近年注目を集めている最先端IT技術の一つに、「ブロックチェーン」があります。
ブロックチェーンは、仮想通貨やキャッシュレス決済、業務の自動化などに活用できるデータ保存の手法です。
そのブロックチェーン技術を専門的に扱う仕事が、ブロックチェーンエンジニア。
今回は、ブロックチェーンの基礎知識や、ブロックチェーンエンジニアの仕事内容・必要なスキル・年収などについてお伝えしていきます。
この記事の目次
ブロックチェーンとは
まずは、そもそもブロックチェーンとは何なのか、どんな場面で活用されているのかについて解説していきます。
ブロックチェーン=仮想通貨?
ブロックチェーンと仮想通貨(ビットコイン)は混同されやすいですが
実は全く別のものです。
ブロックチェーンは、複数のコンピュータに、暗号技術を使いながら取引情報などのデータを同期して記録する手法のこと。
そして仮想通貨は、ブロックチェーンの技術を用いて扱うデジタル通貨です。
ブロックチェーンは、2009年ごろにビットコインの基幹技術として開発されました。
仮想通貨の取引以外にも、セキュリティ性の高さや決済プロセスの自動化などがキャッシュレスサービスと相性が良く、決済・証明・業務効率化などの場面で活用されつつある技術です。
ブロックチェーンは3種類
ブロックチェーンには、「パブリック型」「コンソーシアム型」「プライベート型」の3種類があります。
それぞれの特徴は、以下の通りです。
- パブリック型:不特定多数が利用可能、仮想通貨などで利用される
- コンソーシアム型:特定多数で利用、金融機関等での利用を想定
- プライベート型:組織内での使用が目的、金融機関等での利用を想定
簡単に言うと、パブリック型は大人数で利用、プライベート型は少人数での利用を前提としたもので、コンソーシアム型はその中間です。
上記の特徴以外にも、管理者の有無や合意形成の仕組みの厳格さなどに違いがあります。
ブロックチェーンの活用事例
ブロックチェーンは、以下のような分野で活用されています。
・決済・証明・契約
・業務の効率化・自動化
ブロックチェーンを用いると、決済や契約の自動化が可能です。
さらに不正改竄に強くセキュリティが優れているので、正確な記録を恒久的に残すことが可能。
具体的には、三菱UFJフィナンシャルグループが発行する仮想通貨「coin(コイン)」や、Mastercardの自動決済システムなどでの活用が知られています。
ブロックチェーンエンジニアとは
ブロックチェーンエンジニアとは、その名の通りブロックチェーン技術を扱うエンジニアのこと。
具体的にはどんな仕事を行うのか、詳しく見ていきましょう。
ブロックチェーンエンジニアの仕事内容
ブロックチェーンエンジニアの仕事内容は、大きく3つに分けられます。
ブロックチェーン本体の開発
ブロックチェーンエンジニアは、独自のブロックチェーンの開発を行うことがあります。
既存のブロックチェーンパッケージに機能を追加するだけではなく、顧客の要求に合わせて独自の機能を持ったブロックチェーンを開発します。
独自のシステムを1から開発するには、当然ながら後述する他の仕事よりも深い知識や理解が必要となり、最も難易度の高い仕事と言えるでしょう。
ブロックチェーンを使うアプリ・システムの開発
ブロックチェーンを用いたアプリやシステムの開発も、ブロックチェーンエンジニアの仕事です。
例えば、不動産取引サービスやシェアリングサービスなどなどにブロックチェーンの技術が活用できます。
ブロックチェーンを駆使して、顧客が求めるサービスを実現するのが、ブロックチェーンエンジニアのメインの仕事と言えます。
ペイメントサービスの開発
ブロックチェーンは、キャッシュレス決済ととても相性のいい技術です。
そのため、電子マネーやECサイトの支払いなど、ペイメントサービスの開発も、ブロックチェーンエンジニアのメイン業務です。
特に「マイクロペイメント」と呼ばれる、数円単位での少額な電子決済にブロックチェーンが多く活用されています。
ブロックチェーンエンジニアの需要は?
ブロックチェーン技術は、まだ開発されて約10年の歴史が浅い分野です。
最先端分野は常に変化していくので、学校などでの専門教育が難しく、技術者の数は多くないと言えます。
それでいて、近年注目されているキャッシュレス決済などと相性がいいため、需要はとても高いです。
転職や昇給を目指したいエンジニアにとって、ブロックチェーンの知識や技術、開発経験は、大きな武器になると言えるでしょう。
ブロックチェーンエンジニアの収入は?
フリーランスエンジニアの求人を扱うサイト「フリーランススタート」の調査によれば、ブロックチェーンエンジニアの平均年収は978万円。
最高年収は1,500万円、最低年収でも540万円となっています。
ちなみに、日本人の平均年収は、30代で452万円。ITエンジニア全体の平均年収は、30代で500万円です。
ブロックチェーンエンジニアの賃金水準は平均の2倍近いということになり、かなり高年収を狙える職種と言えます。
ブロックチェーンエンジニアに必要なスキルや用語
それでは、ブロックチェーンエンジニアを目指すには、どのようなスキルが必要なのかを解説していきます。
暗号に関する理解
ブロックチェーンと深く関わっているのが、暗号技術です。
具体的には、ハッシュ関数、公開鍵暗号、電子署名などの暗号技術がブロックチェーンに関連しています。
ハッシュ関数は古くからある技術で、専門書なども多く販売されているので勉強しやすいです。
また、最新の暗号技術についても積極的に情報収集をしておきましょう。
ブロックチェーンに関する知識・技術
当然のことですが、ブロックチェーンに関する知識や技術は、ブロックチェーンエンジニアにとって必須項目です。
根本的な仕組みや、メリット・デメリットを理解しておくと、実際の業務で役立つでしょう。
また、知識の理解だけではなく、実装した経験も重要。
まずは仮想通貨などを利用して、ブロックチェーン技術を体験してみることも、理解の第一歩となります。
ソフト開発・プログラミングに関する知識
ブロックチェーンの技術を駆使してサービスやアプリケーションを作り上げるには、他のエンジニアと同様にプログラミングの知識が必須です。
プログラミングの知識がない状態からブロックチェーンエンジニアを目指すなら、まずはスクールや専門書籍を活用して基礎的なプログラミングから学ぶと良いでしょう。
使用する言語
ブロックチェーンの開発では、主に以下の4つの言語が用いられます。
・C言語:手続き型の汎用的な言語
・Go言語:Googleが開発した、仮想通貨でよく使われるプログラミング言語
・JavaScript:WebページやWebアプリの開発に使われるスクリプト言語
・Ruby:Webアプリ・スマホアプリなどの開発に使われるスクリプト言語
もちろん、使用するソフトや目的によって使う言語は異なりますが、ブロックチェーンエンジニアを目指すなら上記のうち1つでも得意言語にしておくと便利でしょう。
ブロックチェーン導入で企業はどう変わる?
ブロックチェーンは、電子データの信頼性を高めるために有効な技術です。
そのため、ブロックチェーンを用いたシステムの導入で、キャッシュレス化やペーパーレス化が進み、様々な分野で業務効率化に役立つでしょう。
また、システムを維持するコストが低いこともブロックチェーンのメリットです。
ただしデメリットとしては、ブロックに保存した内容を変更や削除できない点が挙げられます。
改竄防止という意味では良い技術ですが、誤った情報や公開したくない個人情報などを保存してしまった場合も融通が効かないため、注意が必要です。
そのため、すでに導入が始まっている行政や金融機関の他に、食品の生産者情報や運送ルートの追跡など「データの信頼性」が重視される分野での導入が注目されています。
まとめ
ブロックチェーンエンジニアとは、最先端技術の一つである「ブロックチェーン」を扱うエンジニアのこと。
開発の元となった仮想通貨以外にも、様々な分野への転用が期待されている技術です。
ブロックチェーンエンジニアは需要が高く、高年収が期待できる職種でもあるため、エンジニアを目指す方はブロックチェーン技術の習得にも注目してみてはいかがでしょうか。