IT界のエンジニア不足は何故こんなに深刻?5つの理由と改善のポイントとは

ITエンジニアは、現時点で約30万人が不足していると言われています。
さらに2030年には、現状の倍以上の約79万人の人材不足に陥るというデータも。

企業にとっては、現時点でも難しいエンジニア採用が、今後ますます厳しくなっていくことが予想されます。

今回は、日本でエンジニアが不足している理由や、人材不足を解消するポイントについて解説していきます。

「ITエンジニア不足」の実態

ITエンジニアは、人材不足が深刻で、現在もっとも採用が難しい職種の一つ。
まずはエンジニア不足の現状について、様々なデータから見ていきましょう。

IT人材不足の現状

2020年現在、ITエンジニアの人口は約100万人

日本の全人口から見て、決して少ない数ではありませんが、ITエンジニアの有効求人倍率はコロナ禍の中でも1倍を切ることはなく、それ以前は2倍を超える年が続いていました。
つまり、現状ITエンジニアを必要としている企業は、約2社に1社しか採用ができないということ

また、別のデータでは2020年時点で30万人のITエンジニアが不足していると言われています。

2030年、不足数が最大約79万人という試算も

経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結」では、2030年には最大79万人のエンジニアが不足するという試算になっています。
不足数をもっとも低く見積もった低位シナリオでも、41万人が不足するという計算です。

2019年以降、エンジニアの退職数が入職数を上回り、エンジニアの人口自体が減少していきます。
さらに、IT技術のニーズは今後も高まっていくことが予想されるため、このような深刻な人材不足が起こるのです。

最も不足している業種とは

ITエンジニアの中でも、特に人材が不足している業種は以下の3つの分野です。

    • セキュリティ関連のエンジニア

 

    • AI・ビッグデータ関連のエンジニア

 

    • フルスタックエンジニア

 

 

まず、ほとんど全てのものがデジタル管理される世の中では、情報の保護が大きな課題になります。
そのため、サイバー攻撃への対策を講じたり、暗号技術を開発するような、セキュリティ関連のエンジニアは需要が高まっていくでしょう。
また、情報を守るだけではなく、情報が流出してしまった際の対応や原因解明犯罪の捜査などを行うエンジニアも必要とされます。

AIビッグデータといった、最新技術を扱うエンジニアも不足しています。
これは、最先端の技術は常に変化していくものなので、人材の教育が難しいため。
また、プログラミングの知識だけではなく、高度な数学の理解ドメイン知識が必要となる分野のため、そのような優秀な人材が少ないということも人材不足の理由です。

最後に、フルスタックエンジニアとは、サーバーやデータベースなどバックエンドから、UIのようなフロントエンドまでマルチに扱えるエンジニアのことです。
大人数を雇用するのが難しい中小企業やベンチャー企業にとって、一人で幅広い仕事をこなせるエンジニアが貴重なのは当然。
育成も簡単ではないので、このようなマルチな技術・経験を持つエンジニアも不足しています。

IT業界のエンジニア不足―5つの理由

それでは、なぜITエンジニアが不足しているのか、その理由を5つご紹介します。

①IT業界の急成長

人材不足の理由1つ目は、IT業界が急速に拡大していること
誰もがPCやインターネットを使う時代になり、従来はアナログ管理していたものもどんどんデジタル化しています。
今や、日本の企業で全くIT技術を使っていない会社は無いと言っていいでしょう。

新たなシステムの開発や、維持管理には当然人手が必要なので、IT業界の急成長とともに人材が不足しているのです。

②IT技術の速過ぎる進歩

IT技術の急速な進化で、人材の育成が追いついていないのも人材不足の一因。
最新技術を扱えるエンジニアを育てるためには、学校や企業がその技術を理解し、教育を施さなければいけません。

しかし先にも触れましたが、最新技術は常に変化していく分野です。
新しいスキルを使えるようになった頃には、さらに新しい技術が生まれて古いスキルは役立たなくなっているということもあり、人材の育成が難しいのです。

③少子高齢化

少子高齢化は、エンジニアに限らず、日本の働き手不足の大きな原因です。

2020年時点で、日本の人口の28.7%約3人に1人が65歳以上となっています。
今後はさらに現役世代の人数が少なくなっていくため、特に需要が高いIT業界では人材の確保が難しくなっていくでしょう。

④「新3K」ネガティブイメージ

エンジニアを含むIT業界の仕事は、「新3K」と言われることがあります。
きつい」「厳しい」「帰れない」の略ですが、イメージだけではなく実際に、人材不足の影響で過重労働を強いられているエンジニアも少なくありません。
また、労働環境の厳しさに、給与の額が見合わないというケースも。

少子高齢化の影響で、若者はエンジニアに限らずどの業界でも歓迎されるため、わざわざイメージの悪い業界に就職する人は少ないのです。

⑤給与が安い

20〜30代のエンジニアの平均年収は、以下のようになっています。

    • 20代前半:340万円

 

    • 20代後半:440万円

 

    • 30代:500万円

 

 

一方、2020年1月調査の、全職種を合わせた平均年収は以下の通り。

    • 20代前半:290万円

 

    • 20代後半:375万円

 

    • 30代:452万円

 

 

エンジニアの年収は、他業種の平均に比べればやや高めですが、エンジニアは専門技術が求められる専門職です。
また、前の項目でお伝えしたように、長時間労働が慢性化している職場も少なくありません。
それを踏まえると、エンジニアの給与は、求められる技術や労働環境に見合っていないと言えるのではないでしょうか。

もちろん、優秀なエンジニアには高待遇で働いている人もいることは事実ですが、給与の安さもエンジニアの人材不足の一因です。

エンジニア不足改善のポイント

それでは、他社に差をつけてエンジニアを確保し、人材不足を改善するためにはどんな施策が有効なのかをお伝えしていきます。

エンジニアの待遇改善

給与福利厚生労働時間数など、待遇がいい企業を選びたいエンジニアが多いのは当然です。
同業他社よりも良い条件を提示できれば、それだけ人材不足を解消しやすくなります。

また、リモートワークフレックスタイム制業務委託といった柔軟な働き方も、エンジニアが魅力を感じる要素です。

社内の人材育成

即戦力になるような優秀な人材を獲得するには、それなりの待遇を用意する必要があり、コストがかかります。
また、そのような人材はすでに企業が抱えていて、転職市場に出てくることは少ないです。

一方、社内で人材育成に力を入れて、優秀なエンジニアに育てれば、コストや倍率を抑えて人材を確保することが可能。
時間や教育コストはかかりますが、未経験者や経験が浅い人材をポテンシャル採用するのも一つの方法です。

パッケージ製品の導入

社内システムを開発するためにエンジニアを採用したいと考えている場合、本当に独自開発する必要があるかどうかを考えてみましょう。
すでにあるパッケージ製品で事足りるのであれば、それを購入すればエンジニアを採用する必要がありません。

また、独自開発でなければニーズを満たせない場合でも、システム会社フリーのエンジニアに外注することもできます。

外国人はじめ多様な人材採用

先の項目で解説しましたが、日本国内の人材が減少していくことは避けられません。
そのため、自社に必要な人数のエンジニアを確保するためには、幅広い人材層に目を向ける必要があります。

例えば、外国人エンジニアの採用や、主婦/夫・障害者・リタイア層・学生などを、それぞれに可能な就業方法で採用するといった施策が考えられます。

インターンシップ活用

インターンシップとは、学生や求職者を企業に迎え入れ、社員のアシスタントやアルバイトのような扱いで実際に働いてもらうことです。
インターンシップを活用することで、企業と若い人材の間に繋がりができ、新卒や第二新卒の採用がしやすくなります。

また、実際に一緒に働いてから採用を決められるので、ミスマッチが少なく早期離職の対策にも。
特に若手エンジニアの採用に力を入れたい企業におすすめです。

アウトソーシング活用

他の企業やフリーランスに外注ができる業務は、アウトソーシングするのも一つの選択肢。
社内で行うよりコストがかかったりノウハウが蓄積しないというデメリットもありますが、人材不足の中では活用していくべき方法です。

また、業務が発生する頻度や期間によっては、エンジニアを採用して長期的に人件費がかかっていくよりも得になる可能性もあります。

外国人材の活用でエンジニア不足が解消?

最後に、エンジニア不足解消の助けになる、外国人材の活用についてお伝えします。

注目すべき国々

外国人エンジニアの採用を考える上で、特に注目したいのは以下のような国々です。

    • 中国

 

    • インド

 

    • 東南アジア

 

    • ヨーロッパ

 

 

中国インドは、国の人口自体が多く、IT技術の教育水準も高いです。
特にインドのエンジニア人口は世界最大と言われていて、日本に限らず様々な国でインド人エンジニアが活躍しています。

東南アジアの中では、特にバングラデシュベトナムで、若者の雇用創出のためにIT教育に力を入れています。
ベトナムは、2014年頃から日本企業の最大のオフショア開発先になるなど、日本のIT業界との繋がりも深い国です。

最後にヨーロッパは、ITサービス輸出国として大きく躍進しています。
特にブロックチェーンゲーム開発などで競争力があるエンジニアが多いです。
ただし、給与水準は日本の方が低いので、ヨーロッパ出身のエンジニアを雇用するためにはそれなりの待遇や、待遇面以外のメリットを示す必要がああるでしょう。

外国人エンジニア採用の様々なメリット

外国人エンジニアを採用するメリットとしては、以下の点が挙げられます。

    • 国内の採用競争から離れられる

 

    • モチベーションの高い人材が多い

 

    • 社内の活性化・労働環境の整備ができる

 

    • 海外進出の足掛かりになる

 

    • 海外発信の技術に乗り遅れることがない

 

 

 

日本で働く外国人エンジニア、特にアジア諸国の出身者は、ハングリー精神が旺盛でモチベーションが高い人材が多いです。
その影響で、社内の雰囲気が活性化されたり、海外進出の足掛かりになったりと、様々なメリットがあります。

また、新しい技術は日本だけではなく、中国をはじめとした海外から発信されることも多いので、情報収集の能力が上がって外国に遅れを取ることがないのもメリットです。

外国人エンジニア採用にはエージェント利用がおすすめ

外国人採用を行うなら、効率的にマッチング度の高い人材と出会える外国人材紹介サービスが最適です。
特にITエンジニア採用なら、外国人エンジニアの紹介に強みを持つ「JELLYFISH」がおすすめ。

JELLYFISHは、エンジニアを中心に48ヶ国20,000人の登録者を保有しています。
35歳以下・日本語が堪能な人材も多く、ポテンシャルの高い外国人エンジニアの採用が可能です。

無料のビザ申請サポートや、バイリンガルコンサルタントによる外国人のサポートも提供していて、初めて外国人採用を行う会社の不安を払拭してくれます。

まとめ

日本国内のエンジニアは、現状で約30万人、2030年には最大79万人の不足が予想されています。
この先、十分なエンジニアを確保するためには、労働環境の整備や待遇の改善などで他社に差をつけることが必須。

また、外国人をはじめとした幅広い人材の活用や、アウトソーシングにも目を向けるなど、国内人材の採用に代わる新たな選択肢を見つけていく必要があります。

おすすめの記事