テレワーク導入に使える補助金・助成金は?対象となる取組・支給額を解説

テレワークは、働き方改革に加え、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために注目を集めています。
しかし、テレワークの導入には、パソコン購入費用やシステム導入費、テレワークに関する就業規定の作成など、何かとコストがかかります。

その費用負担を軽減してくれるのが、国や自治体による補助金・助成金事業。
今回は、テレワーク関連の代表的な補助金・助成金についてご紹介していきます。

各省からのテレワーク補助金・助成金

総務省・厚生労働省・経済産業省が実施しているテレワーク補助金・助成金は、日本全国の企業が利用できます。

まずは、各省が行なっている事業の概要について、お伝えします。

厚生労働省

厚生労働省は、「働き方改革推進支援助成金」のうち、2つのコースでテレワーク導入の支援を行なっています。

参照:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」、「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)

新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース

対象者:新型コロナウイルス感染症対策として、テレワークを新規で導入する中小企業・個人事業主(業種・規模が以下の条件を満たす事業者)

  • 小売業(飲食店を含む):資本金5,000万円以下または常時雇用する労働者50人以下
  • サービス業:資本金5,000万円以下または常時雇用する労働者100人以下
  • 卸売業:資本金1億円以下または常時雇用する労働者100人以下
  • その他の業者:資本金3億円以下または常時雇用する労働者300人以下
要件:以下に挙げるような、テレワーク導入に伴う取り組み

  • テレワーク用通信機器の導入・運用
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 労務管理担当者に対する研修
  • 労働者に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング

など

期間:令和2年2月17日~5月31日(支給申請の期限は令和2年9月30日まで)
支給金額:補助率1/2、1企業当たりの上限額100万円

現在(9/3時点)2次募集を行っています。
交付申請の締切は9月18日(必着)です。

もう1つは「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」です。
こちらの助成金は応募多数につき、8月12日に締め切りました。

対象の企業や個人事業主が、厚生労働省の定めるテレワークの「成果目標」を達成したかどうかにより、支給額が決まる助成金でした。

経済産業省

経済産業省では、IT導入補助金でテレワークに伴うパソコン購入費用などの補助を行なっています。

IT導入補助金

対象者:中小企業・小規模事業者
要件:ITツールの導入(補助対象はソフトウエア費、導入関連費等のみ)
期間:令和2年5月11日(月)~令和2年12月下旬
支給金額:IT導入補助金の支給金額は、利用する形式によって異なります。

  • A型類:補助率1/2以内、30万~150万円
  • B型類:補助率1/2以内、150万~450万円
  • 特別枠(C型類):2/3以内(C類型-1)または3/4以内(C類型-2)、30万~450万円

IT導入補助金は、A・B類型全8回特別枠全7回の締め切りがあります。
今から申請できるのは、以下のスケジュールのものです。

    • A・B類型7次締切:令和2年8月31日(月)17:00まで

 

    • A・B類型8次締切:令和2年9月30日(水)17:00まで

 

    • 特別枠6次締切:令和2年8月31日(月)17:00まで

 

    • 特別枠7次締切:令和2年9月30日(水)17:00まで

 

 

また、IT導入補助金は採択があり、申請さえすれば全企業が受給できるものではありません。
交付決定前に行われる事業については、補助対象外となるため注意が必要です。

総務省

総務省は「テレワークマネージャー相談事業」を行なっていました。

テレワークマネージャー相談事業

テレワークマネージャー相談事業を利用すると、専門家から無料でテレワーク導入に関するアドバイスを受けられます。

対象者:民間企業・都道府県・市町村等の地方公共団体及びそれに準ずる団体等
要件:なし
期間:令和2年4月1日~令和3年3月31日
支給金額:なし

テレワークマネージャー相談事業は、補助金・助成金のように経済的な支援があるわけではありません
テレワークマネージャー相談事業特設サイトで登録を行い、テレワークについて相談したい内容を送信すると、相談内容に適した専門家からWEB会議・電話・派遣訪問でアドバイスを受けられます。

1つの相談に対する支援時間は最大6時間(1~2時間×3回が目安)ですが、相談回数の上限はありません。
派遣訪問での支援は、1企業あたり3回までとなっています。

東京都のテレワーク補助金・助成金

次に、東京都が実施しているテレワーク関連の補助金・助成金のご紹介です。

ワークスタイル変革コンサルティング

ワークスタイル変革コンサルティングは、都内企業のテレワーク導入を推進するため、専門のアドバイザーが訪問し、課題解決などの支援を無料で行う事業です。
また、個別相談の他に、テレワーク導入に役立つセミナーも実施しています。

対象者:以下の条件を満たす事業者

  • 都内で事業を営んでいること
  • 常時雇用する労働者が2~999人以下の企業、一般社団法人、一般財団法人等であること
  • 都内に勤務する雇用保険被保険者である労働者を2人以上雇用していること
  • 過去5年間に重大な法令違反等がないこと(違法行為による罰則の適用を受けた場合、労働基準監督署により違反の事実が検察官に送致された場合など)
  • 賃金や労働時間等に関する労働関係法令を遵守していること
  • 都税の未納付がないこと
  • 風俗営業、性風俗関連特殊営業、接客業務受託営業及びこれに類する事業を行っていないこと
  • 代表者、役員又は使用人その他の従業員が暴力団員等に該当する者でないこと
要件:なし
期間:未定
支給金額:なし

ワークスタイル変革コンサルティングは補助金・助成金事業ではありませんが、次でご紹介する「はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)」の導入となる事業です。
専門家によるコンサルティングを受け、テレワークの導入に必要な機能・ツール等が決定した後に、はじめてテレワークの受給申請ができます。

参照:東京都産業労働局「ワークスタイル変革コンサルティング」

はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)

はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)は、東京都が実施するコンサルティングを受けた企業のみが利用できる補助金制度です。
テレワーク環境を構築するための機器・ソフト購入費用、テレワークに関する規定を就業規則に定めるための専門家への委託費などが補助されます。

対象者:東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受けた都内の中堅・中小企業等で、以下の項目に該当する事業者。

  • 都内に勤務する常時雇用する労働者を2人以上999人以下、かつ6か月以上継続して雇用していること
  • 就業規則にテレワークに関する規定がないこと
  • 都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加していること
要件:テレワーク環境の構築・就業規則へのテレワーク制度整備
期間:令和2年4月8日~(終了日未定・支給決定日から3か月以内に対象事業を実施)
支給金額:上限110万円

参照:東京しごと財団「はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助事業)」

テレワーク活用・働く女性応援助成金

テレワーク活用・働く女性応援助成金は、テレワーク支援と、女性の新規採用・職域拡大を目的とした助成金です。
テレワーク活用推進コースと、女性の活躍推進コースの2種類があります。

テレワーク活用推進コース
対象者:常時雇用する労働者が2名以上かつ999名以下で都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業等
要件:テレワーク機器導入事業・サテライトオフィス利用事業の実施。助成対象となる費用は、以下の通りです。

    • モバイル端末等整備費用

 

    • ネットワーク整備費用

 

    • システム構築費用

 

    • 関連ソフト利用料

 

    • 上記環境構築を専門業者に一括委託する経費

 

    • 民間サテライトオフィス利用に係る経費

 

期間:未定
支給金額:助成率1/2、上限250万円

女性の活躍推進コース
対象者:常時雇用する労働者が2名以上かつ300名以下で都内に本社または事業所をおく中小企業等
要件:女性の新規採用・職域拡大を目的とした設備等(トイレ・更衣室・休憩室・シャワー室・仮眠室・ベビールームなど)の整備
期間:未定
支給金額:助成率2/3、上限500万円

参照:東京都「テレワーク活用・働く女性応援助成金

その他自治体のテレワーク補助金・助成金

最後に、その他の自治体のテレワーク補助金・助成金をご紹介します。

北海道札幌市

北海道札幌市では、「新型コロナウイルス感染症対策テレワーク等導入補助金」を実施しています。
テレワークの導入に伴うパソコン購入費・システム導入費などが補助されます。

対象者:札幌市内に事業所を有し、かつ市内で事業を営んでいる事業者で、以下の条件を満たす事業者。

  • 小売業(飲食店を含む):資本金5,000万円以下または常時雇用する労働者50人以下
  • サービス業:資本金5,000万円以下または常時雇用する労働者100人以下
  • 卸売業:資本金1億円以下または常時雇用する労働者100人以下
  • その他の業者:資本金3億円以下または常時雇用する労働者300人以下
要件:テレワークの導入(新たに導入した情報通信技術(ICT)があること)
期間:令和2年7月10日~令和2年11月30日
支給金額:補助率3/4以内、30万~80万円

参照:札幌市「令和2年度新型コロナウイルス感染症対策テレワーク等導入補助金」

神奈川県横浜市

神奈川県横浜市で利用できるのは、「職場環境向上支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワーク導入特例)」です。
テレワーク導入に伴う、コンサルティング委託料・備品購入費・ソフト使用料などが助成対象です。

対象者:常時雇用する従業員が2名以上(役員、家族従業員を除く)の、本社を市内とする会社。新型コロナウイルス感染症によるテレワーク導入特例に限り、個人事業主も対象。
要件:テレワーク導入整備
期間:令和2年4月15日~令和3年1月31日
支給金額:助成率1/2、上限30万円

参照:横浜市「令和2年度 職場環境向上支援助成金<新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワーク導入特例あり>

大阪府堺市

大阪府堺市は、「テレワーク導入支援補助金」を実施しています。
テレワーク導入や、テレワーク環境の整備に関わる費用が補助されます。

対象者:以下の全てを満たす事業者

  1. 堺市に主たる事業所を有する事業者であること
  2. 中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者であること
  3. 以下のいずれにもあてはまらないこと
  • 市税の滞納がある。
  • 堺市テレワーク導入支援補助金第1回募集において交付決定をうけている。
  • 第2回募集に対して、同一事業者として2件以上申請している。
  • 申請内容と同一の事業内容で国又は他の地方公共団体その他公共機関から補助金等の資金援助を受けている、または受ける予定である。
要件:補助対象期間内(令和2年7月27日~令和3年3月31日)に以下の事業を行う

  • テレワーク環境を整備(または強化)する
  • テレワークを3回以上利用する
  • 情報セキュリティ対策に取り組む
  • テレワークに関する労務管理対策に取り組む
期間:令和2年9月10日~令和2年9月24日
支給金額:補助率1/2以内、10万~50万円

参照:堺市「堺市テレワーク導入支援補助金

愛媛県松山市

愛媛県松山市が実施しているのは、「テレワーク在宅就労促進事業(就労奨励金・発注奨励金)」です。
在宅で業務を行う者を雇用、または個人請負契約した事業者に「就労奨励金」、指定事業所に業務を発注した全国の事業所に「発注奨励金」が支給されます。

ただし、就労奨励金を受給できるのは松山市内の指定事業所のみなで、一般の企業が応募できるのは発注奨励金となります。

対象者:全国の事業所
要件:テレワークによる在宅就労業務を指定事業所に対して発注し、その対価を支払う
期間:要件を満たした年度内~翌年度の5月31日
支給金額:発注額(消費税及び地方消費税は除く)×10%

参照:松山市「松山市テレワーク在宅就労促進事業(就労奨励金及び発注奨励金)

まとめ

国の省庁や地方自治体は、それぞれ多様なテレワークに関する補助金・助成金を実施しています。
金銭的な支援ではなく、テレワーク導入に伴い、専門家によるアドバイスやコンサルティングを無償で受けられる事業も。

民間団体が実施している事業もあり、全てをここでご紹介することはできません。
ぜひ、ご自身の会社で利用できるテレワーク補助金・助成金を見つけてみてください。

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