エンジニア採用には、業務に関する専門知識が必要です。しかし、人事部で働く方の多くは、エンジニアの業務全般やプログラミング言語、開発しているプロダクトの仕様等について知識不足を感じているのではないでしょうか?
そのためエンジニアの採用は、人事だけではなく社内のエンジニアと連携して計画的に進める必要があります。
今回は、エンジニア採用を成功させるために、人事ができることを中心に解説していきます。
この記事の目次
人事が原因?エンジニア採用失敗の要素
専門的な知識を必要とするエンジニアの仕事は、人事担当者にはなかなか理解できない部分も多いです。
採用するのは人事部でも、実際に一緒に働くのは社内の他のエンジニア。まずは、人事担当者にエンジニアの知識がないと、どのような問題が起こるのかを具体的に見ていきましょう。
エンジニア採用における人事の役割
エンジニアを採用する際に、人事担当者が主に行うのは以下の仕事があげられます。
・求人を出す
・候補者や面接官、エージェントと話をする
・日程調整
・雇用契約書の作成など事務手続き
この中で、エンジニアの仕事について知識が必要なのは「求人を出す」「候補者や面接官、エージェントと話をする」という場面です。
エンジニアの仕事について知らないと、求人票でどのようなスキルを求めればいいかわかりませんし、面接でも話の内容が曖昧になってしまいがちです。
人事担当者自身が基礎知識以上の知識を身に付ける必要はありませんが、これらのステップには社内のエンジニアや専門知識のあるエージェントが立ち会った方がいいでしょう。
求人票が分かりにくい・魅力がない
まず、人事担当者がエンジニアの仕事について理解が浅いと、求人票に書く仕事内容が曖昧になったり、わかりにくくなってしまいます。
自社の技術部門ではどんな仕事をしていて、これから採用する人にはどんな仕事を任せるのか、社内のエンジニアに解説してもらった方がいいでしょう。
必要なスキルについても、エンジニアの確認を取るのがおすすめです。
さらに、エンジニアが魅力を感じる会社や労働条件は、当然現役のエンジニアの方がよくわかります。
社内エンジニアに協力を求めることで、エンジニアにわかりやすく、魅力的な求人票が作成できます。
採用したいエンジニア像が曖昧
人事担当がエンジニアの仕事についてよく理解していない場合、当然仕事に必要な資格・スキル・経験などもよくわかりません。
また、エンジニアと一言で言っても、具体的な職種はインフラエンジニア・フロントエンドエンジニア・組み込みエンジニアなどさまざまで、実際にはエンジニアでない(データサイエンティスト等)職種も”エンジニア"と同職種だ。と勘違いしてしまいがちです。
「人手が足りないから増やしたい」というだけではなく、具体的にどんな人物が必要なのかという理解をしていかないと採用がうまく進んでいきません。
エンジニアのスキルを正確に判断できない
専門知識のない人事担当者は、応募者の力量を正確に判断できません。
ポートフォリオや過去の実績を見ても、それにどのような技術が使われているか見当もつかない人事担当者もいるでしょう。
エンジニアの面接には自社ですでに働いているエンジニアも同席し、技術的な話や業務内容の確認はエンジニア同士で行うべきです。
働きやすい労働環境の訴求不足
エンジニアと人事担当者は、同じ社内でも全く違う環境で働いています。
技術部門が抱えている業務量や残業時間数はどれくらいあるかなど、労働環境の実態は書類上のデータでしか判断できません。
優秀なエンジニアを採用するには労働環境の整備がとても大切ですが、違う環境で働いている人事担当者はどのように改善すべきかがわからないこともあるのです。
エンジニアの採用を考えている場合は、事前に社内のエンジニアにヒアリングを行い、どのような環境ならエンジニアが働きやすいのかを把握しておく必要があるでしょう。
エンジニア採用成功のために人事ができること
それでは、エンジニアの採用を成功させるために、エンジニア採用における新米人事ができることを解説していきます。
①ターゲットを絞ったペルソナ作成
一言でエンジニアといっても、詳しい職種や得意分野・不得意分野は人によって様々。必要となる経験やスキルも、募集するポジションによって異なります。
エンジニアの転職は売手市場なので、全ての能力が高い優秀なエンジニアは採用コストが高くなりがちです。自社エンジニアと一緒に、採用したいエンジニアのレジュメを抽出し、「ここだけは外せない」というポイントを把握しておくと、採用の基準が明確になります。
②ポイントを押さえた求人用ひな型作成
エンジニア採用に限ったことではありませんが、求人票の内容は求職者が魅力を感じるものにする必要があります。
給与や福利厚生など、一般的な求人でも強調すべき要素はもちろん、仕事内容の詳細について知りたいエンジニアは多いです。
入社した人材に任せる仕事内容や、何が記載してあれば魅力を感じるかを社内のエンジニアからヒアリングし、文面を作っていきましょう。
③人材紹介会社には可能な限り直接出向く
エンジニアを採用する場合、紹介サービスやエージェントを利用することがあります。
その場合には、可能な限り直接出向いて自社が求める人材について話をしておきましょう。メールや電話でも要望を伝えることはできますが、直接会うことでより印象に残り、他社より優先して優れた人材を紹介してもらえる可能性があります。
可能であれば、エンジニアと一緒に訪問すると、紹介会社の担当者にどれほどの知識があるのかを見極めることができ、こちらの要望も伝えやすいでしょう。
④面接はエンジニアと役割分担
面接には、人事担当者とともに自社のエンジニアも同席するようにするのがおすすめです。
専門知識のない人事担当者は、技術的な内容を質問してもしっかり理解できない場合があります。
面接の内容を、会社の説明は人事・技術的なヒアリングはエンジニアという風に役割分担すると、双方とも話しやすいでしょう。
⑤クロージング面談で本音を聞き出す
クロージング面談とは、内定を出した後に行い、入社を決意してもらえるようフォローしたり、面接では話せなかった応募者不安を解消したりするための面談です。
ここで本音を聞き出し、じっくり話し合っておくことで、入社後のギャップを防いで人材が定着しやすくなります。
特に外国人エンジニアを採用する場合には、仕事以外の生活上の相談にも乗り、入社後に安心して暮らせるようにサポートしましょう。
外国人エンジニアの採用が急増中
外国人エンジニアの採用は、過去7年の間でおよそ2倍に増えています。
これは、急激なIT技術の発展や少子高齢化により、日本国内のIT人口が深刻に不足しているため。
今後、2030年には40~80万人のIT人口が不足する見込みで、日本国内で人材育成が間に合わない以上、外国人エンジニアの受け入れが急務になります。
外国人エンジニアの能力は日本人エンジニアと遜色なく、特にベトナムや中国からの外国人エンジニアの技術力は非常に高いことが知られています。
エンジニアは営業や電話対応が必要な仕事ではないので、他の職種よりも言葉の壁が低いという点もメリットです。
もちろんビザの申請など、日本人エンジニアには不要な作業も必要にはなります。
しかし日本国内のエンジニアよりも数が多く、安価に人材が確保できる外国人エンジニアは、今後も注目を集めていくでしょう。
ITエンジニアの採用は社内を巻きこんで計画的に
ITエンジニアの転職は圧倒的な売り手市場で、求人を出せば簡単に人が集まるというものではありません。
人事担当者は社内のエンジニアと連携し、ペルソナの設定やエンジニアの働きやすい環境整備などを計画的に行なっていく必要があります。
また、近年は外国人エンジニアの採用も急増中。言葉の壁を除けば優秀な人材が多く、高いモチベーションの人材を安価に採用できるのが魅力です。
エンジニア採用を考えている人事担当者の方は、ぜひ外国人エンジニアの採用も視野に入れてみてください。