優秀なエンジニア採用のために企業が行うべきこととは?

DODAが公表した、転職求人倍率レポート(2019年12月)にもあるようにエンジニア、特にIT・通信業界の求人倍率は11.36倍と依然として高く、採用が益々難しくなっています。

そこで今回は、優秀なエンジニアを採用するためのコツやポイントをご紹介いたします。

全てが完璧なエンジニアを求めるのではなく、職務をこなせるスキルさえあれば、他の部分には目を瞑るというのも一つの方法。
特に外国人採用を考えるのは、採用の幅を広げるためにとても有効ですよ。

エンジニアの採用が難しい理由

2019年1月に発表された日本国内の求人倍率を見てみると、全体平均が2.13倍なのに対して、IT/通信業界の平均は5.63倍。現在の日本は全体的に求人数より転職を希望する人材の方が少ない売手市場ですが、IT/通信業界はその傾向が特に強いのです。
そのため、特に中小企業にはエンジニアの採用は難しくなっています。

エンジニアの求人倍率が高いのは、AIやIoT技術の進歩によるエンジニア需要の高まりや、技術の成長スピードに人材育成スピードが追いついていないことが理由です。
数少ないIT人材は、多数の求人の中から待遇を吟味して勤め先を選べるので、労働環境が整っていない不人気企業はなかなか優秀なエンジニアを採用できない状態が続いています。

エンジニア採用のためには根本的な職場改革が必要で、他の職種の求人よりも採用プロセスに時間と手間がかかるのです。

エンジニアの採用に強い会社の特徴

ただ同じ求人条件を繰り返し出すだけでは、優秀なエンジニアは採用できません。
良い人材を早く確保したいなら、条件や職場環境を見直して採用に強い会社になる必要があります。

①ペルソナを設計している

スムーズにエンジニアを採用できる会社は、欲しい人物像(ペルソナ)の設計がはっきりしています。

例えば、優れた学歴と豊富な経歴を持ち、コミュニケーション力も高いという人材は、他の企業からも引く手数多です。
大手企業よりも優れた待遇を提案できない場合には、こういった人材を求めるのは高望みと言えるでしょう。

エンジニアを採用する際は、「優秀なエンジニア」という漠然としたイメージだけではなく、具体的なスキル・経験・組織での役割などを考えたピンポイントなペルソナを定めるのが有効です。
個人の能力の高さよりも、採用後に就く職務内容に対応できるかどうか考え、他の部分には妥協することも必要となります。

②エンジニアが働きやすい労働環境

優秀なエンジニアが、自ら「働きたい」と思える魅力的な企業なら、自然に応募は集まります。
そのため、休暇取得の強化や残業短縮などワークライフバランスの見直し、採用単価を思い切って上げるなどの働き方改革は、エンジニアの採用をスムーズにします。

現在働いている従業員も働きやすくなり、作業の効率化に努めるようになるなど、採用以外の面でもメリットが大きいです。

③採用に柔軟性を持つ

最後に、採用基準を広げると、条件に当てはまる人材の幅が広がってエンジニアの採用がしやすくなります。
例えば、採用単価の見直しを行えば、求職中のエンジニアの目に留まる確率が高くなります。
また、経験のない人材を、育成枠として採用して育てるのも一つの方法。

さらに、外国人採用を考えるのは大幅に視野を広げる方法です。
特に優秀なエンジニアが多いのは、韓国人・ベトナム人の人材。高い専門性を持ち「高度人材」と認められる外国人エンジニアには、「日本版高度人材グリーンカード」という新しい制度も始まりました。
これは、永住権の取得には最低5年・原則10年の日本居住が条件だったものが、高度人材に限って最短1年に短縮されるものです。

永住権取得のために日本でエンジニアを目指す外国人は増えていますし、企業側としても永住権が取得できればビザ更新等の手続きが必要なく、スムーズに外国人を雇用できます。

エンジニア採用に苦戦している会社の特徴

逆に、エンジニアの採用が難しい会社とは、どのような会社なのでしょうか。
エンジニアが働きたがらない会社の3つの特徴をご紹介します。

①労働環境が悪い

時間外労働が多い・その割に給与が低いなど、労働環境が悪い会社はエンジニアに敬遠されがちです。

先にも解説したように、エンジニアの転職は売手市場なので、求職者は比較的自由に職場を選ぶことができます。
複数の内定を貰えたら、より好待遇の会社で働きたいのは当然と言えるでしょう。

②キャリアパスが用意されていない

働き始めた時の待遇はよくても、そこから昇給や昇格がない企業には魅力がありません。
入社時点で、どのくらいの期間働き、どのくらいのスキルを身につけると昇格するのかというキャリアの道筋を解説しておくと、働くためのモチベーションになります。

また、エンジニアはスキルを身につければフリーランスとして独立することも可能な職種なので、スキルを学ぶ機会の多い企業は魅力的に感じる人が多いでしょう。

③単純労働な業務が多い

いわゆる「IT土方」と呼ばれるような、単純作業ばかりの仕事はエンジニアに敬遠されがち。
キャリアアップや独立を目指して、技術力の向上や成長する機会の多い仕事を望む人が多いです。

求人票や面接では入社後の仕事について詳しく解説し、実際にどのような仕事につくのかしっかり納得した上で選考を進めるのが良いでしょう。

エンジニアを採用する5つの方法

それでは、エンジニアを採用するための方法を5つご紹介します。

求人媒体に掲載する

エンジニアを採用するためにもっともメジャーな方法は、求人媒体に広告を掲載することです。
求人媒体に掲載するには当然料金がかかりますが、
・掲載広告型課金
・成功報酬型課金

という2種類の方法があります。

掲載広告型課金

掲載広告型課金は、採用サービスの中で求人広告を掲載する時点で料金が発生するシステムをとっています。
応募数や、採用できたかどうかに関わらずコストが発生し、費用は1週間で3~5万円ほど。

短期間で採用できれば成功報酬型よりもコストは低いですが、一人も採用できなかったとしても料金が発生するのがデメリットです。
どちらかというと、人材の質はあまり求めず、大人数をまとめて採用したい場合に適しています。

成功報酬型課金

成功報酬型課金とは、応募や採用が確定した時点で料金が発生するシステムです。
求人広告の掲載自体は無料で、応募成功で一人当たり1~2万円ほど、採用成功で30~90万円または年収の20%程度の料金が発生します。

成功報酬型課金のメリットは、面接や採用をしたい人数によってある程度予算が確定していることです。
また、応募がなければ料金が発生しないため、無駄なコストをかけずに採用活動をすることが可能です。大量採用したい場合ではなく、ピンポイントで優秀な人材を確保したいケースに適しています。

人材紹介会社を利用する

採用サイトではなく、人材紹介サービスを利用するのも、メジャーなエンジニア採用方法です。

人材と求人を人為的にマッチングするので、求人広告を出すより条件にはまる人材と巡り会うことが可能なのが人材紹介サービスの魅力。採用コストは広告を出すよりも高いことが多いですが、よりピンポイントに求めるスキルを持ったエンジニアを採用できます。
近年は国内のIT人材不足に対応して、外国人のエンジニア専門の紹介サービスも登場しています。

人材紹介会社の利用料金は、採用した人材の年収の35%ほどです。

リファラル採用を導入する

リファラル採用とは、社員や知人などの紹介で採用することです。
優秀なエンジニア同士は、学生時代や前職場などで繋がっている場合が多く、スキルや人柄がある程度担保された人材を確保することが可能です。

社員からの紹介なので、求人媒体に支払う料金も発生しません。紹介した社員には、インセンティブとして1~30万円ほどを支払うことが多くなっています。

ただし、いつでも紹介できる人材が居るとは限らないことや、採用できない場合のフォローには注意が必要です。

自社セミナーを開催する

求職者に向けて自社セミナーを開催すると、時間をかけてしっかりと自社の魅力をアピールできます。
来場する求職者の経験やスキルは様々ですが、自社について知ってもらうための第一歩になるのは確かでしょう。

イベント会場や司会者を外注しなければ、コストをかけず求職者と交流できる機会が儲けられるのが自社セミナーのメリットです。

外国人採用を導入する

外国人採用を導入すれば、数少ない日本人エンジニアを他社と取り合うことなく、求人倍率を下げることが可能。
エンジニアは接客や電話対応が必須の職業ではないので、外国人でも無理なく務まります。
翻訳アプリや英語を使ってコミュニケーションを行えば、日本人社員との意思疎通も問題ないでしょう。

また、日本より平均賃金が低い外国人を採用すれば、日本人を採用するより雇用コストを抑えられる可能性があります。

エンジニア採用のおすすめ質問例

最後に、エンジニア採用の面接でおすすめの質問例をご紹介します。

スキルセットを確認するための質問

エンジニアの採用で重要なのは、自社が求めているポジションに合ったスキルセットを持っているかどうかです。
質問例としては、以下のようになります。

・ポートフォリオや制作実績を見せてください
・前職でどのようなプロジェクトに携わっていましたか?
・得意・不得意な領域はありますか?

など

入社後のギャップを確認するための質問

求人倍率の高いエンジニアは、転職先には困っていません。入社前のイメージと入社後の実態にギャップがあると、職場に定着せず辞めてしまう場合も。

それを防ぐために、以下のような質問をしてみましょう。

・前職場での残業時間はどのくらいでしたか?どのくらいが希望ですか?
・将来のキャリアプランはありますか?
・組織で活動する上で重要だと思うことはありますか?

など

まとめ

エンジニアの採用は求人倍率が高く、優秀な人材を確保するのが難しくなっています。
エンジニアを採用する場合は、「優秀なエンジニア」という漠然としたイメージだけではなく、ピンポイントに求めている人物像を定めるのが大切。

また、日本人エンジニアにこだわらず、外国人人材に目を向けると採用の幅がかなり広がります。
職務内容をこなせるだけのスキルがあれば、語学力や文化の違いは気にしないというのも、エンジニアを確保するための一つの方法です。

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