
少子高齢化などによる労働者不足により、現在日本では外国人労働者の雇用を積極的に推進しています。
そのため、アジアの国々からも働くために来日する人が増えています。その中でも、台湾は日本に影響を受け親日家も多い国と言われています。そんな台湾の歴史、文化、風習、衣食住はどのようなものでしょうか。
台湾は歴史が比較的浅く多民族国家のため、特有の文化、風習があります。台湾人を採用しようとしている企業の人事担当者の方は、これらを知っておけばより準備や配慮がしやすくなります。ぜひ参考にご覧ください。
この記事の目次
台湾文化の特徴
台湾の歴史は、1544年にポルトガルによって発見されたことから始まります。その後、スペイン、オランダによる統治時代があり、日清戦争後は日本が統治するようになりました。このとき、日本が交通網や教育の整備に力を入れたことから、台湾には今での親日家が多いとされています。
また、台湾は多民族国家です。元々いた原住民に加え、「本省人」(1945年以前に移住)、「外省人」(1945年以降に移住)に大別されます。多民族国家だからといって民族同士の仲が悪いという訳ではなく、みな台湾人であるという意識が強いようです。
言語は中国語(北京語・普通語)、台湾語ですが、他にも英語や日本語など様々な言語を話せる人がいます。
台湾と日本の文化の違い
台湾と日本の文化の違いはどのような特徴があるのでしょう。近い分似ているところは多いですが、違うところもたくさんあります。
仕事にまつわる文化・習慣
仕事にまつわる文化・習慣の違いは、特に一緒に働く上では重要なポイントです。
他の人の仕事を手伝う習慣がない?
台湾人は、自分の仕事が終わったら勤務時間であっても休憩に入ります。日本では、そのようなときは他の人の仕事を手伝うことが多いですが、こういった習慣はありません。しかし、手伝いを依頼すると嫌な顔せず手伝ってくれる人が多いので、一方的に不満に思わず声をかけましょう。
時間にルーズ?
おおらかでのんびりしている台湾人は、時間にルーズです。時間に遅れることも気にしない人が多いので、約束をするときはゆとりをもって時間を設定しましょう。
自分に自信を持っている
台湾人は自分に自信を持っている人が多く、仕事のスピードは早いです。できる仕事は、プライドを持って最後までやり遂げてくれます。しかし、日本人に比べ慎重さや応用力に欠ける傾向がありますが、どんどん推進していく力がある方が多いようです。
転職は当たり前
台湾人は転職する人が多いようです。日本人は1つの職種・職場で働き続けることが普通ですが、台湾人は仕事へのこだわりが少なく、いろんな職種を経験したいと考える人が多いです。
昼寝の習慣がある
日本との大きな違いの1つが、昼寝の習慣があるところです。台湾では、約85%の人が仕事中に消灯し昼寝をする時間を設けているそうです。台湾人の仕事が早いのは、その効果もあるのかもしれませんね。
生活にまつわる文化・習慣
台湾人を日本で採用する場合、台湾人が日本で生活していくためにも、仕事だけでなく生活の習慣の違いは理解しておかなければいけません。
夏の断水は茶飯事
台湾は、日本と違い四季がありません。温暖で夏の気候・気温が1年のほとんどを占めています。雨が少ないことから、台湾南部を中心に乾季の水不足が深刻な問題があげられます。夏になると定期的な断水があるため、台湾の各家庭やマンションの屋上に貯水タンクが備え付けられています。
コンビニは食事持ち込み可
日本のコンビニにもイートインコーナーが見られるようになりましたが、台湾では他の店舗で購入した食べ物を持ち込んで食べる人が多いようです。わざわざコンビニに朝ご飯を食べに来る人もいるそうですよ。
買一送一がある
台湾では、よくコンビニやスーパーなどで「買一送一」が見られます。買一送一とは、1つ買うともう1つ同じものがもらえるサービスのことです。
化粧品やシャンプーなどの日用品に多くみられますが、大きなものでは不動産もあるそうです。
トイレ事情
台湾では、トイレにトイレットペーパーを流す習慣はありません。流せるトイレットペーパーが出回り始めたのは2017年ごろと最近なので、まだ備え付けのゴミ箱に捨てることが多いです。
また、台湾にはウォシュレットがほとんど設置されていないため、日本のウォシュレットに戸惑う台湾人は多いです。
食にまつわる文化・習慣
食に関する文化・習慣は、日本とは少し違っているようです。

台湾は外食文化
日本人は自宅での食事がほとんどですが、台湾人は逆です。台湾には夜市や簡易食堂がそこかしこにあり、夜だけでなく朝から外食する人が多いです。理由としては、台湾の大都市の賃貸住宅にはキッチンのない物件が多いことなどが考えられます。
麺をすするのはNG
台湾も日本と同じように麺類をよく食べますが、食べるときに音を立てるのはマナー違反です。
水を飲む習慣がない
台湾人は、食事の際に水を飲む習慣がありません。水の代わりに味の薄いスープを飲みます。
また、かつて水道水は危険と言われていたせいで、水道水を飲むことはありません。現在は改善されたようですが、それでもその名残かミネラルウォーターのペットボトルやドリンクスタンドのジュースを飲みます。
喫煙場所の規制が厳しい
台湾は、喫煙できる場所に関しては日本よりもずいぶん厳しいです。場所だけでなく罰金も高く設定されています。もちろん外国人も台湾人と同じ罰則が適用されますので注意しましょう。
コミュニケーション・恋愛にまつわる文化・習慣
コミュニケーション・恋愛にまつわる文化・習慣について解説します。コミュニケーションは台湾人を雇用する上で特に重要なポイントなので注目です。
台湾人はフレンドリーな人が多い
台湾人は、フレンドリーな人が多く、親切でおおらかな人ばかりです。しかし、多民族文化のためか、ストレートに言葉で表現する人が多いです。日本人はそんなストレートさに戸惑う人が多いようですが、相手に気持ちを伝えようとしているだけなので誤解しないようにしましょう。
彼氏・彼女同伴が多い
台湾人は恋人をとても大切にします。友人同士で遊んでいると、恋人を合流させることも多いです。
また、恋人の社内旅行に同行することも多いようです。
社交辞令はあまりない?
日本人は、苦手なものを苦手とはっきり言うことがあまりありませんが、台湾人はストレートに受け取ってしまいます。台湾人の押しに負けてしまう日本人も多いようですので、正直にはっきりと伝えるようにしましょう。
お金にまつわる文化・習慣
お金に関する文化も、国によって異なります。
台湾にはチップ制度がない
日本と同じく、台湾にはチップを払う習慣はありません。高級な飲食店やホテルなどでは、「服務費○%」という料金がかかることがあります。これはいわゆる「サービス料」なので理解しておきましょう。
キャッシュレスが普及している
台湾でも、カードやスマホなどによるキャッシュレス決済が浸透しています。近頃では屋台などでも電子マネーが使えるようになっているようで、日本よりも普及率は高いです。それに慣れた台湾人だと、日本での生活は少し不便に感じてしまうかもしれません。
交通にまつわる文化・習慣
台湾では、車線が日本とは逆で右側通行です。交通量が多く信号が赤でも右折していく車やバイクが多いようです。タクシーなどもスピードを出すので、日本よりも注意が必要です。
また、台湾は歩行者優先ではなく車優先です。台湾人に車の運転が必要な仕事に就いてもらうときは、日本の歩行者優先精神を心掛けてもらうようにしましょう。
教育にまつわる文化・習慣
教育にまつわる台湾と日本の文化・習慣の違いはどのようなものがあるでしょう。
日本と同様に6-3-3-4制
台湾の教育制度も日本と同様、小中高大の6-3-3-4制です。しかし、義務教育の期間は6歳から18歳、2学期制で上学期は8月~1月、下学期が2月~7月となっています。就学に関しても日本と違っていて、その年の8月31日までに満6歳になった者が同年の9月1日に入学します。
制服規定が緩い
台湾にも、日本同様に制服がある学校がありますが、週1~2回程度私服通学の日が指定されているなど、制服に関する規定は緩いです。
昼寝の時間がある
台湾の義務教育では、昼休みの半分は昼寝の時間とされていて机に突っ伏して静かに寝なければいけません。そのため、社会人になっても職場で昼寝するのが当たり前となっています。
通学は送迎が基本
通学に関しては中国と一緒で、親が送迎するのが一般的です。また、スクールバスを利用することも多いです。理由としては、車やバイクの運転が荒く、子どもだけで通学するのは危険だからということが挙げられます。
英語教育が充実している
台湾は英語教育に熱心な国で、英語を使う幼稚園も多く、小学校1年生から外国語科目の授業があります。自分に自身のあるお国柄も相まって、英語を話せる人は多いです。
結婚にまつわる文化・習慣
似ているところが多い台湾と日本ですが、結婚観については違っているのでしょうか。一見仕事には関係ないと思われるかもしれませんが、一緒に働く上ではこういったことも理解しておくと良いでしょう。
家族を大切にする
台湾人は、日本人よりも家族とつながりを大切にしています。家族・親族経営の会社も多いのが特徴です。
家族で過ごすのが当たり前
台湾では、旧正月などの節目のイベントは家族で過ごすのが一般的です。親戚付き合いも広く、大人数で過ごすのが当たり前なため、日本人は驚く人も多いようです。
台湾文化と日本文化は共通点が多い?
ここまで、台湾と日本の違いをご紹介いたしましたが、一方で共通点も多いです。その一部をご紹介します。
日本と同じ名前の駅がある?!
初めに触れた通り、台湾の鉄道や農業の発展は日本の影響が大きいです。そのためか、台湾には日本と同じ名前の駅が36個あるそうです。
キャラクターが好き!
日本では、ゆるキャラなどのキャラクター文化が発達していますが、台湾人もキャラクター好きなようです。特にクマやネコのキャラクターが多く、ハローキティなどの日本でお馴染みのキャラクターの人気も高いです。
温泉が多い
台湾は日本同様温泉大国で、国内に100か所以上の温泉があります。日帰り温泉などもあり、手軽に温泉に行く点は日本と同じです。
野球が人気
台湾では日本同様、野球の人気が高いです。台湾にもプロ野球リーグがあり、日本のチームで活躍している選手も多いため、日本のプロ野球に注目している台湾人も多いです。
また、サッカーやバスケットボールも人気があるため、台湾人とはスポーツの話題で盛り上がりやすそうです。
まとめ
台湾は、比較的歴史が浅めで、日本とかかわりが深い国です。台湾人は、文化・習慣こそ日本と違う部分がありますが、真面目で一所懸命に働くところは似ています。また、外国語教育にも力を入れているため英語や日本語が話せる人も多く、日本の企業でも馴染みやすいでしょう。
しかし、食文化や生活習慣(トイレや交通事情、昼寝の習慣など)に違いもあるため、台湾人を採用する際は、しっかり説明し理解しておいてもらう必要があります。採用する日本企業側も、両者の違いを頭に入れておきましょう。