中国人の入国時のビザを徹底解説【短期滞在ビザ・就労ビザ】

中国人が日本に入国する際には、目的に合わせたビザの取得が必要になります。

今回は、中国人が来日する際に必要なビザを目的別に解説。中国人労働者の受け入れや、観光のインバウンド対策のためにも知っておくべき知識です。
電子申請の導入や観光ビザの条件緩和など、中国人のビザに関する近年の変化についてもご紹介します。

中国人のビザ申請が電子化へ

2019年7月30日から、観光を目的として来日する中国人の一部のビザが、インターネットで電子申請できるようになりました。
これは、中国人観光客の急増のため、過密化した発給業務をスムーズにするのが目的です。

対象となるのは、団体客向けの15日以内滞在ビザのうち、有効期間中に1回のみ入国できるもののみ。その中でも、一部の旅行会社を通じて在北京日本大使館に提出されたものだけが現在の対象です。
しかし、今後は他のビザにも対象が広がっていく予定になっています。

そして、2020年4月を目処に、観光目的で1回のみ入国できるビザを取得する中国人全員を対象に、電子ビザ(eビザ)が導入される見込みです。

中国人がビザの取得が必要なケース

中国は日本が認めているビザ免除国ではありません。中国人が日本に滞在する場合には、期間・理由を問わず基本的にビザの取得が必要になります。

中国人が来日する目的別に、必要となるビザの種類を見ていきましょう。

正社員として雇用する場合

まず、中国人が日本で正社員として働くために必要なビザについてです。

この場合は、他の国の外国人と同じく、日本で就く職種に該当する「就労ビザ」が必要となります。日本でオフィスワーカーとして中国人を雇用する場合に取得するビザは、ほとんどが「技術・人文知識・国際業務」ビザです。

他には、中華料理のコックとして働くための「技能」ビザや、飲食・宿泊・清掃等の会社の正社員として働くための「特定技能」ビザの取得者が多くなっていくと予想されます。

留学生が日本でアルバイトする場合

日本の大学や専門学校で学ぶために来日する中国人留学生は、「留学ビザ」を取得しています。
この留学ビザは基本的に就労ができませんが、「資格外活動許可書」を得ていると、学業に支障のない範囲でアルバイトができます。

また、すでに就労ビザを取得している外国人が、資格範囲内の職種でアルバイトをする場合には、特に申請手続きなどは必要ありません。

短期間の出張・滞在が目的の場合

日本に3ヶ月以内の短期で出張・滞在をする中国人は、「短期滞在ビザ」を取得します。

これが、他の多くの外国人と中国人の違うところです。
日本が定めたビザ免除国の外国人は、90日以内の滞在ならビザ申請の必要がありません。しかし、中国人の場合は、1~90日の短期滞在でもビザ取得が必要になるのです。

ちなみに、滞在目的が知人の訪問など報酬を得ない内容である場合は「1次有効」、ビジネスで報酬を得る目的のものだと「数次有効」のビザを取得します。

日本を観光する場合

中国人が日本を観光する場合、「観光ビザ」が必要になります。
観光ビザには次の2種類があり、旅行のしかたや期間によって取得するビザが異なります。

・旅行会社を通す「団体観光ビザ」
・個人旅行用の「個人観光ビザ」

団体観光ビザ

団体観光ビザは、中国の旅行会社が企画するツアーに参加する中国人が取得するものです。旅行には添乗員が同行し、ビザの申請は旅行会社を通して行います。
また、滞在期間は15日以内と決められています。

個人観光ビザ

個人観光ビザは、行き先やビザ有効期間中に日本に何回出入りするかで、さらに3つの種類に分かれます。

個人観光一次ビザ
滞在期間は15日または30日以内の2種類。前もって旅行日程を作成し、中国の旅行会社を通して申請する。申請人には学歴や経済力など一定の要件が必要。
沖縄県数次ビザ / 東北六県数次ビザ
ビザ取得後初めての来日で、沖縄または東北六県のいずれかに1泊以上する人向けのビザ。有効期間は3年で、1回の滞在で30日以上滞在できる。前もって旅行日程を作成し、中国の旅行会社を通して申請する。2回目以降の来日では、手続きは不要。
十分な経済力を有する者向け数次ビザ
十分な経済力を有する中国人とその家族は、特定の訪問地要件がない数次ビザが取得できる。有効期間は3年、1回の滞在期間は30日以上。前もって旅行日程を作成し、中国の旅行会社を通して申請する。2回目以降の来日では、手続きは不要。

中国人を雇用する時のポイント

中国人を雇用する際には、中国人が持つ日本とは違った文化や国民性を理解することが重要です。
日本と中国は位置的に近いこともあり、文化も似ていますが、大きく異なるのは中国が多民族国家だということ。約13億人いる中国人は、全部で55以上の民族にルーツが分かれています。

さらに、国土も広いため個々の中国人が育ってきた文化も様々。そのため、ひとくくりに「中国人」と言うことは難しく、話す言葉や食べる料理、宗教、家族や仕事についての考え方などは千差万別です。
ですから、「中国人ってこうだよね」というような決めつけや先入観は、個々の中国人には当てはまらず嫌う人が多いです。

また、当然当てはまらない人もいるという前提の上での話ですが、中国人は日本人よりプライドが高く、メンツを重んじる傾向があります。
そのため、仕事中に他人の前で叱られたり注意されたりすると、反抗したり不機嫌になってしまうことも。中国人の部下や同僚に注意をしたいときには、個別に呼び出して指導を行うなどマネジメントに工夫が必要です。

中国人のビザは緩和されるのか?

何度もお伝えしていますが、中国は日本のビザ免除国に含まれておらず、来日する中国人は期間・目的を問わずビザの取得が必須です。
しかし、この基準は見直されてきていて、2019年1月には観光ビザの発給要件が緩和され、2019年7月には最初の項目で触れたようにビザの電子申請が可能になりました。

一度条件が緩和されて来日する中国人観光客が増えると、当然リピーターも増え、訪日中国人の数は今後もさらに増えていくことが予想されます。
経済的に豊かな中国人観光客の「爆買い」など、日本経済が中国人の恩恵を受けていることもあり、今後も観光ビザに関しては条件緩和が広がる可能性が高いです。

就労ビザに関しても、人口の多い中国人の労働力は、少子高齢化に悩む日本の助けとなります。
中国人に限定したものではありませんが、2019年5月には「特定技能ビザ」が新設され、日本で単純労働に従事する外国人の受け入れが始まりました。

中国人の人口を考えると完全なビザ免除は難しいかもしれませんが、今後日本経済の発展や労働力の受け入れのため、ビザの発給要件がさらに緩和されることはありえるでしょう。

まとめ

中国人が日本に入国するには、目的・期間を問わず次のビザ取得が必須です。

・就労目的:就労ビザ
・留学目的:留学ビザ
・3ヶ月以内の滞在:短期滞在ビザ
・観光目的:団体観光ビザ・個人観光ビザ

電子申請や発給要件の緩和など、中国人のビザ取得ハードルは低くなってきています。
日本側も、インバウンド対策や中国人労働者の受け入れ準備など、増える訪日中国人に対応する必要があるでしょう。

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