外国人でも雇用助成金は受けられる?新型コロナ関連で利用できるものまとめ

外国人を雇用すると、費用の一部が支援される助成金を利用できる可能性があります。
また、新型コロナウイルスの影響で事業の縮小を余儀なくされた場合、助成金の新型コロナウイルス特例が適用されることもあります。

今回は、外国人従業員の雇用関係で利用できる助成金の種類や、利用条件、助成額をご紹介していきます。
タイミングによって利用できるものが異なるので、自社のシチュエーションに合ったものを見つけてみてください。

外国人雇用時に受けるべき助成金

まずは、外国人を雇用する時に利用できる可能性がある、2つの助成金について解説していきます。

参照:厚生労働省「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金

雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金は、景気の変動などで事業の縮小や休業をしなければいけなくなったときに利用できる助成金です。

外国人を雇用している場合に限らず、全ての従業員が対象となりますが、国籍などの理由で外国人を不当に扱うなどはしてはいけません。

目的

雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金は、新型コロナウイルスの影響を含む景気の変動で、縮小・休業せざるを得なくなった中小企業を支援することです。

従業員に一時的な休業を要請しつつ、雇用を維持するために、人件費の一部が助成されます。

支給対象となる事業主

雇用調整助成金の支給対象となるのは、事業活動の縮小を余儀なくされ、従業員の雇用維持を図るために、労使間の協定に基づき雇用調整(休業)を実施する事業主です。
あとでご紹介する「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例」を利用する場合は、新型コロナウイルスの影響で前年同月比5%以上業績が悪化していることも条件となります。

助成金額と支給限度日数

雇用調整助成金の助成金額は、大企業と中小企業で異なります。
従業員を休業させる方法(「休業もしくは教育訓練」または「出向」)によっても、支給金額は異なります。

・休業もしくは教育訓練の場合
大企業:賃金相当額の1/2(教育訓練実施の場合は1人1日1,200円加算)
中小企業:賃金相当額の2/3(教育訓練実施の場合は1人1日1,200円加算)
・出向の場合:出向元の事業主の負担額(1人1日8,205円上限)

支給限度日数は、「休業および教育訓練」の場合は、1年間で最大100日、3年間で最大150日。「出向」の場合の支給限度日数は1年間です。

支給までの流れ

雇用調整助成金は、休業実施後、必要書類を管轄の労働局またはハローワークに提出することで申請できます。
条件を満たしていれば、申請者全員が受給できます。
申請から支給決定にかかるまでの期間は、通常時で1ヶ月間程度です。

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例

雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例として助成額の引き上げが行われています。
特例期間中の支給額は、1人1日15,000円を上限として、以下の計算式で求めます。

(平均賃金額× 休業手当等の支払率)×助成率

助成率は、企業の規模と休業の実施方法によって異なります。

中小企業の場合
・新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主:4/5
・解雇をしていないなどの上乗せの要件を満たす事業主:10/10

大企業の場合
・新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主:2/3
・解雇をしていないなどの上乗せの要件を満たす事業主:3/4

また、支給限度日数については、先に解説した通常時の支給限度日数とは別に支給を受けることができます。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用従業員を正規採用したり、スキルアップのための研修・労働環境の向上など行なったりした場合に支給される助成金です。

外国人も日本人と同じく対象になる助成金ですが、研修で得たスキルや労働環境を継続して国内で利用し続ける定住者のみが対象となります。
帰国を前提としている技能実習生には適用されません。
在留資格が家族滞在・留学・技術実習など、就労資格を持たない外国人も対象外です。

目的

キャリアアップ助成金の目的は、コースによって多岐に渡ります。
以下に繋がる施策を実施した企業に対して支給されます。

・労働者のスキルアップ
・賃金の向上
・労働者の待遇改善
・正社員の割合増加
・通常の就職が難しい人への支援
など

支給対象となる事業主

キャリアアップ助成金の支給対象者は、以下の条件を満たす事業主です。

・雇用保険適用事業所の事業主であること
・雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
・雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
・該当するコースの措置に係る対象労働者に対する賃金の支払い状況等を明らかにする 書類を整備している事業主であること
・キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること

助成金額と支給限度日数

キャリアアップ助成金には、以下の7つのコースがあります。

・正社員化コース
・賃金規定等改定コース
・健康診断制度コース
・賃金規定等共通化コース
・諸手当制度共通化コース
・選択的適用拡大導入時処遇改善コース
・短時間労働者労働時間延長コース

それぞれのコースにより、該当する人材や施策が異なりますが、該当する従業員1人につき最大60万円が支給されます。

支給までの流れ

キャリアアップ助成金を受給するまでの流れは、以下のようになっています。

1.キャリアアップ計画書の作成・提出
2.労働局・ハローワークと相談しながら、労使の改定等の施策を行う
3.支給申請
4.審査・支給決定

キャリアアップ助成金は、まず各コースに該当する施策の計画を行い、労働局・ハローワークと相談して、実際に施策を実行してから支給が決定します。

その他外国人雇用で受けられる助成金・補助金

ここまで解説してきた2つの他に、外国人を雇用している場合は以下の助成金・補助金も利用できる可能性があります。

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、職歴やスキルがなく、普通の就職が難しい人を一定の期間トライアル採用した場合に受給できる助成金です。
基本的には日本人労働者を対象にした制度ですが、外国人労働者にも適用されます。

支給額:採用1人につき最大4万円
支給限度期間:3ヶ月

人材確保等支援助成金

人材確保等支援助成金には3つのコースがありますが、外国人を雇用する場合に利用できる可能性があるのは「雇用管理制度助成コース」です。
評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度といった、雇用管理改善を行い、離職率の低下に取り組んだ場合に助成されます。

特別に外国人労働者向けというわけではありませんが、労働者の国籍を問わず利用可能です。
離職率を指定されたパーセンテージ(3~15%)減少させた場合に利用でき、目標数値は従業員数(雇用保険一般被保険者の人数)により異なります。

支給額:57万円(生産性要件を満たした場合は72万円)

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、非正規労働者に研修を受けさせた場合、研修費用や研修期間に発生する賃金の一部が助成される制度です。
こちらも、外国人の非正規労働者も日本人と同じ条件で対象となります。

支給額:研修に要した費用の30~60%(企業規模・コースによって異なる)

助成金の申請手続き

最後に、助成金を利用したい場合、どのように申請を行えばいいのかを解説します。

申請方法

基本的に助成金は、受給要件を満たす施策を行なったあと、そのことを証明する書類を実施団体に提出して申請します。

外国人雇用に関する助成金の申請先は、多くの場合、労働局またはハローワーク。
新型コロナウイルス関連の助成金・補助金は、厚生労働省や経済産業省が母体となり、地方自治体などが窓口となっていることもあります。

必要書類

助成金の申請に必要な書類は、各助成金の申請書と、申請条件を満たしていることを証明する書類です。
利用する助成金やコースによって細かく異なるため、公式サイトなどで詳細を確認しましょう。

相談窓口

雇用関係の助成金・給付金の相談窓口は、各地にある労働局です。
厚生労働省公式サイト「雇用関係各種給付金申請等受付窓口一覧」で、各相談窓口の所在地と電話番号、相談できる助成金の種類が公開されています。

まとめ

外国人を雇用する際に利用できる助成金は、基本的に日本人を雇用する時のものと同じです。
採用時や、処遇改善を行なったとき、教育を行なったとき、新制度の導入時など、タイミングによって活用できるものが異なります。

また、新型コロナウイルスの影響で事業の縮小や休業をした場合には、雇用調整助成金の新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例が利用できます。
今回ご紹介した中から、自社のシチュエーションに合った助成金を見つけてみてください。

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