
日本に在留している外国人の中には、家族への仕送りや奨学金の返還などで、海外に送金をする機会がある人も多いかと思います。
しかし、海外と資金のやり取りをする際は、必ずと言っていいほど手数料がかかります。また、銀行などの金融機関の窓口での送金は、外貨両替に伴う手数料が高額で、手続きにも時間がかかります。
当記事では、外国人材が利用する海外送金サービス&アプリ8選をご紹介いたします。雇用する側が海外へ送金したり、外国人から母国に送金したいと相談されたりすることもあるため、外国人の方はもちろん、人事の方もぜひ参考にしてください。
外国人は日本で海外送金できる?
日本の法律上は、日本人も外国人もどの国に対しても海外送金は自由に行えることになっています。しかし、外国為替及び外国貿易法の定めにより、送金先となる国・地域やその送金目的によっては、財務大臣の許可等や主務大臣への報告を必要とする場合もあります。
外国人におすすめの海外送金サービス
外国人におすすめの4つ海外送金サービスについて、それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介いたします。
Transfer Wise(トランスファー・ワイズ)
Transfer Wise(トランスファー・ワイズ)は、とにかく手数料が安くておすすめの海外送金サービスです。
日本から海外送金する際、ほとんどの場合は送るお金を海外の外貨両替に変更してそれを送金しますが、Transfer Wiseはお金を移動させることなくそれぞれの国のTransfer Wise口座で預かっているお金を引き出せるというサービスです。
メリット
・海外送金手数料が一番安い(最大で銀行の1/8)
・オンラインで登録できる
・主要な国のほとんどに対応している
デメリット
・現地の口座が必要
・一部の国では日本への送金の制限がある
Pay Forex(ペイフォレックス)
Pay Forex(ペイフォレックス)は、世界200か国以上の場所で海外送金ができるサービスです。手数料はTransfer Wiseよりもかかりますが、他の銀行よりは安く、大口の送金は無料で行えます。利用登録から送金手続きまでオンラインでできるため、時間がない人にもおすすめです。
メリット
・送金手数料が安い
・オンラインですべて完結する
デメリット
・ネット取引に慣れていない人には使いにくい
Western Union(ウエスタンユニオン)・セブン銀行
Western Union(ウエスタンユニオン)は、アメリカに本拠地を持つ大手の国際送金サービスです。
普及率が高く、全世界200ヶ国以上に50万ヶ所を超える取扱店があります。送金方法は、銀行口座宛の送金、コンビニからの送金、取扱店からの送金、ATMからの送金の4種類があります。セブン銀行と提携しているので、そちらからも送金でき便利です。
メリット
・急ぎの海外送金にも対応できる
・手数料が安く済む
デメリット
・送金手数料に加えて為替手数料もかかる
enRemit(エンレミット)
東京に本社があるenRemit(エンレミット)は、アメリカの大手送金サービス会社のマネーグラムと提携しています。世界200の国や地域に約35万の拠点があり、銀行口座がなくても現金受け取りが可能です。
メリット
・インターネットからの送金申し込み、ゆうちょ銀行カードでの振込可能
・最短10分で送金受取が可能
デメリット
・申し込み手続きに時間がかかる
SBI Remit(SBIレミット)
SBI Remit(SBI レミット)は、220以上の国と地域の約25万拠点へ送金可能で、送金ニーズに応じて使い分けができます。送金可能国と取扱通貨が多く、銀行口座がなくても海外で送金を受け取ることができるのが特徴です。
メリット
・最短10分から数日程度で送金できます。
・受取人が銀行口座を持っていない場合にも送金可能です。
デメリット
・受け取りは送金依頼から90日間のみ有効で、45日を超えると送金依頼時と異なる為替レートがかかる
・銀行口座宛の送金が可能な国が限られている(2019年現在はフィリピン、中国、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、ブラジル、ペルー、ネパール、スリランカ)
ゆうちょなどの日本の銀行でもできる?
ゆうちょ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、百五銀行、楽天銀行、新生銀行、ソニー銀行、りそな銀行などの日本の銀行からも海外送金が可能です。
例えば、ゆうちょ銀行であれば、ゆうちょダイレクト(パソコン・スマートフォン)、または窓口から送金ができます。
外国人の海外送金が便利に!Android/iOS対応アプリ
より手軽に海外送金ができる、便利なAndroid/iOS対応アプリをご紹介いたします。パソコンを持っていないという方にもおすすめです。
SEVEN BANK MONEY TRANSFER
「SEVEN BANK MONEY TRANSFER」は、セブン銀行の海外送金サービスのアプリです。送金レートを素早く確認できたり、受取人の設定が簡単にできたりするなど、海外送金に便利な機能や情報がたくさんあります。
メリット
・電話窓口のオペレーターは9言語に対応(日本語、英語、タガログ語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語)
・セブン銀行を事前に作っておけば、アプリにて送金登録が簡単にできる
デメリット
・アプリ送金できるのはフィリピンのみ
World Family 海外送金
「World Family 海外送金」は、海外送金を速く・安く・確実に・簡単にできるアプリです。手数料は1回につき500円からと、国内送金とあまり変わらない料金で海外送金できます。また、送金にかかる時間も短く、最短5分で中国・ネパールへ、最短15分で他のアジアの国々に送金できます。
メリット
・会員登録すると格安(500円~)で海外送金できる
・財務省関東財務局に登録されていて安心
デメリット
・送金できるのはアジアの国だけ(インド、インドネシア、カンボジア、スリランカ、タイ、中国、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、シンガポール、韓国)
外国人が海外送金する際の注意点
外国人が日本から海外送金するためのサービスやアプリをご紹介いたしましたが、実際に送金する際に気を付けておくべきこと・注意点はあるのでしょうか。
日本の海外送金は規制が厳しい
日本からの海外送金はテロなどの犯罪行為に繋がる危険性があるため、送金時の本人確認や資金の出所の確認などは通常の国内送金と比較にならないほど厳しくなっています。また、送金先の国が制裁対象国である場合は送金できない可能性があるため、注意が必要です。
OFAC規制とは?
OFACは、アメリカの財務省外国資産管理室のことです。「OFAC規制」とは、OFACが安全保障や外交政策上の目的から、指定の国・地域や個人・団体などに講じている取引禁止や資産凍結などの措置のことを言います。
制裁対象国への送金はNG?
OFACに基づき、制裁対象国への海外送金ができない場合があります。対象となる国と規制の度合いは以下の通りです。
・包括的な制裁対象国(ミャンマー、キューバ、イラン、スーダン、シリア)…取引全般
・非包括的な制裁対象国(バルカン西部地区、ベラルーシ、コートジボアール、コンゴ民主共和国、イラク、リベリア、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、ジンバブエ)…米国政府より個別に指定されている個人や組織との取引
「海外送金等のお尋ね」が届く
日本から100万円以上の海外送金を行う場合、国内の金融機関はその旨を税務署に報告する義務があります。
送金額が大きかった場合、半年から1年後に、税務署から海外送金資金の経緯や使途、または贈与事実や申告漏れなどについて回答を求められることがあり、それが「海外送金等のお尋ね」です。「海外送金等のお尋ね」は不正でない場合でも届けられるので、受け取った際はきちんと回答しましょう。
税務署からの聞き込みがある場合も
・海外取引がある事業の所得
・国内外の源泉所得
・海外に住んでいる親族からの贈与
税務署より、これらに該当しないかどうかの確認の調査が行われることもあります。
贈与税の対象になることもある
日本では、日本に住んでいる人からであれば、受けとった人は居住地や国籍を問わず贈与税が課税されます。第三者間の送金は、取引や貸し借りのケースが多く純粋な贈与が少ないため、贈与と認定されることはあまりありません。しかし、親子や夫婦など家族間で資金援助などを目的とした送金が行われた場合は、贈与と認定されます。
まとめ
日本から母国に海外送金をしたいという外国人は多いですが、仕組みをきちんと理解しておかなければ、手数料や時間が余計にかかってしまいます。
ぜひ、こちらで紹介したサービスやアプリを活用して、賢く海外送金をしてくださいね。