外国人労働者を採用するにあたっては、その人の母国の歴史・文化・風習・習慣を理解し、日本との違いをよく理解しておかなければなりません。
今回は、日本にいる外国人労働者で最も多い、中国の歴史・文化・風習・習慣をご紹介いたします。働きやすい職場環境を作るためにも、中国人の採用を考えている企業の採用担当者の方はぜひ参考にご覧ください。
中国文化の特徴
中国は歴史の長い国で、人口は世界一で約14億人。1990年代から急速な経済発展を遂げ、現在のGDPは世界第二位となっています。
中国は他民族国家であり、モンゴル族・チベット族・ウイグル族・朝鮮族などの様々な民族が住んでいます。それぞれ特有の言語や文字を持っていますが、主に総人口の約90%を占める漢民族の言語である「漢語」を使用しています。
その漢語の中にも七大方言と呼ばれる方言があり、地域によって北方語、呉語、粤語、福建語などに分かれています。方言の壁を打ち破るために北京語を標準語とした普通語が定められ、一部の地域を除けばほとんどで普通語が通じるようになっています。この普通語がいわゆる「中国語」のことで、テレビなどで話されている言語も普通語です。
中国の歴史を振り返っても、国全体に普及した有力な宗教というものはありません。無宗教の人も多く、民族宗教も無数にあります。少数民族の多くは独自の宗教があり、中国人のうち約20%が民族宗教を信仰しています。
そんな中国の宗教の中で特に多いのは、仏教もしくは道教、キリスト教、イスラム教で人口の約60%に及びます。
中国と日本の文化の違い
それでは、中国と日本の文化・習慣の違いについてはどのようなものがあるのでしょうか。日本では当たり前だが中国ではそうでないこと、逆に中国では当たり前だが、日本ではそうではないことなどをご紹介いたします。
仕事にまつわる文化・習慣
仕事に対する考え方や文化は、日本人とそれ以外の国の人とでは違っています。中国人と働く上で、これらの違いは特に重要となるため、採用担当者の方は要チェックです。
時間にルーズ??
日本では時間に遅れてはいけない意識が強いですが、中国ではそうではありません。約束や待ち合わせをする際は、遅れても仕方がないと思っておき、早めの時間を設定しておくとよいでしょう。
プライドは高いの?
中国人はプライドをしっかりともっており、プライドを傷つけられることを嫌います。中国人と話す際は、相手のプライドを傷つけないように気をつけましょう。特に人前で怒られることを非常に嫌っているため、何か注意をしたいことがあれば別室で伝えるようにするなどの配慮が必要です。
生活にまつわる文化・習慣
生活にまつわる文化・習慣の違いはどのようなものがあるのでしょう。紹介します。
年齢の数え方が違う
中国では、日本のように満〇歳という年齢ではなく、生まれたときが1歳とする「数え年」で年齢を数えます。
中国ではポイ捨てする習慣も?
中国では、路上に道路清掃車などが走っています。掃除はその仕事の人がするという考え方が一般的なため、道にゴミを捨てても気にしない人が多いです。
お客様は神様という習慣・文化はない
中国には、日本のような「お客様は神様」といった考え方はありません。サービスを受けた客の方が感謝するべきという価値観のため、日本のようなきめ細やかな接客はありません。
食にまつわる文化・習慣
日本と同じアジアの国ですが、食についても違いがあります。どのような違いがあるのでしょうか。
箸は使うが、長さ・置き方が違う
中国も日本と同じく食事に箸を使いますが、長さと置き方は違っています。中国の箸は日本の箸よりも5cmほど長く、横に置く日本とは違い縦に並べます。
少し残すことがマナーとされている
日本では食べ残しはあまり良くないとされていますが、中国では反対です。特に会食の場などで料理を全て食べきると、「満腹ではない、もてなしが足りなかった」という意味となってしまいます。自分の取り皿にとった分は全て食べ、大皿の料理は少し残しましょう。
割り勘はしない
日本では同僚や友達との食事の支払いは割り勘なことが多いですが、中国ではそういった習慣がほとんどありません。友達同士であっても、誘った人や年齢が上の人が支払いを行うことが一般的です。
コミュニケーション・恋愛にまつわる文化・習慣
日本と中国のコミュニケーション・恋愛にまつわる文化・習慣の違いはどのようなものがあるのでしょうか。お互い誤解をしてしまわないようぜひ確認してくださいね。
知らない人に愛想良く接することはない
中国人は、よく知らない人に対しては愛想があまりない人が多いです。たとえお客さんと店員であっても、あくまでその関係性はフラットであり、必要以上ににこやかになることはありません。
もちろん、心を開けばそんなことはなくなるため、冷たい人などと思わずコミュニケーションをとることが必要です。
義理堅い
中国人は、自分が信頼してない人に対してはドライです。信頼を得るには時間が必要ですが、親しい間柄になれば非常に親身に接してくれます。また、一度でも助けてもらったことがあれば、その人に対する恩を忘れることはありません。
お金にまつわる文化・習慣
お金にまつわる文化・習慣の違いはどのようなことがあるのでしょう。紹介します。
現金を持ち歩かない
中国では、偽札が非常に多く出回っているという背景から、日本よりも電子決済の普及率が高く、現金を持ち歩く習慣のない人が多くなっているようです。
お釣りの渡し方が違う?
日本では、お店などでお釣りをもらう際、両手を添えて丁寧に渡されることが多いですよね。しかし、中国にはそのような習慣はありません。投げるように渡されたと感じる日本人は多いですが、決して悪気はないため理解が必要です。
交通にまつわる文化・習慣
交通にまつわる文化・習慣はどのようなものがあるのでしょう。紹介します。
順番に並ばない
中国人には、歴史的にバスや電車などの公共交通機関に乗る際に並ぶという習慣がありませんでした。しかし、2008年の北京オリンピックの開催時に大きな問題となり、順番を守るという考えが普及したため、以前よりは並ぶ人は多くなったようです。
割り込みが多い
中国人は、座席や列に空きがあった場合、入り込むのは当然という考えを持っています。自社で中国人の採用を考えているのであれば、日本ではマナー違反とされることがあることをしっかり教えてあげましょう。
教育にまつわる文化・習慣
中国の教育制度は日本とほぼ同じで、基本的に小学校と中学校の合計9年間が義務教育で、その後高等学校3年、大学4年と続きます。幼稚園は3年通う人が多く、この点も日本と同じです。学年の始まりはアメリカと同じ9月からとなっています。
学校教育における日本との違い
中国の小学校は、教科ごとに担当する先生が違っています。また、地域によっては、小学校1年から主要教科として英語を学ぶところもあります。
成績が重視される
中国は、日本よりも成績重視の面が強く、多くの宿題をこなすため家族が面倒を見なければならないことも多いです。高校生は、部活動にはあまり力を入れず寝る間も惜しんで勉強しています。
就職事情
日本では、大学在学中から就職活動を行い、卒業後はすぐに社会人となる新卒採用が一般的です。しかし、中国では卒業後すぐに仕事に就かず、社会勉強や留学をしてからより条件の良い就職先を見つける人も多いようです。
結婚にまつわる文化・習慣
中国では、日本よりも血縁関係が重要とされています。毎日家族でご飯を食べることを当たり前だと考えており、家族の時間をとても大切にしています。
また、中国は、歴史的に夫婦別姓です。そのため、日本のように「家に入る」という考えはありません。なお、子どもが生まれた場合は夫側の姓を名乗ることがほとんどです。
意外と知らない?中国の贈り物文化
贈り物やお祝いなどの文化も、日本と中国では違いがあります。失礼に思ったり思われたりすることのないよう、ぜひ知っておきましょう。
中国でプレゼントにNGなものとは
中国では、以下のような発音が悪い意味の言葉を連想してしまうものは、基本的にはプレゼントにはNGとされています。
・時計→終
・靴→邪
・梨→离(離れる)
・扇子→散
また、帽子を贈ること自体は問題ありませんが、中国では、男性が緑の帽子かぶると、「その彼女や妻が他の男性と浮気しています」と公言しているという意味になってしまいます。中国人男性に緑の帽子をプレゼントするのは避けてください。
お祝いのお金はどうする?
中国では、お祝いのお金を包む袋は赤色であることがほとんどです。
結婚式のご祝儀の金額は日本のように相場がある訳ではなく、関係性や地域によって大きく変わります。日本では引き出物や金額の3分の1に相当する品物をお返しとする習慣がありますが、中国の場合はもらってからすぐ返すのはなく、別の機会でもらった金額より少し多めにお返しをするのが一般的です。
まとめ
中国と日本では、コミュニケーションなどの面において多くの違いがあるため、特に接客業などで中国人を採用する際は、細かい配慮が必要です。
中国と日本の文化・習慣の違いを事前に理解しておけば、お互い嫌な思いをせずにつきあうことができます。中国人を採用する上でのケアも行いやすいので、長く働いてもらうためにもぜひ参考にしてください。