登録支援機関とは?申請方法や要件を解説!

労働力不足を解消するために、多くの日本企業が外国人労働者の受け入れを行っています。
2019年4月には、労働者不足解消の更なる一手として新たな在留資格「特定技能」が施行されました。特定技能は、労働者不足が特に深刻な14産業を対象とした在留資格で、5年間で最大345,150人の外国人労働者の受け入れを見込んでいます。(※1)

「特定技能」を持つ外国人を雇用する場合、「特定技能所属機関」または「登録支援機関」が、支援計画の作成・実施を行うことが義務付けられています。この「特定技能所属機関」「登録支援機関」とは何でしょうか。
当記事では、外国人を支援するのに必要な、各種申請や費用について解説します。

※1 法務省新たな外国人の受け入れより参照

登録支援機関とは?

「特定技能」を持つ外国人を雇用する企業は、外国人が不慣れな日本でやっていけるように、職場や日常生活においてさまざまな支援を行う必要があります。雇用前はもちろん、雇用後も支援が適切に行われているか報告しなければなりません。

多くの受け入れ企業はこうした支援を行うことが難しいため、「登録支援機関」に委託し、支援計画を実施しています。登録支援機関を利用するには費用がかかりますが、出入国在留管理庁長官の登録許可を得た機関なので、安心して依頼することができます。

令和元年7月7日時点で、1106件の登録支援機関が登録されています(※2)。その多くは、行政書士事務所や人材派遣会社です。

※2 Amazing Human 「登録支援機関一覧リスト」より参照

登録支援機関の役割

特定技能所属機関より委託を受けた登録支援機関の主な業務は、以下の通りです。

  外国人が入国する前の生活の手引きの提供
出入国の際の送迎
外国人の住居の確保や保証人
外国人が在留中の生活に必要な支援(銀行口座の開設、携帯電話の契約の支援など)
日常生活に必要な日本語の修得支援
外国人の相談や苦情に対応
外国人が行わなければならない行政手続きの情報提供や支援
外国人と日本人との交流促進に関わる支援
外国人の責任がない場合の雇用契約解除において、他の機関で特定技能の在留資格で引き続き活動するための支援

特定技能所属機関との違い

「特定技能所属機関」とは、1号特定技能外国人(※1)を雇用する「企業」自体のことです。
「登録支援機関」は、特定技能所属機関(企業)からそれらの支援を委託され、支援計画を作成し実施する団体です。支援の一部ではなく、「すべて」を実施する必要があります。

※1 法務省新たな外国人の受け入れより参照
特定技能1号…特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格。この資格を持つ外国人を「1号特定技能外国人」と呼ぶ

特定技能1号外国人の雇用

1号特定技能外国人はたいていは正規雇用となりますが、特定の分野では派遣の形で雇用する場合もあります。
また、特定技能1号外国人を雇用する特定技能所属機関(企業)は、雇用した外国人に他の日本人社員と同等以上の報酬を支払わなければなりません。さらに別の「義務的支援」「任意的支援」を行う必要もあります。

なお、特定技能2号は特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格で、2021年から2業種で試験開始予定です

登録支援機関の申請方法

登録支援機関となるためには、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があります。登録の有効期限は5年で、更新を希望する場合は手続きが必要です。

登録者の要件

支援責任者及び1名以上の支援担当者(常勤)を選任していること
以下のいずれかに該当するもの
・2年以内に中期滞在者(就労資格のみ)の受け入れを行っている
・2年以内に報酬を得る目的で、外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有している
・上記の他、これらと同様の業務が適正に実施すると認められたもの
外国人が理解できる言語で、情報提供等の支援を実施することができる体制を有している
1年以内に責めに帰すべき事由により、特定技能外国人または、技能実習生の行方不明者を発生させていない
支援の費用を、直接または間接的に外国人に負担させない
5年以内に出入国または労働に関する法令に関して不正または著しく不当な行為を行っていない

など。

さらに詳しくは、法務省ホームページの「在留資格『特定技能』について」を参照してください。

審査期間と申請方法

登録支援機関の登録申請の審査にかかる期間は約2ヶ月です。そのため、申請は支援業務を開始する予定日の約2ヶ月前までに行う必要があります。

提出が必要な書類

提出が必要な書類は以下の通りです。申請書等は法務省ホームページからダウンロードできます。

登録支援機関登録申請書
手数料納付書(申請手数料として28,400円分の収入印紙を貼り付ける)
返信用封筒(定型封筒に宛先を明記の上、392円分の簡易書留用切手を貼付)
立証資料(個人事業主の場合と法人の場合で異なる)

「立証資料」には具体的には以下のようなものがあります。

個人事業主、法人両方に必要な書類

登録支援機関概要書
登録支援機関誓約書
支援責任者の就任承諾書及び誓約書
支援責任者の履歴書
支援担当者の就任承諾書及び誓約書
支援担当者の履歴書

個人事業主のみ必要な書類

住民票の写し(マイナンバーの記載がなく、本籍地の記載があるもの)

法人のみ必要な書類

登記事項証明書
定款又は寄附行為の写し
役員の住民票の写し(マイナンバーの記載のないもの。特定技能外国人支援に関する業務の執行に直接的に関与しない役員に関しては、住民票の写しと誓約書が必要。未成年が役員となっている場合には、当該役員及びその法定代理人の住民票の写しが必要)
登録支援機関の役員に関する誓約書(住民票の写しの提出を省略する役員がいる場合に提出が必要)

提出先

登録支援機関の登録申請書の提出先は、地方出入国在留管理局又は同支局(空港支局及び出張所を除く)となります。
※平成31年4月1日から受け付け開始

手数料

登録支援機関の登録申請に必要な手数料は以下の通りです。

新規申請手数料…28,400円
更新手数料…11,100円

支払方法は収入印紙となります。

受付時間

登録支援機関の登録申請の受付時間は平日の午前9~12時、午後13~16時です。手続によっては曜日もしくは時間が決められている場合があるので、詳しくは地方出入国在留管理局または外国人在留総合インフォメーションセンターに問い合わせた方が確実でしょう。

審査結果の通知方法

登録が認められた場合も認められなかった場合も、郵送にて登録支援機関の審査結果が知らされます。

認められた場合…登録支援機関登録簿に登載し、登録支援機関登録通知書を交付
認められなかった場合…登録拒否通知書を交付

登録支援機関を依頼した場合の費用相場は?

「月額課金制」や支援業務ごとに請求する「従量課金制」など、登録支援機関によって委託料のシステムはそれぞれ異なります。
例えば、外国人の入国後の職場・生活の支援として月額約2万円~、資格習得手続きや資格更新手続きなどに別途費用が必要というパターンが挙げられます。

また、特定技能在留資格を取得した外国人を人材派遣会社に紹介するサービスを行う登録支援機関もあり、その場合は人材紹介料として1人あたり約20万円~程度の費用がかかります。

新設の資格に伴う機関であることもあって、まだまだ細かい料金については表示されていないことも多いようです。在留資格の種類や言語によっても費用は変わってくるので、委託の際はしっかり確認しておきましょう。

まとめ

1号特定技能外国人を雇用する場合は、支援を行うのは義務となっています。外国人労働者と企業の双方が気持ちよく仕事をするためには、計画通りの支援をすべて行わなければなりません。

登録支援機関は今後も増えていくと予想されますが、同じ「登録支援機関」であっても、サポート内容や費用は異なります。委託する前によく確認し、ベストの状態で外国人労働者をサポートできるようにしましょう。

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