日本で働く外国人は、現在172万4328人。
国内の労働力不足や、特定技能ビザを新設した影響で、これまでになく外国人労働者の数が増えています。
今回は、外国人労働者の目線で、日本で働く理由や人気の職業ランキングを調査。
外国人が抱えている不満や、現在の実態、今後の見通しなどについても解説していきます。
この記事の目次
日本で働く外国人の実態
日本で働く外国人は、近年増加傾向です。
まずはその理由や具体的な人数など、現在の実態についてお伝えします。
増加する外国人労働者
2020年10月の調査では、日本で働いている外国人労働者の総数は172万4328人。
前年の同期と比べると6万5524人増となっていて、2019年に特定技能ビザが新設された影響もあり、日本の外国人労働者数はこれまでになく増加しています。
外国人労働者が増加する背景には、日本国内の労働力不足や、企業側へのメリットがあります。
外国人採用のメリットについて知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
外国人が日本で働く理由
外国人が日本で働く理由は、まず他のアジア諸国に比べて経済規模が大きいため。
日本の最低賃金が8ドル前後なのに比べ、中国は2〜2.2ドル、韓国は5.8ドル、ベトナムは0.7〜1.1ドルなど、日本で働いた方が数倍も効率的に稼げます。
また、日本の文化や技術に憧れて来日する外国人も。
いずれにせよ「自国を離れて働くだけの理由がある」というモチベーションの高い人材が多いです。
日本の労働への感想と不満
日本で働く外国人労働者が増えている反面、外国人から見た日本の「働く国としての魅力度」は61ヶ国中52位。
このように低い数字になっている理由としては、以下のものが挙げられます。
- 外国人材の求人数が少ない
- 外国人材の採用比率が低い
- 求められる日本語レベルが高い
また、実際に日本で働いている外国人から挙げられた、入社後の不満には以下のようなものがあります。
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- 昇進する見込みが感じられない
- 給与が低い・なかなか増えない
- 希望する仕事に就けない
- 能力に応じた評価がなされない
など
参照:https://gaikokujin-ikusei.com/archives/360
日本で働く外国人に人気の職業ランキングTOP5
ここからは、日本で働く外国人に人気の職業ランキングをご紹介します。
技術職と一言でいっても幅広いですが、先の「日本で働く外国人の不満」と合わせて考えると、スキルがダイレクトに収入に反映されやすいのが人気の理由ではないでしょうか。
また、仕事の能力さえあれば、言語能力が比較的問われにくい職種でもあります。
主に、自身の母国語を教える外国語教師が中心と考えられます。
日本で働く上でネックになりがちな言語能力が、そのまま武器になる職業です。
日本人の配偶者や留学生、家族滞在など、就労ビザ以外で就労可能な在留資格を持つ外国人が選ぶことが多い職業でもあります。
需要が高いため求人数が多く、言語能力のハードルも低めなので、全体的に外国人比率が高めの職業となっています。
楽天やメルカリなど、大手企業でも外国人エンジニアを積極採用している企業がたくさんあります。
海外向けの営業では、その国の文化やマナーをよく知り、言葉も流暢な外国人社員が活躍します。
また、会社の顔となることも多い営業職に外国人が従事することで、対外的にグローバルな企業と印象付けることが可能です。
受付というと会社の受付をイメージしやすいですが、英語で取られた元のアンケートでは「Reception」となっていて、ホテルのフロントスタッフなども含まれます。
外国人観光客に対応することも多い観光業も、外国人労働者が活躍している業種の一つです。
その他こんな職業も人気!
その他、人気の職業としては、「通訳・翻訳(3%)」「デザイン/アート(2%)」などもランキングに挙がりました。
言語能力を活かせる通訳・翻訳の人気が低めなのは、少し意外な結果ですね!
実際に外国人が多い職場は?
上記でご紹介したのは外国人から人気の職業ランキングですが、ここでは実際に外国人比率の高い業種についてお伝えします。
1位:卸売業務・小売業
卸売業務・小売業では、外国人比率が17.0%。
日本全体で見ると、外国人の人口比率は約2.2%なので、かなり高い数値と言えます。
具体的な職業で言うと、空港の免税店や繁華街の電器店、外国人富裕層を対象としたブランド店など、外国人観光客の対応をする販売員が多いです。
接客販売や倉庫業務などは「単純労働」と見なされ、基本的に外国人が従事することはできないのですが、こういった仕事は外国語を活用する場面が多いため「技術・人文知識・国際業務」等のビザが適用されます。
また、留学生のアルバイト先としてもコンビニやスーパーが人気です。
その理由は、接客などを通じて日本語を学ぶ機会が多い割に、採用のハードルが低いため。
また、24時間営業の店舗なら学校に通いながらでも働きやすく、卸売業務・小売業で働く外国人が非常に多くなっています。
2位:宿泊業・飲食サービス業
宿泊業や飲食サービス業に占める外国人の割合は、14.5%。
外国人観光客に接することが多い、ホテルのフロントやレストランなど、観光業界では外国人が積極採用されています。
また、特に飲食業界は日本人からの人気が低めで、慢性的な人材不足に悩まされているため、居酒屋などで外国人店員を見かけるシーンも多いでしょう。
他に、ホテルの清掃やルームメイクなども、外国人が非常に多い職種です。
こういった職業には、2019年から新設された「特定技能ビザ」が適用され、従事する外国人が増えています。
3位:サービス業(他に分類されないもの)
サービス業(他に分類されないもの)が指す職業はかなり幅広く、以下のような職業が当てはまります。
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- 廃棄物処理業
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- 自動車整備業
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- 機械等修理業
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- 職業紹介・労働者派遣業
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- 政治・経済・文化団体
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- 宗教
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- 外国公務
この中で外国人が多いと考えられるのは、まず当然ながら「外国公務」。
大使館・総領事館・在日米軍施設などが含まれ、こういった機関はかなり外国人の割合が高いです。
他には、技術者・エンジニアの外国人労働者も多いため、「自動車整備業」「機械等修理業」に当てはまる外国人も多いと考えられます。
今後さらに増えそうな介護系事業
少子高齢化の影響で需要が高まっている介護系事業でも、外国人人材の活躍が期待されています。
2017年に、外国人の在留資格に新たに「介護ビザ」が加わり、専門学校の介護福祉学科を卒業した留学生が介護福祉士(候補)として就職が可能になりました。
また、技能実習生の職種としても介護職が追加され、介護士資格のない外国人も受け入れ可能です。
さらに、2019年以降は特定技能ビザでも介護職に就けるようになっています。
このように、介護職として外国人労働者を受け入れる間口が広がっていて、今後も介護系事業に携わる外国人は増えていくでしょう。
外国人が仕事を探す上で重視するポイント
外国人が仕事を探す上で重視するポイントは、アンケート回答が多い順に以下の通り。
- 給料(35%)
- 労働時間(23%)
- 会社規模(15%)
仕事選びの基準に関しては、日本人も外国人も、あまり違いはないようです。
まとめ
日本で働く外国人は、右肩上がりに増加しています。
ただし、外国人目線では、日本は働く上であまり魅力的ではない国だという意見も。
国内の労働力不足により、外国人労働者の活用が注目されていく中では、外国人のニーズを捉えた求人や、待遇の改善などが課題になっていくでしょう。