますが、それまでは約2.5社に1社しかエンジニアを確保できなかったという計算です。
参照:
2019年から、入職者の数が退職者の数を上回り、2020年時点で30万人のエンジニアが不足していると言われています。
対して、IT技術の進歩により、従来はアナログだった業務も相次いでデジタル化し、エンジニアの仕事は急増。
少ない人材に負担がかかることで、「エンジニアの仕事はきつい」というイメージが一般的になり、さらにエンジニアが不人気になるという負のスパイラルに陥っているのです。
エンジニアの中途採用手法とは?
競争が激化するエンジニアの採用では、様々な手法を取り入れて人材にアプローチする必要があります。
求人サイトの活用
求人サイトに広告を出し、応募を待つのは、従来からポピュラーな採用手法です。
近年は、「エンジニア特化型」というエンジニア採用専門のサイトも登場してきています。
さらに、ハイクラス人材専門、未経験者にも優しいサイトなど様々な特色があるため、ターゲットとなる人材層に合わせたサイトを見極めることが採用成功の第一歩です。
転職エージェント
条件にあった人材を紹介してくれる転職エージェントは、ピンポイントに空いたポストを埋めたい場合に最適です。
求人サイトと同じく、エージェントにもエンジニア特化型のサービスが登場しています。
マッチング度の高い人材と出会いやすいのが転職エージェントを利用するメリットですが、先にお伝えしたようにエンジニアの採用競争は激化しています。
優秀な人材は高待遇を提示できる大企業に流れがちなので、ある程度は条件のハードルを下げて間口を広げるのが採用成功のポイントです。
ダイレクト・リクルーティング
ダイレクト・リクルーティングとは、専用サービスを通じ、企業側から人材にスカウトメールなどを送ってアプローチする採用手法です。
エージェントが行う人材の選定を、社内で行うような形になり、手間はかかりますが低コストでマッチング度の高い人材と出会いやすいのがポイントです。
ダイレクト・リクルーティングについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
ダイレクトリクルーティングとは?従来の手法との違い
リファラル採用
リファラル採用とは、社内の人材から求職中の友人・知人などを紹介してもらう方法。
社内エンジニアの周囲には、前職や学生時代などの繋がりでエンジニアの知り合いがいる可能性が高いため、有効な手法です。
会社の実情を知る社員から、社内の雰囲気や仕事内容を伝えることができ、また人材の人柄などもある程度保証されるため、マッチング度も高いと言えます。
リファラル採用についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
リファラル採用とは?メリット・採用成功のポイントまとめ
SNSの活用
SNSを使った活動は、直接採用には繋がりにくいですが、幅広い層にアピールできるという利点があります。
転職活動中の人材以外の目にも留まりやすいため、採用競争を避けて人材を発掘できる可能性も。
SNSはほとんど無料で利用できるため、低コストで運用できることもメリットです。
エンジニアコミュニティ・イベント
エンジニア向けの転職イベントやコミュニティへの参加も、採用手法の一つ。
多くの人に自社の事業について知ってもらうことができますし、良さそうな人材にはその場で声をかけてアピールすることも可能です。
スカウトメールは無視されてしまい返信がこないこともありますが、対面でのオファーだと前向きに話が進みやすいこともポイントと言えます。
外国人採用の検討
国内の採用競争から離れ、海外の人材に目を向けると、エンジニアの中途採用もハードルが下がります。
エンジニアは、言葉の壁が問題になりにくく、外国人人材が活躍しやすい職種の一つです。
とはいえ、母集団の形成やビザ申請の手続きなど日本人の採用とは違う部分も多いため、外国人エンジニアに特化した採用サービスを利用するのがおすすめです。
「JELLYFISH」は、エンジニアなど需要の高い職種を中心に48ヶ国20,000人の登録者を保有。
ビザ取得のサポートサービスなども提供しているので、はじめて外国人を採用する企業に最適です。
外国人の採用についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
外国人を採用する7つのメリット|採用時の注意点も解説
エンジニア中途採用向けおすすめサイト
ここでは、エンジニアの中途採用に特化したおすすめのサイトを3つご紹介します。
type
typeは、エンジニア職の求人掲載数が業界最多の転職サイトです。
関連サービスとして、「type転職エージェント」や「女の転職@type」などの運営も行っています。
登録ユーザーが約300万人と母数が多く、さらに20代~30代が全体の65%と若い人材が多いのが特徴。
エンジニアの大量採用を検討している場合におすすめです。
indeed
indeedは、求人情報に特化した検索エンジン。
求人数・登録ユーザーの数がともに膨大なのが特徴です。
エンジニア採用では、SES系の企業が多く出稿している傾向があります。
求人広告をとにかく幅広い層の目に触れさせ、認知度を高めたい場合におすすめの媒体と言えます。
Green
Greenは、IT・WEB業界の中途採用に特化した採用課金型サイトです。
登録者の年齢層が若く、約8割が若手層であることも特徴となっています。
人材の質が安定しているため、プレイヤークラスの採用に最適な媒体です。
成果報酬が地域ごとに一定なため、ハイクラスな人材を採用してもコストを抑えられるというメリットもあります。
エンジニアの中途採用に成功する7つのコツ
最後に、エンジニアの中途採用を成功させるためのコツを7つご紹介します。
- 明確なペルソナ設定
- 応募条件は柔軟に
- 即戦力だけでなく成長性を見る
- 仕事内容を明確に提示してミスマッチを防ぐ
- 応募者の求めているものを理解する
- 社内のエンジニアに協力してもらう
- 他社エンジニア採用サイトを参考にする
①明確なペルソナ設定
エンジニアの採用は、必要なスキル・経験・年齢などを精査して、ペルソナを定めることが何より重要です。
マルチなスキルを持つ優秀な人材は、当然多くの企業が欲しがるため、そういった人材は高待遇を提供できる大企業に人材が流れてしまいます。
自社で本当に必要なスキルはどんなものか見極め、要件を明確に定めることで、マッチング度の高い人材と出会いやすくなります。
②応募条件は柔軟に
軸として重視する要件以外の、年齢・性別・国籍・働き方といった条件には柔軟に対応するのも、エンジニアの中途採用を成功させるコツです。
社内エンジニアの声を聞いたり、実際に応募してきた人材の希望を取り入れるなどして、働きやすい条件を擦り合わせましょう。
社内規定の枠の中で条件を合わせるだけではなく、年俸制や業務委託、フレックスタイム制といった新たな勤務形態を導入するという選択肢もあります。
③即戦力だけでなく成長性を見る
エンジニアの採用において、若さと優秀さを両方備える人材の獲得はかなり難しいです。
社内の状況に合わせて、経験やスキルの制限を撤廃し、未経験者の育成に目を向けるとぐっと間口が広がります。
募集要項に定めている経験年数や年齢制限は、本当に必要な要素かどうか見直してみると良いでしょう。
④仕事内容を明確に提示してミスマッチを防ぐ
エンジニアと一言で言っても、その仕事内容や専門分野は様々です。
曖昧な条件での募集だと、「自分が活躍できるかどうかわからない」と応募を見送る人材がいたり、入社後に「イメージと違う」と感じて早期離職が発生する可能性も。
仕事で使う言語やソフトを記載したり、1日のタイムスケジュールを掲載することで、入社後の仕事を具体的にイメージしてもらうことができます。
⑤応募者の求めているものを理解する
給与水準や福利厚生、柔軟な働き方、スキルアップなど、応募者が求めているものを理解してアピールすることも重要です。
大企業のような高待遇を用意するのは難しくても、休みの取りやすさや副業の許可、挑戦的なプロジェクトといった、コストのかからない条件に魅力を感じる人材もいます。
エンジニアや求職者の視点に立って、どのような職場なら働きたいと思えるかを分析していましょう。
⑥社内のエンジニアに協力してもらう
エンジニアの視点は、同じエンジニアが一番よくわかっています。
人事担当者だけで考えるのではなく、社内のエンジニアに協力を得ると、魅力的な採用サイトや求人広告を作りやすいです。
専門用語を正しく用いたり、エンジニアにピンポイントに響く表現を使うことで、「現場に理解のある会社」という印象を伝えることが可能。
もちろん、要件の策定や、働きやすい環境作りについても、社内エンジニアの声を取り入れましょう。
⑦他社エンジニア採用サイトを参考にする
他社のエンジニア採用サイトを分析することも、中途採用を成功させるためには重要です。
良い部分を真似して取り入れるのはもちろん、他社のアピールポイントを知ることで、自社と他社の差別化ポイントも見えてきます。
また、ものづくりの専門家であるエンジニアの採用サイトだからこそ、サイト自体のクオリティも他社に負けないようにしましょう。
まとめ
エンジニアの中途採用は、需要と供給が反比例し、倍率が高くなっているため難しいです。
そんな中でも採用を成功させるためには、明確なペルソナ策定やエンジニアが働きやすい環境づくりが重要になります。
自社にあった採用手法や施策を取り入れて、エンジニアの中途採用を成功させましょう。