政令改正など体制整備へ前進する「民泊」、古民家活用で地方創成など独自色も

インバウンド需要に乗って、議論も政策も前向きな検討がされる民泊。現在、政府は、同じ住宅に6泊7日以上滞在する客に限定した日数要件を今秋にも2泊3日以上に短縮することを検討しています。

国家戦略特区で一般住宅に旅行客を有料で泊める民泊を短期滞在客向けにも解禁する方針を示しています。 (画像出典:ホームアウェイwebサイト)                

【特区での状況おさらい】

2014年4月、旅館業法の適用を解除。訪日客向けの民泊を認める制度の設定。これまでに東京都大田区で17施設、大阪府の大東市と門真市で2施設が認定を受けています。10月をめどに大阪市も解禁するほか、千葉市と北九州市も関連条例を制定し、民泊事業を認める計画です。

【特区以外での状況おさらい】 

ホテルや旅館が行う技能実習制度を通じ、外国人をより活用しやすくするなど規制緩和を検討中。

ホームアウェイ、古民家活用地方創成プロジェクトをスタート

政府が関連する政令を改正し、参入障壁であった長期滞在に限定していた要件を見直すことで、個人や企業においては空き家の稼働率を高めることが見込めます。

そんななか、一棟貸しでの民泊仲介を特徴とする「ホームアウェイ」は、日本での取り組み強化の策として、古民家を活用した地方創成プロジェクトを開始することを発表しました。

同事業は国家戦略特区を活用した古民家再生プロジェクトを展開するノオト社との連携によるもの。日本の歴史的建造物である古民家などを丸ごと生かした再活 用をおこなうノオト社の方針に、ホームアウェイが賛同。ノオト社は限界集落の再生にも関与する。一方、ホームアウェイは世界193か国で展開中のネット ワークを強みに誘客を強化していく(出典:トラベルボイス

プロジェクト第一弾として、2016年9月1日よりホームアウェイで兵庫の丹波篠山の古民家「集落丸山」と養父市「大屋大杉」の予約ができるようになっています。

こうした動きの一方で、民泊にはホテルや旅館業界の反発が根強いという課題もあります。このため、政府は訪日客受け入れ体制の整備という観点でホテルや旅館への規制緩和も検討しています。

外国人の技能実習制度や在留資格の要件を緩和して、外国人スタッフを活用しやすくする方策も模索。無許可の営業に対する罰則の強化も視野に入れる想定であり、東京オリンピックを前になお活発な議論が求められます。

(参考:日本経済新聞)

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