日本と海外のコミュニケーションを円滑にするバイリンガル人材は、様々な業界で活躍しています。
日本企業の海外進出・外資系企業の日本進出に伴い、バイリンガル採用の件数は急増中。
今回は、非常に需要の高い、バイリンガル採用について詳しく解説いたします。
バイリンガル採用のメリット・デメリットや活用事例、採用の多い職種などを見ていきましょう。
この記事の目次
バイリンガル採用の概要
社会のグローバル化により、2ヶ国語以上に堪能なバイリンガル人材の需要が高まっています。
海外進出やインバウンド対応など、多様な活躍分野があるバイリンガル人材は、今最も注目されていると言ってもいい人材です。
バイリンガル採用とは
バイリンガル採用とは、バイリンガル、つまり2ヶ国語が堪能という条件を軸に採用を行うことです。
3ヶ国語以上が求められる業務の場合には、トリリンガル・マルチリンガル採用と言うこともあります。
日本国内の採用では、主に日本語と外国語、または英語とその他の外国語が求められることが多いです。
帰国子女、留学経験があるなど海外で暮らした経験がある人材が多く、言葉だけではなく現地の習慣や文化にも精通しています。
海外の支部や取引先、外国人顧客とのとの調整・交渉・コミュニケーションなどを目的として、バイリンガル人材を募集することが多くなっています。
採用が多い職種
バイリンガル採用が多い職種は、まず外国人社員が多い外資系企業。
様々な国籍の社員が働く外資系企業では共通言語が英語ということが多く、英語と自国語のバイリンガルが多数働いています。
外国人の顧客を相手にする観光業・宿泊業・サービス業・小売業などもバイリンガル採用が活発です。
店舗の立地により、来店する外国人客の国籍に合わせたバイリンガル人材が多く働いています。
また、海外に工場を置いている製造業は、現地従業員との調整役としてバイリンガル人材が活躍しています。
同じように、外国人エンジニアの多いIT業界や船舶・造船業などでもバイリンガル採用が多いです。
海外の企業や顧客とのコミュニケーションを円滑にするため、バイリンガル人材は幅広い業種で必要とされています。
増加している理由
バイリンガル採用が増加している理由は、まず社会のグローバル化。
人口増加の停滞や消費の冷え込みにより、国内市場に限界を感じる企業が多く、海外に市場を広げようとする日本企業が増えています。
海外事業を強化するにあたって、現地との交渉に活躍するバイリンガルの採用が活発化しているのです。
逆に、日本に進出する外資系企業も増えています。
日本国内の外資系企業数は、2000年代前半には1,700社程度だったのに比べ、2018年の調査では3,410社。約20年で、ほぼ倍増という結果です。
この背景には、円安の影響や中国等アジア経済の発展があります。
外資系企業では、本社と連携しながら進める仕事も多いため、日本語と本社を置く国の言語が話せるバイリンガル人材が重用されるのです。
他にも、2020年の東京オリンピックや、増加する外国人観光客に対応するためのインバウンド対策として、観光業・宿泊業などでもバイリンガル採用が注目されています。
【大見出し】バイリンガル採用のメリット
それでは、バイリンガル採用を行う3つのメリットをご紹介していきます。
様々な国籍のお客様に対応できる
バイリンガル採用の強みは、何より様々な国籍の顧客に対応できること。
特に英語や中国語は話者人口が多いので、潜在需要を獲得するために効果的です。
外国人のお客様から商品の問い合わせがあった時など、言葉の壁があると要望のヒアリングや商品の魅力アピールが上手くできないことも。
その結果、売れたはずの商品が売れないということが起こりえるため、営業機会の損失に繋がります。
グローバル化する社会で、機会損失を防ぐためにもバイリンガル採用を急ぐ企業が多いのです。
言語の通訳・翻訳能力に長けている
バイリンガル人材は、当然言葉の通訳・翻訳能力が高いです。
海外から寄せられた意見を社内に広く伝えることができ、事業のグローバル化を目論んでいる企業の大きな助けになります。
また、海外生活経験があるバイリンガルは、言葉だけではなく現地の文化や習慣にも精通しているので、言外のニュアンスまで的確に伝えることが可能です。
日本独自の文化を理解している
外国人人材で日本語が話せるバイリンガルという場合は、日本の文化や慣習にも高い興味を持っている場合が多いです。
日本語に堪能ではない外国人人材よりも日本の職場に馴染みやすく、円滑に業務を進められます。
また、日本のマナーを知っているので、取引先や顧客の対応を任せても問題が起こることが少ないです。
バイリンガル採用のデメリット
バイリンガル採用には、デメリットもあります。
デメリット面も知った上で、自社に本当にバイリンガル人材が必要かどうかを検討してみましょう。
バイリンガル人材の母数が少ない
バイリンガル人材は、そもそも母数が少ないです。
日本人であっても、外国語が話せる場合には海外で就職していて日本にいないバイリンガルも数多くいます。
そのため、バイリンガル採用を行いたい場合は日本人人材にこだわらず、外国人人材にも視野を広げる必要があるでしょう。
また、一言でバイリンガルといっても、2ヶ国語のバランスやレベルは人それぞれなので、自社で求める語学力のレベルを精査して募集する必要があります。
バイリンガル人材の採用は困難
先にも触れたように、バイリンガル人材は幅広い業界で需要が高まっています。
少ない人材を多数の企業が取り合っている状態で、求人倍率はとても高いです。
そもそもバイリンガル人材はその他の人材より受けている教育の水準が高いので、仕事に求める給与水準も自然と高くなる傾向があります。
バイリンガルという強みを持つ人材はある程度自由に職場を選べるので、他の企業より好待遇な求人を用意しないと応募が集まりません。
バイリンガル人材の活用事例
最後に、実際のバイリンガル人材の活用事例を3つご紹介します。
海外現地企業との商談
海外進出を行なっているメーカー等では、バイリンガル人材は現地企業との商談で活躍しています。
業務内容は海外の委託工場や小売店などとの予算や納期の交渉、販路拡大などです。
このような、いわゆる海外営業という職種は、バイリンガル採用がとても活発になっています。
社内の日本人×外国人との調整役に
外資系企業や、海外に支部・工場を置く日本企業では、バイリンガル人材は社内の日本人と外国人の調整役として活躍します。
職種としては、マネージャーや工場長など双方の従業員をまとめる立場や、生産管理・品質管理など日本国内から海外に指示を行う仕事が考えられます。
通訳担当者として
会社の代表者に帯同して通訳を行なったり、海外から届いた書類やEメールを翻訳したりする、通訳・翻訳担当者としてバイリンガル採用が行われることもあります。
これらは、単一言語のみ話す他の社員の仕事を円滑にし、業務の効率化に役立ちます。
まとめ
社会のグローバル化に伴い、バイリンガル採用は幅広い業界で注目されています。
日本と外国両方の言葉や文化に精通しているバイリンガル人材は、事業拡大やインバウンド対策の大きな助けとなります。
日本人のバイリンガル人材は多くないため、バイリンガル採用を考える場合は外国人採用についても同時に検討する必要があるでしょう。