日本にいる外国人の数は256万1,848人(2017年・法務省HPより)で、これは過去最大の人数と言われています。
外国人が日本に長期滞在する場合、高度専門職ビザ・就労ビザ・一般ビザ・特定ビザ・起業ビザ・外交・公用ビザなどのビザを取得しなければなりません。
今回は、一般ビザの一種である家族滞在ビザについて、ビザの目的や申請から取得・変更・更新までの流れを解説します。
この記事の目次
家族滞在ビザとは?
一般ビザの一種である家族滞在ビザは、就労ビザを取得して日本で働いている外国人の配偶者及びその子どものためのビザのことを言います。親は家族滞在ビザの対象にはなりません。
家族滞在ビザの在留期間は、3か月・6か月・1年・1年3か月・2年・2年3か月・3年・3年3か月・4年・4年3か月・5年の11種類が規定されています。しかし、扶養者のビザと同じ在留期間と定められているため、扶養者の在留期間が終わると家族滞在ビザの期限も満了します。
家族滞在ビザの活動内容
家族滞在ビザを取得して滞在している人ができる活動には、どのようなことがあるのでしょうか。
教育を受けることが可能
家族滞在ビザで、学校へ通うことができます。家族滞在ビザでは、「配偶者または子として行うことができる日常生活」が活動の条件として認められているため、学校に通うこと、教育を受けることは可能です。
一定条件を満たせば就業も可能
原則として、家族滞在ビザでは働いて収入を得ることは認められていません。
しかし、家族滞在ビザとは別に資格外活動許可の申請を行い認められれば、1週間に28時間まで就労し、収入を得ることができます。
家族滞在ビザの審査ポイント・要件
家族滞在ビザを取得するには、どのような審査、要件があるのでしょう。ご紹介いたします。
配偶者・子どもであること
家族滞在ビザで定められている「家族」という枠組みは、就労者の配偶者と子どものことを指しています。就労ビザの取得者の親や兄弟は該当しないということに注意しましょう。
内縁の妻・夫、同性婚は配偶者としては認められていませんが、養子や認知された非摘出子は子どもとして認められます。
就労ビザを持つ外国人の親が日本に滞在する際は短期滞在ビザの取得が一般的ですが、親に介護や看病が必要、身寄りがないなどの特別な事情がある場合は、特定活動ビザという形でビザを申請することもできます。
また、離婚をした場合は、家族滞在ビザでは日本に在留することができませんが、就職先を見つけて就労ビザに変更できる可能性もあります。
配偶者も子も扶養を受けていること
家族滞在ビザは、配偶者も子も扶養を受けていなければいけません。家族滞在ビザで報酬を受ける場合は、資格外活動許可申請を行う、もしくは就労ビザを取得する必要があります。
扶養側に安定した収入があること
扶養をしている側の人に収入等の安定性がなければ、家族滞在ビザは取得できません。
また、留学ビザを取得している人の家族(配偶者・子ども)も家族滞在ビザを取得することができます。しかし、留学ビザで家族滞在ビザを取得するには条件があり、留学期間が2年以上残っていること、留学生の出席率や勉強状況、家族滞在ビザを取得している人を養っていけるかなどのすべてに項目をクリアしないと許可は下りません。
入国拒否事由に該当しない
有効期限内のパスポートを保有している、入国審査官からの許可を得て入国していることが挙げられます。つまりきちんと許可をとって日本に滞在しているということなので、不法入国の方していない限りは問題ないでしょう。
その他
短期間の研修などでは、研修を受ける人の配偶者及び子供は家族滞在ビザを取得することができません。
家族滞在ビザに必要な書類
家族滞在に必要な書類はどのようなものがあるのでしょうか。申請時に必要なものと更新時に必要なものをそれぞれご紹介いたします。
申請に必要な書類
・ 在留資格認定証明書
・ 申請理由書
・ 本人の証明写真
・ 返信用封筒
・ 身分関係を証明できる書類(戸籍謄本・婚姻届受理証明書・結婚証明書・出生証明書のいずれか)※日本語訳が必要
なお、中国人の場合は結婚公証書・出生公証書のどちらも、韓国人の場合は婚姻関係証明書・基本証明書・家族関係証明書すべて必要です。
日本にいる外国人の扶養者に関する書類
・ パスポートのコピー
・ 住民税の課税証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)
・ 不動産の賃貸契約書※家を購入している場合は登記事項証明書
・ 扶養者名義の預金残高証明書
就労に関する証明書類
【就労ビザで会社員の人】
・ 在勤及び給料証明書(明確な収入が分かるもの)
・ 会社案内(勤務先の概要が分かるもの)
【経営管理ビザで社長の人】
・ 登記事項証明書
・ 定款のコピー
・ 営業許可のコピー(許可が必要な業種のみ)
・ 会社案内
・ 最新年度の貸借対照表・損益計算書のコピー(明確な収入が分かるもの)
・ 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表(受付印のあるもの)のコピー
・ 役員報酬がわかる書類のコピー(株主総会議事録など)
【留学生】
・ アルバイト給与証明書(直近1年分)
・ 奨学金給付に関する証明書(奨学金を受けている場合、給付金額及び給付期間を明記したもの)
・ 両親からの仕送りを証明する書類(送金証明書など)
・ 過去1年間、今後1年間の生計証明書
更新に必要な書類
家族滞在ビザの更新書類は申請書類に比べて数は少ないですが、きちんと更新期限を守り申請しましょう。
なお、在留認定証明書は、地方入国管理局や法務省のホームページでもダウンロードできます。
共通の書類
・ 在留資格認定証明書
・ パスポート原本
・ 返信用ハガキ(宛名記入)
日本にいる外国人の扶養者に関する書類
・ パスポートのコピー
・ 住民税の課税証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)
就労に関する証明書類
【就労ビザで会社員の人】
・ 在勤及び給料証明書
【経営管理ビザで社長の人】
・ 最新年度の貸借対照表・損益計算書のコピー
・ 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表(受付印のあるもの)のコピー
・ 役員報酬がわかる書類のコピー(株主総会議事録など)
【留学生】
・ アルバイト給与証明書(直近1年分)
・ 奨学金給付に関する証明書(奨学金を受けている場合、給付金額及び給付期間を明記したもの)
・ 両親からの仕送りを証明する書類(送金証明書など)
・ 預貯金残高証明書
家族滞在ビザの申請方法
家族滞在ビザの申請方法を紹介します。
申請方法
申請の流れとしては、①条件の確認→②書類の準備→③書類の作成→④提出→⑤通知→⑥更新手続きとなっています。
申請者
家族滞在ビザの申請は、扶養者本人以外でも家族もしくは入国管理局が認定した行政書士が代行することができます。家族申請ビザは必要な書類が多く、行政書士が代行することは多いです。
なお、子供が生まれた場合は30日以内に入国管理局に申請しなければいけません。
申請場所
申請は、住所地を管轄する入国管理局やその出張所で行えます。平日の日中が営業時間なので注意しましょう。
申請する
申請書類を持参し手続きします。
外国語で記載されている書類は必ず日本語訳しておく必要があります。原則として提出資料は返却されません。
申請中に引っ越しした場合は、必ず入国管理局に申請してください。追加書類を求められたら期限内に申請しましょう。
家族滞在ビザの許可が下りたら
審査結果が出るには、1~3か月ほどかかります。許可が下りれば、返信用封筒にて在留資格認定証明書が送付されます。
家族ビザで日本に入国するには、その在留資格認定証明書を本国に送り、本国の日本国大使館・領事館で日本へ入国するための査証を発行してもらう必要があります。有効期限は3か月なので、この期限内に入国するよう注意しましょう。
更新時の申請方法
家族滞在ビザは、在留期限の3か月前から更新手続きを行うことができます。期限切れはオーバーステイとみなされますが、審査中に在留期限がきても不法滞在にはなりません。
更新時の申請方法は新規で申請する場合と同じです。変更・更新時はハガキで通知がきます。
家族滞在ビザの更新・変更は、申請時と同じく扶養者本人・もしくは入国管理局が認定した行政書士が申請を代行することができますし、申請者本人でももちろん可能です。
審査結果は1~2か月で通知されるので、有効期限内にそのハガキと手続き費用4,000円を持参し変更・更新しましょう。
家族滞在ビザに変更する場合の申請方法
現在日本の在留資格(ビザ)をすでに持っていて、家族滞在ビザへ変更する場合は、在留資格変更証明書への変更許可書が必要です。
基本的には更新申請と同じ手続きで、審査結果はハガキで届きます。審査が下りたら、ハガキの期限までに入国管理局に行き手続きを行う必要があります。変更時も手続き手数料4,000円かかりますので、入国管理局に手続きを行う際持参しましょう。
家族滞在ビザのまとめ
家族滞在ビザは、扶養者の配偶者・子どものみ申請が認められており、親は家族滞在ビザを取得することはできません。
家族滞在ビザの重要な点は、扶養されていること、家族であること、理由が明確であることです。万が一不許可となってしまった場合は、入国管理局に理由を尋ねることができます。不許可でも理由に対してきちんと証明をすれば取得できる場合もあるためよく確認しましょう。
また、家族滞在ビザでアルバイトをする際は資格外活動許可が必要なこと、在留資格認定証明書を交付されていないと入国できないことをきちんと把握しておきましょう。