新型コロナウイルスの影響が続く中、オンラインで採用を行う「リモート採用」が注目されています。
リモート採用には感染症予防以外にも、採用工数の短縮や時間・コストの削減など、様々なメリットがあります。
ただし、まだ新しい採用手法なので、今後の課題となっているデメリットも。
今回は、リモート採用の導入方法や、成功のためのポイントをご紹介していきます。
この記事の目次
リモート採用とは
リモート採用とは、説明会や面接、場合によっては入社後のフォローまでオンラインで行う新しい採用手法のことです。
新型コロナウイルスの感染拡大を背景として、人同士の接触を減らすため、またコロナ禍の中でも採用活動を行うための手法として注目されています。
他に「オンライン採用」等と呼ばれることもあり、2020年10月の調査では57.6%の企業が新卒採用にリモート採用を導入しています。
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000035867.html
リモート採用のメリット
リモート採用の最大のメリットは、実際に顔を合わせたり接触することがないので、感染症の拡大防止に役立つこと。
また、採用担当者・求職者ともに自宅にいても面接ができるので、移動時間や交通費、宿泊費、会場代などのコストが削減できるという側面もあります。
さらに、実際に人を集めて説明会や面接会を開く場合に必要な、会場の確保、当日の人員配備、案内の郵送といった工数を、リモート採用なら大幅に短縮することが可能です。
リモート採用のデメリット
リモート採用では、実際に顔を合わせる面接よりもスムーズに意思疎通ができない可能性があります。
それは、通信状態の問題でラグが出やすいことや、画面越しなので双方の表情が掴みにくいことが原因です。
また、リモート面接だと心理的な距離が生まれるためアイスブレイクに時間がかかったり、気軽に参加できるため志望度の低い求職者が混じってしまうという側面も。
リモート採用を導入する際には、それまでの募集や面接をただオンライン化するだけではなく、これらのデメリットに配慮した方法を考える必要があります。
リモート採用の流れ
それでは、リモート採用はどのように進めていくのか、募集から内定までの流れを解説していきます。
リモート採用に適した求人媒体を活用する
募集のプロセスは、従来から採用サイトなどを使ってオンラインで行っている企業が多いかと思います。
しかし従来の募集方法だと、その後に対面での説明会や面接を前提としているため、応募者の管理やスクリーニングが難しいことも。
リモート採用が一般的になってからは、募集の段階からオンライン適性テストなどである程度応募者を絞ってくれる求人媒体も登場しています。
リモート採用を導入する場合には、利用する求人媒体から再検討しても良いでしょう。
エントリーシートや検査でのスクリーニング
エントリーシートの内容や適性検査の結果から応募者を絞っていくのは、従来の採用もリモート採用も同じです。
ここで精度の高いスクリーニングをすることで、後の面接がより効率的になります。
基準は従来の採用と同じでも特に問題はありませんが、リモート採用の場合はレスポンスの早さなどオンラインならではの要素にも注目しましょう。
入社後もリモートワークを前提に採用する場合には、選考時からオンラインでスムーズに連携が取れることが重要です。
事前準備の上、ビデオ面接の実施
書類選考から面接に進んだ応募者には、スカイプやZOOMなどを使ったビデオ面接を実施していきます。
ビデオ通話は、双方にネット環境とPCかスマホがあれば簡単に実施できますが、企業としてオフィシャルに行う面接なので適切な事前準備が必要です。
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- 余計なものが映り込まない背景
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- 雑音が入らず、面接内容を周囲に聞かれない環境
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- ラグが出にくい通信環境
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- ヘッドセット、スマホスタンド、照明などの機器
上記のような、面接にふさわしい場所と環境を確保しましょう。
ビデオ面接についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をお読みください。
必要であれば対面式の最終面接
ビデオ面接で応募者を絞り込んだら、最終面接だけは対面で行いたいという企業も多いです。
ただし感染症予防の観点から言うと、人同士の接触はなるべく少なくするに越したことはありません。
直接会わなければならない明確な理由がなければ、最終面接で実際に会うかどうかはあまり重要ではないと言えます。
自社の採用基準を明確にした上で、採用の意思決定のためにどうしてもオンラインではクリアできない要素がある場合には、対面での面接を行いましょう。
リモート採用成功の4つのポイント
ここでは、リモート採用を成功させるために、押さえておきたい4つのポイントを解説します。
1. 相互的なコミュニケーションを意識する
通常の対面面接をそのままオンライン化すると、候補者の情報が不足しやすくなります。
ビデオ面接やオンライン説明会では、採用担当者が一方的に話し続ける状態は避けたいです。
求職者・説明会参加者の反応をしっかり見つつ、相手からの質問や発言を促すなどして相互的なコミュニケーションを心がけましょう。
また、オンラインでできるプレゼンや事前の課題を応募者に科し、社員がフィードバックを行うといった、新たな採用コンテンツを導入するのも一つの方法です。
2. タイムキーパーを配置する
ビデオ面接は、自宅で行えるということもあり時間にルーズになりがちです。
ついつい話し込んで長引いてしまわないよう、進行役の他にタイムキーパーを配置しましょう。
質問事項はあらかじめ決めておき、予定した時間内で面接が終わるように調整しましょう。
3. 試用期間を設ける
リモート採用の場合、試用期間を設けて実際の実力を見るのも一つの方法。
スクリーニングや面接である程度応募者を絞り込んだら、小さな仕事を1〜2個依頼したり、1ヶ月だけ働いてもらって様子を見るというやり方です。
もちろん報酬は必要になりますが、実際の仕事の進め方やレスポンスの早さなどをチェックすることができ、より精度の高い採用が可能です。
応募者側も、入社前に実際に携わる仕事を体験することができるので、ミスマッチが少なくなります。
4. 内定・入社後のフォローコンテンツを準備する
リモート採用の場合、内定者と会社の関係性が希薄になってしまいがちという問題があります。
内定者が決まったら、内定後・入社後のフォローコンテンツを活用して関係を深めましょう。
例えば、オンライン上でもできる業務説明やルールの説明、新しいチームに溶け込む為のオンラインランチ(飲み会)など。
今後は、入社後の業務もリモートになる部分が多くなると考えられるので、実際に会わなくても人間関係を深められる工夫が必要となります。
リモート採用に対応した代行業者も
多くの企業にとって初めての挑戦となるリモート採用が広がる中、オンラインでの採用業務支援や代行に対応した業者も登場しています。
代行業者に依頼できる業務内容や、その料金相場は以下の通り。
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- 新卒・中途の媒体管理:5~70万円/月
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- 選考日程調整:5万円~/月
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- DM・スカウト配信業務:3万円~/月
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- 各種発着信対応:5万円~/月
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- 面接官代行:30万円~
具体的な業者やサービス名としては、「キャリアマート」「イーリード株式会社」「CASTER BIZ recruiting」などが挙げられます。
まとめ
リモート採用は、withコロナ時代に注目を集めている採用手法。
まだ未発達な部分もありますが、業務工数やコスト削減など、感染症予防以外のメリットも多いため、今後も多くの企業が導入していくでしょう。
メリット・デメリットや導入方法を考えて、企業にあった形のリモート採用を検討してみてください。