売り手市場のエンジニアの新卒採用を成功させるには

エンジニアの新卒採用は、現在超売り手市場です。これは、国内のIT人口が不足していて、少数の新卒エンジニアの素養を持つ人材を多くの企業が取り合う形になっているためです。
エンジニアの新卒採用を成功させるためには、求人票や募集方法、採用フローに工夫をする必要があります。

今回は、エンジニアの新卒採用を成功させるための5つのコツを見ていきましょう。

超売り手市場になる新卒エンジニア

現在、エンジニアの新卒採用は超売り手市場。理由は後の項目で詳しく解説しますが、数少ない新卒のエンジニアを多くの企業で取り合っている状況です。

そのため、仕事のやりがいや、給与などの待遇面、福利厚生といった労働環境は、新卒エンジニアでもかなり自由に選ぶことが可能。
その中でも優秀な人材を確保するためには、企業側はかなり好待遇の提示や面接時のアピールが必要になるでしょう。

エンジニアの新卒採用の現状と課題

エンジニアの新卒採用が難しくなっている理由は、大きく分けて人材の不足とキャリアの多様化です。
エンジニアの新卒採用に関する課題を、3つご紹介します。

課題①IT(先端)人材の不足

2015年時点で、日本国内のIT人口は17万人不足しており、2030年には40〜80万人が不足する見込みです。
決してIT業界を目指す若者の数が他の職種に比べて少ないというわけではないのですが、その数が業界の成長スピードに追いついていないというのが現状です。

現在、AI技術の発展やIoT技術の浸透で、全てのものをインターネットが制御する時代が近づきつつあります。その社会を支える存在として、膨大な数のエンジニアが必要なのです。
国内だけではすでに不足しているエンジニアを補うため、外国人エンジニアの採用も急増しています。

課題②育成コストがかかる

エンジニアの育成には、新卒に至るまでの学校教育も、新卒採用後の社内での育成にもコストがかかります。
また、業務上必要になるシステム等は、新卒エンジニアを教育しながら開発させるよりも、外部サービスを入手した方が早くて安価です。

業務を効率化させるために作業を厳密にマニュアル化している会社も多く、入社後に新卒社員が試行錯誤しながら学ぶという機会も少ないです。
十分な育成コストを新卒採用社員に割ける会社が少なく、結果として若いエンジニアが育たない状況となっているのです。

課題③ミスマッチが起きやすい

ひとまとめにエンジニアといっても、その職種はシステムエンジニア、プログラマー、ネットワークエンジニアなど多岐に渡ります。

新卒採用した社員の場合、まだはっきりした専門分野がないという場合もありますが、「こういう仕事をしたい」という志は高いはず。
例えば、自分でシステムを構築したいと思っていたのに、いざ入社すると、いわゆる「IT土方」と呼ばれるような単純作業ばかりを振られてしまい、「入社前とイメージが違う」と離職してしまう人も。

先にも触れたように、エンジニアの新卒採用は超売り手市場なので転職も容易。入社前と入社後でギャップがあると、人材が定着しないという問題が起こりがちなのです。

エンジニアの新卒採用を成功させる方法

それでは、エンジニアの新卒採用を成功させるためには、どのような工夫が必要なのかを解説していきます。

ポテンシャル採用を積極的に

新卒採用の場合、当然ながらどの会社も即戦力を期待しているわけではありません。採用後、社内で教育をして優秀なエンジニアに育てていくというプランのはずです。

そのため、エンジニアの新卒採用で重視するべきなのは、新卒採用時点の能力ではなく、成長するためのポテンシャルです。
大学の成績や、制作実績が優れているわけではなくても、自社の仕事に対する熱意やアドバイスを聞き入れる素直さといった「教育しやすさ」を見て採用者を決めましょう。

また、新卒採用時に既に優秀な学生は、他の企業からも引く手数多です。
内定を出しても承諾してもらえなかったり、入社後も離職しやすかったりといった可能性があるので、ポテンシャル重視の採用の方が安全という側面もあります。

社内教育の体制を整える

先に解説したように、外部サービスの利用や過度なマニュアル化などで、社内の教育体制が整っていない会社も多いです。
せっかく新卒採用したエンジニアを社内で活躍させるためには、コストや時間がかかってもしっかりした教育が必須。教育にかかるコストは新卒採用した社員への投資と考え、効率化・省コストに偏りすぎない環境を作ることが大切です。

また、エンジニアはスキルを身につけて独立すれば、フリーランスで高収入が期待できる仕事。
新卒採用に応募する学生は、就職する会社で成長する機会を期待していることが多いので、学ぶ機会が多くスキルアップできる環境は新卒者側から見ても魅力的です。

長期インターンシップを活用する

先の項目で、エンジニアの新卒採用はポテンシャルが大事だとお伝えしましたが、学ぶ意欲や成長スピードは面接の場だけで判断できるものではありません。
長期インターンシップを活用して、自社で育てやすい新卒エンジニアを見極めるのも一つの方法です。
いきなり正社員登用するよりも安価に、試用期間のようなイメージで学生を知ることができ、入社後の育成が容易になります。

また、新卒者側も実際にその会社の業務内容や社内の雰囲気体験でき、入社後のギャップを防ぐことが可能。長期インターンシップを経て入社した新卒採用者は、少なくともすぐ辞めてしまうということはないでしょう。

外国人の新卒エンジニアを採用ターゲットに

先にもお伝えしたように、日本国内のエンジニア人口はかなり不足しています。
新卒採用となると人材の数も限られ、どうしても有名企業や好待遇を用意できる企業が有利となります。

そのため、新卒採用から外国人エンジニアをターゲットにするのも一つの方法。
日本よりも経済規模が小さい国から来日する外国人エンジニアは、日本人の新卒エンジニアに比べて低コストで雇用できる場合があります。
故郷の家族の生活を背負って来日する人も多いので責任感があり、入社後にすぐ辞めてしまう人材は少ないです。

エンジニアは営業や外部対応が必要な仕事ではないので、言葉の壁も他の職種よりは低いです。
もちろん、日本人のエンジニアとは違い、ビザの申請や更新といった手続きの手間はあります。仕事以外の私生活でも、サポートが必要になる場面はあるでしょう。

しかし、低コストで優秀な人材を採用したい場合には、やはり外国人エンジニアの新卒採用がおすすめです。

新卒エンジニアを採用する前に

最後に、エンジニアを新卒採用する前に、知っておくべき知識をご紹介します。

新卒エンジニアの給与相場を知る

エンジニアを新卒採用する場合の給与相場は、年収で250〜300万円。 月額でいうと、21〜25万円ほどが初任給の相場です。
2020年の大卒初任給の全体平均は21万200円なので、エンジニアの初任給は平均〜やや高いと言えるでしょう。上場企業であれば、年収400万円以上からのスタートということもあります。

また、昇給スピードもエンジニアは他の職種に比べて高く、新卒採用から3年後には年収500万円を超えるという例も多いです。

様々な募集方法から検討する

新卒採用の主な方法は、マイナビやリクルートなどの新卒採用専用ページに求人票を出し、応募を募るという方法です。

しかし、こういった方法では知名度の高い有名企業や、好待遇を提示している求人票に応募が集まりがちになります。あまり知名度の高くない会社や、他の企業に待遇面で勝てない会社は、その他の募集方法を検討する必要があるでしょう。
例えば、外国人エンジニアの採用に視野を広げ、外国人人材紹介サービスを利用するのは有効な方法です。

他には、社員からの紹介を募るリファラル採用や、学校での声かけ、自社セミナー、インターンシップの実施などの方法が考えられます。

面接フローや質問を工夫する

新卒採用の面接では、学生のポテンシャルと、入社後定着するかどうかを見極めなければいけません。
そのために考えられる質問例は、以下の通り。

  • 自社のどんなところに魅力を感じて応募したか
  • 入社後どんな仕事をしてみたいか
  • 自分で考えて試行錯誤するのと、人からアドバイスを受けるのはどちらが得意か
  • 今、興味のある技術や分野はあるか、それを知るための情報収集はしているか

また、エンジニアの新卒採用では、面接フローはできるだけスケジュールをコンパクトにするのがおすすめ。
自社が良いと思う学生は、他の企業も良いと思っているのが当然なので、時間がかかると選考途中で他社の内定を得て、選考を辞退されてしまうということが多くあります。

長い時間をかけて人材を見極めたい場合は、面接フローではなく先にご紹介したインターンシップなどを利用すると良いでしょう。

まとめ

エンジニアの新卒採用は、人材不足のため超売り手市場。従来のエンジニア採用よりも好待遇を提案したり、やりがいのある仕事を提供したりしないと、人材を確保することができません。

国内のIT人口が不足しているため、外国人エンジニアの採用を視野に入れるのも一つの方法です。
採用の幅を広げるなど、採用方法を工夫して、エンジニアの新卒採用を成功させましょう。

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